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時制

[0]発話時、基準時、発生時

[0]言語においては、時間について、①発話時、②基準時、③(出来事の)発生時が区別され、以下のことが言える。これらは、過去完了形から説明することによって分かりやすくなる。

She had written the document when he went to the office.
彼が事務所に行ったとき、彼女はその書類を書いてしまっていた。

においては、発話時は現在、基準時は彼が事務所に行った過去、彼女がその書類を書くという出来事の発生時は基準時よりさらに前の過去であり、発話時→基準時→発生時の順に過去に遡る。

それが、直接話法で、

"She had written the document when I went to the office," he said.

となると、被伝達部の発話時は彼が言った過去であり、基準時はさらに前の過去であり、発生時はさらにさらに前の過去である。

それが、現在完了形で、

She has written the document.

となると、発話時と基準時は現在であり、発生時は過去である。

それが、未来完了形で、

She will have written the document when he goes to the office.

となると、発話時は現在であり、基準時は彼が事務所に行くであろう未来であり、彼女が書類を書くという出来事の発生時はその未来より過去であることは確かだが、現在か現在より未来か現在より過去かは不明である。

そのように見ていくと、以下のことが言える。話法の被伝達部を除いて、

〇現在形では、発話時と基準時が現在であり、発生時は現在を含む時間である。

He usually walks to work.(発生時は現在を含む数か月~数年)
彼は通常、歩いて仕事に行く。

〇過去形では、発話時が現在であり、基準時が過去であり、発生時は基準時の過去を含む時間である。

He usually walked to work those days.(発生時は those days)
彼はその頃、通常は歩いて仕事に行っていた。

〇現在進行形では発話時と基準時が現在であり、発生時は現在を含む時間である。

She is now painting a picture.(発生時が現在を含む数時間である)
彼女は今、絵を描いている。

〇過去進行形では、発話時が現在であり、基準時が過去であり、発生時は過去の基準時を含む時間である。

She was painting a picture at that time.(発生時が that time を含む数時間である)
彼女はその時、絵を描いていた。

〇現在完了形(完了、経験の意味)では、発話時と基準時が現在であり、発生時が過去である。

完了の例は既に挙げた。以下に経験の例を挙げる。

Have you ever been to Berlin?(ベルリンに行くという出来事の発生時は過去である)
あなたはベルリンに行ったことがありますか。

〇現在完了形(継続の意味)では、発話時と基準時が現在であり、発生時が過去から現在に至る時間である。

He has lived here since he was be forced into exile.(ここに住むという出来事の発生時は彼が追放されてから現在に至る時間である)
彼は追放されてからずっとここに住んでいる。

〇過去完了形(完了、経験の意味)では、発話時が現在であり、基準時が過去であり、発生時が基準時の過去よりさらに前の過去である。

完了の例を既に挙げた。

〇過去完了形(継続の意味)では、発話時が現在であり、基準時が過去であり、発生時が基準時の過去よりさらに前の過去から基準時の過去に至る時間である。

He had worked for a big company for forty years when he retired into the country.(大企業で働くという出来事の発生時は引退するという基準時までの四十年)
田舎に引退したとき、彼は四十年間大企業に勤めていた。

〇未来形では、発話時が現在であり、基準時が未来であり、発生時は基準時の未来を含む時間である。
〇未来進行形では、発話時が現在であり、基準時が未来であり、発生時は基準時の未来を含む時間である。
〇未来完了形(完了、経験の意味)では、発話時が現在であり、基準時が未来であり、発生時が基準時の未来より前の過去である。

経験の例を挙げる。

If he goes to Glasgow next month, he will have been to Scotland four times.(スコットランドに行くという出来事が発生するのはグラスゴーに行く未来の基準時より前の過去)
来月グラスゴーに行けば、彼はスコットランドに四回行ったことになる。

