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高血圧性不眠・高血圧性アルコール依存の診断と治療

  一般に血圧が高いと眠れません。特にこの傾向が著しいとき、それを「高血圧性不眠」と呼びます。また、一般にアルコール飲料を飲むと血圧が高くなります。その傾向が著しいときそれを「アルコール性高血圧」と呼びます。そしてそれによって不眠に陥ることがよくあります。それを「アルコール性高血圧性不眠」と呼びます。そして、そのような不眠によってアルコール飲料を常用し、高血圧を来たし、不眠を来たし、アルコール飲料を常用し増量する…の悪循環に陥ることがあります。それを「高血圧性アルコール依存」と呼びます。それに陥っている人はよく「飲むと頭が冴えて眠れない」と言います。それは飲んだときに血圧がだいぶん上がっているからです。アルコールが高血圧を介して覚醒剤のように作用しているとも言えます。それらに思い当たるところがある方は一度、眠れないときまたはアルコール飲料を中等度に飲んだときに血圧を測ってみてください。
  近年、ただの不眠や「睡眠障害」と思われてきた人のうちの意外と多くがこの高血圧性不眠であることが分かってきました。また、ただの「酒飲み」「酔っ払い」「アル中」「アルコール依存」と思われていた人のうちの意外と多くがこの高血圧性アルコール依存であることが分かってきました。
  それらの治療は、睡眠薬、抗酒薬…などではなく、ずばり降圧薬です。朝に降圧薬を少量と、眠れないとき、または、お酒を飲んだとき、眠れそうもないとき、または、お酒を飲みそうなときに降圧薬を頓服として少量、飲むことです。従来、降圧薬は頓服として使用するべきではないと言われてきましたが、朝に少量を定期的に飲んでおけば問題ありません。まず、朝に定期的に飲んでおいて、眠れないとき、または、お酒を飲んだときに降圧薬を服用すると、三十分ほどで自然な眠りがやってきたことが実感できます。眠れそうもないとき、または、お酒を飲みそうなときは、速めに降圧薬を飲んでおけば、寝付くまでの時間が短くなる、または、お酒の量が減ります。少なくとも睡眠薬は不要になり、アルコールの量は確実に減ります。場合によってはお酒も不要になります。もちろん、今夜は遅くまで仕事や遊びをする、または、付き合いで飲むということはあるでしょう。そういうときは、それらが終わってから頓服として降圧薬を飲めばよいのです。徹夜で…というときは頓服としての降圧薬を飲まなければよいのです。
  狭義のアルコール依存の本質は、アルコール飲料を飲み出したら、止まらず、とことん飲んでしまう、ことにあります。だから、狭義のアルコール依存の治療は「断酒」であり、「節酒」は困難です。それに対して、高血圧性アルコール依存は降圧薬を服用すれば、止めることができ、適度に飲めるようになります。また、付き合いでは普通に飲めるようになります。つまり、高血圧性アルコール依存は治療可能です。
  高血圧性不眠・高血圧性アルコール依存に思い当たるところのある方は、眠れないときまたはアルコール飲料を中等度に飲んだときに数回、家庭用の血圧計で血圧(1)を測ってみてください。それらと朝の血圧(2)を比較してください。また、二日酔いになることがあればそのときの血圧(3)も測ってみてください。(1)または(3)と(2)の間に平均的に最高血圧で20、最低血圧で10以上の差があれば、それらのメモをもって当NPO法人指定の医療機関を受診してください。
  医師・医療関係者へ。重要なのは高血圧性不眠・高血圧性アルコール依存とそれら以外の不眠・アルコール依存との鑑別です。遺伝はあまり鑑別の決め手になりません。何故なら、狭義のアルコール依存への傾向だけでなく高血圧、アルコール性高血圧への傾向も遺伝するからです。何より、高血圧性不眠・高血圧性アルコール依存とそれら以外の不眠・アルコール依存は連続しているように見えます。そのような見かけの連続の中でどこからそれらと診断し降圧薬による治療を患者さんに勧めるか、の判断が重要になります。そのような判断のためにはそれら以外の不眠・アルコール依存・高血圧の診療の経験が必要になります。高血圧性不眠・高血圧性アルコール依存の診療に関心のある医師・医療関係者は、copyright@our-existence.net までメールを下さい。