〇未来完了形(継続の意味)では、発話時が現在であり、基準時が未来であり、発生時が基準時の未来より前の過去から基準時の未来に至る時間である。

[1]現在時制

[1]現在時制の意味 [1-1]状態動詞で現在の状態の継続。

The girl has unusual ability /in/at/ visual art.(関係動詞⊂状態動詞)
その娘は視覚芸術で非凡な能力をもつ。

It depends on circumstances.(関係動詞⊂状態動詞)
それは状況による。

He resembles his mother in character.(関係動詞⊂状態動詞)
彼は性格が母親に似ている。

He knows French history very well.(認識動詞⊂状態動詞)
彼はフランス史をたいへんよく知っている。

I think (that) she is suited /to/for/ teaching.(認識動詞⊂状態動詞)
彼女は教えるのに適していると私は思う。

What do you want me to do about it?(欲求動詞⊂状態動詞)
君は私にそれをどうしろというのかね。

I see some birds flying over the building.(知覚動詞⊂状態動詞)
鳥がそのビルの上を飛んでいるのが見える。

[1-1-1] see, hear, feel などの知覚動詞は状態動詞であり、ただでさえ継続の意味をもつが、can が付くと、継続の意味が強くなる。

I can hear the door slamming.(バタンバタンと開閉している)
ドアがバタンバタンと開閉しているのが聞こえる。

I heard the door slam.(バタンと閉まった)
ドアが閉まるのが聞こえた。

I could hear the door slamming.(バタンバタンと開閉していた)
ドアがバタンバタンと開閉しているのが聞こえた。

[1-2]動作動詞で、現在を含む広がりのある時間における動作の習慣的な繰り返し。考えてみれば、驚きだが、現在時制は動作動詞で一回限りの動作を表せず、動作の習慣的な繰り返ししか表せない。それに対して過去形は動作の習慣的な繰り返しも一回限りの動作も表せる。

Beavers build dams.
ビーバーはダムを造る。

He usually walks to work.
彼は通常、歩いて仕事に行く。

They go to church on Sundays.
人々は日曜日には教会に行く。

They went to church on Sundays.(過去の習慣)
人々は日曜日には教会に行ったものだ。

He went to church that Sunday.(過去の一回限りの動作)

[1-2-1]動作の習慣的な繰り返しを表す動作動詞は always, often, usually, sometimes, rarely, ever, never などの頻度を表す副詞句と共起できる。否定的な rarely, never とさえ共起でき、習慣的繰り返しがないことを意味する。

He rarely goes to church.
彼は滅多に教会に行かない。

[1-2-2]一時的な動作の習慣的繰り返しを表すのは進行形である。

Recently she is always watching TV.
最近、彼女はテレビばかり見ている。

[1-3]すべての種類の動詞で。過去、現在、未来に共通する普遍的真理。now と共起しない。

The pen is mightier than the sword.
ペンは剣より強し。

The earth goes around the sun.
地球は太陽の周りを回っている。

Oil floats on water.
油は水に浮く。

上の例文は傾向習性を表す will を用いて、

Oil will float on water.

とすることも可能だが現在形のほうが普通である。

[1-3-1]条件文でもこの意味用法がある。

If you're happy, you make others happy.
自分が幸せなら、他人も幸せにできる。

If you acts like that, he's a fool.
そんなふるまいをするなら、彼は馬鹿だ。

[1-4]以上が現在時制の基本的意味である。以下は基本的意味から慣用的に派生した意味である。
動作動詞で、実況中継、実演、奇術、シナリオ、小説、年代記、宣言などで、出来事を端的に報告する。

I place the puppy in the box and close the lid.(奇術)
子犬を箱に入れ蓋をします。

I enclose a form of application.(宣言)
申込書を同封します。

I hereby declare the meeting closed.(宣言)
ここに閉会を宣言します。

I pass.(宣言)
(トランプで)パス。

1907―New Zealand becomes a dominion.(年代記)
1907年―ニュージーランド、自治領となる。

ITALIAN REDS FAIL TO WIN TOP POSITION(新聞の見出し)
イタリア共産党、第一党成らず

Jong passes the ball to Aubameyang, who heads straight into goal!(実況中継)
ヨング、オーバメヤンにボールをパス。オーバメヤン、直接、ヘッディングシュート!

The door slowly opens and the Regent appears.(シナリオ)
ドアがゆっくり開き、摂政が現れる。

[1-5]確定的な未来

Tomorrow is Sunday.
明日は日曜日です。

Exams begin on Thursday.
試験は木曜日から始まる。

"Tomorrow morning I leave Texas. You will never see me again." (話し手にとっては一番目の文は確定的未来だが、二番目の文はそうではない)
「明朝、私はテキサスを去る。会うことは二度とないだろう」

"Speak one word, and you are a dead man." (確定的であることを脅迫に使用している)
ひと言でもしゃべれば命はないぞ。

×It rains tomorrow afternoon.→
〇It will rain tomorrow afternoon.(確定的ではないので、現在形は不可)
明日の午後は雨だろう。

[1-6]時、条件の副詞節の中では、未来のことがらであっても義務的に現在形を用いる。

Let's wait till the rain stops.
雨が止むまで待ちましょう。

If it rains tomorrow, I will stay home.
明日、雨が降れば、家に居よう。

He will go home at five-thirty because he will have finished his work by then.(時、条件の副詞節ではないので未来形を用いる)
彼は、5時30分までに仕事を終えているだろうから、そのときには帰宅するだろう。

He will go home at five-thirty if he has finished his work by then.(時、条件の副詞節である。現在完了形も現在形に含まれる)
彼は、5時30分までに仕事を終えれば、そのときには帰宅するだろう。

[1-6-1]時と条件の副詞節に意味的に類似する関係詞節とthat節の中で未来のことがらを表すのに現在形が使われることがある。

Please give this letter to the first teacher whom you see at school tomorrow.
明日、学校で会う最初の先生にこの手紙を渡してください。

Please give this letter to Mr. Solomon, whom you will see at school tomorrow.
明日、学校で会うでしょうから、この手紙をポーター先生に渡してください。

I hope he /succeeds/will succeed/.
私は彼が成功すればいいと思う。

I bet (you) the conservatives /lose/will lose/.
私はきっと保守党が負けると思う。

[1-6例外]ありえないことを表す比喩的表現で、will を用いることがある。

Pigs fly before he'll become a mathematician.
彼が数学者になる前に豚が空を飛ぶだろう。

[1-7]情報の発信・受信を表す動詞で、その情報が現在も有効なら、過去に発信・受信したことも現在時制で表すことがある。

発信動詞:ask, say, tell, write
受信動詞:hear, learn, find, read, see

I hear you've been fired.
解雇されたそうですね。

I am told he is an expert at skiing.
彼はスキーの名手だそうですね。

I see in the papers that the President is ill.
新聞によれば大統領は病気とのことです。

He tells me I'm wrong.
彼は私は間違っているという。

She writes me that she is much better.
手紙では彼女はずっとよくなったということです。

The seven o'clock news says that it's going to be cold.
7時のニュースによると寒くなるそうだ。

Contentment is natural wealth, says Socrates.
満足は生まれつきの財産だとソクラテスは言う。

[2]過去時制

[2]過去時制の意味

現在形で動作の習慣的な繰り返ししか表せない動作動詞が、過去形では過去の一回限りの動作と習慣的な繰り返しの両方を表しえる。これは考えてみれば、驚きである。

[2-1]状態動詞で過去の状態の継続を表す。

She resembled an actress.
彼女はある女優に似ていた。

[2-1-1] see, hear, feel などの知覚動詞は、状態動詞だが、過去形で一回限りの動作を表すことがある。一方、could が付くと知覚しているという状態の継続を表す。

I could hear the door slamming.(状態の継続)
ドアがバタンバタンと開閉しているのが聞こえた。

I heard the door slam.(一回限りの動作)
ドアがバタンと閉まるのが聞こえた。

[2-2]動作動詞で一回限りの動作。前述。

He comes to see me every Sunday.(これは現在の動作の習慣的な繰り返し)
彼は毎週日曜日に私に会いに来る。

He came to see me every Sunday.(これは過去の動作の習慣的な繰り返し)
彼は毎週日曜日に私に会いに来た。

He came to see me yesterday.(これが過去の一回限りの動作である)
彼は昨日、私に会いに来た。

[2-2-1]動作非完結動詞では、動作がある程度の時間、継続したことを表せ、for - 句などの期間を表す副詞句と共起できる。

Yesterday I read for three hour.(読書をするという意味の read は動作非完結動詞)
私は昨日、3時間読書をした。

[2-2-2]動作完結動詞では、動作が完結したことを表す。

Yesterday I read a book.(ある本を読むという意味の read は動作完結動詞)
私は昨日、ある本を読んだ(読み切った)。

I stopped smoking last year.(stop は動作完結動詞)
私は昨年煙草を止めた。

[2-3]動作動詞で、過去の動作の習慣的な繰り返し。

I got up at six in those days.
その頃は私は6時に起きていた。

[2-4]現在完了形を代行する。英より米の話し言葉で多い。現在完了形だと、助動詞 have が入り、過去形より不慣れな過去分詞を用い、手間がかかるからである。

That show's still on. I saw it twice.←I have seen it twice.
そのショーはまだやっている。僕は二度見た。

Did you lunch yet?←Have you lunch yet?
もう昼めし済んだ?

[2-5]同上の理由により、時の副詞節の中で過去完了形を代行することが多い。出来事が単純継起的に生じている場合や時間関係が問題にならないときは、重文だけでなく、複文でも過去完了形を用いない。過去完了形を使わなければ意味が違う場合は過去完了形を用いなければならない。また、No sooner had S V than -, Hardly had S V when -, などの格式的で慣用的な表現では過去完了形を用いる。それに対して、as soon as S V などの日常的で慣用的な表現では過去完了形を用いない。

As soon as he /heard/×had heard/ that, he turned pale.(日常的、慣用的)
それを聞いたとたん彼は青ざめた。

When morning /came/×had come/, the fog cleared away.(単純継起的)
朝になると霧が晴れた。

After he /had finished/finished/ the book, he returned it.(finish という動詞があるので過去時制でも読み終えた後であることが分かる)
彼は、読み終えた後で、その本を返した。

When he had read the letter, he burned it.(過去完了形でないと読み終えた後で燃やしたことが分からない。)
彼は、読み終えると、その手紙を燃やした。

Her son was punished because he broke the window.(理由が問題なのであって、時間関係は問題にならない)
その窓を壊したので、彼女の息子は罰せられた。

[2-6]過去形を用いて「過去の」の意味をもつ。

"This is Miss Brown, Mrs. Harrison that is to be."
「こちらはブラウン嬢、未来のハリソン夫人です」

"This is Mrs. Harrison, Miss Brown that was."
「こちらはハリソン夫人、旧姓ブラウン嬢です」

[2-7]現在形がもつ押しつけがましさを和らげるために敢えて、過去形、進行形にすることがある。控え目表現である。現在形→現在進行形→過去形→過去進行形の順に控え目さが増す。

I /wonder/am wondering/wondered/was wondering/ if you could help me.
手伝っていただけたらと思ったのですが。

"/Do/Did/ you want me?" "Yes, I /hope/am hoping/hoped/was hoping/ you /will/would/ give me a hand with the painting."
「ご用ですか」「ペンキ塗りを手伝っていただけたらと思ったのですが」

[2-8]現在、過去、未来に共通する真理を表すのに、過去にそうであったことは現在、未来もそうであるという意味を込めて、過去形を用いることがある。日本語の「~のためしはない」の部類である。

Faint heart never won fair lady.
気弱な男が美女を得たためしはない。

[3]未来を表す表現形式

[3]厳密に文法的に言って、未来時制または未来形なるものは存在しない。未来のことを表すのに以下のような表現形式がある。

①現在時制
②/will/shall/+原型不定詞
③be going+to不定詞
④現在進行形
⑤/will/shall/+進行形
⑥be to不定詞
⑦be about+to不定詞
⑧be on the point of+動名詞
⑨/be/have/+/yet/still/+to不定詞

[3-1]現在形。確定的な未来のことがらを表す。確定的でないことは表せない。例えば、何年何月何日が何曜日かは確定的である。それに対して、明日の天候は確定的ではない。

It /is/×will be/ Saturday tomorrow.(確定的なので未来形は不可)
明日は土曜日だ。

It /will be/×is/ fine tomorrow.(確定的でないので現在形は不可)
明日は晴れるだろう。

[3-2]/will/shall/+原型不定詞

will は、単純な未来を表すのはむしろ稀で、多くの場合、一人称主語平叙文で話し手=主語の意志、二人称主語平叙文で話し手の聞き手=主語に対する命令、二人称主語疑問文で聞き手=主語の意志を尋ねることから発展して依頼等、三人称主語で話し手の推測を表す。三人称主語で推測を表すことから、未来の意味が発展した。

I'll see you next week.(一人称主語平叙文、意志)
来週にお目にかかりましょう。

I really will stop smoking.(一人称主語平叙文、意志)
本当に禁煙しよう。

You will leave immediately.(二人称主語平叙文、命令)
すぐに立ち去れ。

Will you be quiet!(二人称主語疑問文、依頼)
静かにしてくれないか。

It will rain tomorrow.(三人称主語、推測→未来)
明日は雨でしょう。

[3-3] be going+to不定詞

基本的に以下のような意味をもつ。

[3-3-1]計画可能な行為を表す動詞について、主語があらかじめ計画していることを表す。

Sue is going to be a nurse.(看護師になるのは計画可能)
スーは看護師になるつもりだ。

"The telephone is ringing." "/I'll get/×I'm going to get/ it."(電話をとる計画を立てることはない)
「電話が鳴っている」「私がとろう」

What are you going to be?(将来何になるかは計画可能)
将来、何になるつもりですか。

Will you give me a hand?(通常の依頼)
手伝ってくれませんか。

Are you going to give me a hand?(既に手伝うつもりになっているか尋ねている)
手伝ってくれるならありがたいね。

She is not going to give you a hand?(否定文でそのつもりがないことを表す)
彼女に君を手伝う気はないね。

[3-3-1-1]/was/were/ going+to不定詞 の意味。通常、計画が果たされなかったことを意味する。

I was going to come, but I couldn't.
私は来るつもりだったが、来れなかった。

[3-3-2]既にその動作をしているほどに近い未来を表す。未来を表す副詞句と共起できず、just と共起できる。

I was just going to hang up when she told me to hold on a minute.
彼女がもう少し切らないでと言ったとき、わたしはちょうど電話を切ろうとしていた。

[3-3-2-1]近未来からの慣用的発展で命令。will と同様の発展。だが、will と異なり三人称主語でもよい。

You are going to do as I tell you.
わたしの言う通りにするのだ。

He is going to suffer for this.
あいつめ、このお返しにひどい目にあうぞ。

上の例文は結果的に shall に似ている。いずれにしても、威圧的な表現であり、あまり用いないほうがよい。

[3-3-3]計画不可能な動詞について、現在の外面的兆候に基づく未来についての主観的推測。空模様からの天候の予測などに用いる。

It looks like it's going to rain.
雨になりそうだ。

I'm going to die without leaving any children.
私は子供も残さずに死ぬだろう。

I'm going to miss you when you're away.
あなたが去ると寂しくなるでしょう。

[3-3-4] be going+to不定詞 は条件文の帰結節では通常用いない。

If she eats that apple, Snow White will die.
あのリンゴを食べると、白雪姫は死ぬだろう。

The ice will melt if the sun comes out.
太陽が出れば、氷は解けるだろう。

[3-3-4例外]帰結節が確定的と話し手が思っているときは、使用可能。

We're going to find ourselves in difficulty if we go on like this.
こんなことを続けていたら、おれたち今に困ったことになるぞ。

If you ever touch me like that again, I'm going to kill you.
もう一度、あんなふうに私を触ったら、殺してやる。

[3-3-5]往来発着を表す動詞の進行形(be /going/coming/ to 場所)は主語と主語以外の取り決めによる予定を表す。それに対して、be going+to不定詞 の不定詞に go, come などの往来発着を表す動詞が来ると、他の動詞が来るのと同様に主語の計画的意図または外見的兆候からの推測を表す。

She is coming here.(彼女と他の人の取り決めによる予定)
彼女は来ることになっている。

Where is she going to go?(彼女の計画)
彼女はどこへ行くつもりなんだろう。

She thought he was going to come.(彼女の推測)
彼は来るわと彼女は思った。

[3-4]未来を表す現在進行形の意味。主語と主語以外とのあらかじめの取り決めによってそうなっていることを示す。かつては、go, come などの往来発着を表す動詞に限られていたが、使用できる動詞が広がっている。

The Smiths are coming this evening.(話し手とスミス夫妻との取り決めによる)
今晩、スミス夫妻が来ることになっている。

[3-4-1]現在進行形と be going to不定詞 の違い。前者は主語と主語以外との取り決めによる。後者は主語の計画だけによる。

I'm seeing him tomorrow.
あす彼と会うことになっている。

I'm going to see him tomorrow.
あす彼と会うつもりだ。

[3-4-2]取り決めによってそうなっていることから、命令を表すことがある。

"Can I come too?" "No, you're not coming."
「僕も行っていい」「君は来ることになっていない」

[3-5]/will/shall/+進行形の意味

①未来に動作が継続しているなど、いわゆる「未来進行形」
②単純な未来。/will/shall/の意志の意味やそれから派生する依頼、勧誘などとの混同を避けるためである。継続等の意味がない。
③現在進行形がもつ現在の継続などの意味に推測の意味を加える。

When I get home, my children will probably be watching TV.(①未来の動作の継続)
私が家に帰る頃には、子どもたちは多分、テレビを見ているでしょう。

We will be stopping at Okayama and Shin-Kobe stations before reaching Shin-Osaka terminal.(②単純な未来)
終点の新大阪に到着する前に岡山と新神戸に停まります。

When will you visit us again?(依頼の意味がある)
今度はいつおいでいただけますか。

When will you be visiting us again?(②依頼の意味はない)
今度はいつおいでになる予定ですか。

"Will you be coming to the party tomorrow?" "Yes, I will."(②勧誘の意味はない)
「明日、パーティに来ますか。」「はい行きます。」

"Will you come to the party?" /"Thank you."/"I'm afraid I can't."/(勧誘の意味がある)
「明日、パーティに来ませんか。」「ありがとう」/「申し訳ないですが、行けません。」

Don't phone now ― they'll be having lunch.(③現在の動作の継続の推測)
電話しないで。彼らは昼食中だろうから。

[3-6] be+to不定詞の意味。「不定詞」の章で述べる。

[3-7] be about to不定詞の意味。「まさに~しようとしている」という近未来を表す。= be just going+to不定詞。

[3-7-1]否定形 be not about to不定詞の意味。「するつもりは全くない」という強い否定的意志を表す。

Kennedy was not about to get out of Berlin no matter what it took.
ケネディーはどんな代償を払ってもベルリンから退去するつもりはなかった。

[3-8] be on the point of -ing の意味。= be just going+to不定詞

[3-9]/be/have/+/yet/still/+to不定詞。「まだ~しなければならない」から「まだ~していない」に発展した。

The worst was yet to come.
最悪の事態はまだ来ていなかった。

[4]進行形

[4]進行形の基本的意味と、状態動詞、動作動詞、動作瞬時完結動詞、動作切迫完結動詞、動作緩徐完結動詞、動作非完結動詞の関係


動詞の分類状態動詞動作動詞
完結動詞非完結動詞
瞬時完結切迫完結緩徐完結
反復可能反復不能
単数主語複数主語
動詞の名称状態動詞動作瞬時完結
反復可能動詞
動作瞬時完結
反復不能動詞
(単数主語)
動作瞬時完結
反復不能動詞
(複数主語)
動作切迫完結動詞動作緩徐完結動詞動作非完結動詞
have, know, seejump, pushreach, bombreach, bombdie, stopwrite, readwrite, read
単純進行形一時的状態・推移反復×複数の反復完結への接近
(~しかけている)
継続継続
単純完了形継続・経験完了結果・反復・経験完了結果・経験完了結果・複数の反復・経験完了結果・経験完了結果・経験継続・経験
完了進行形×反復×複数の反復完結への接近継続継続

[4-1]動作非完結動詞の進行形は、動作の継続を表す。動作緩徐完結動詞でも、動作の継続を意味するが、動作が完結に接近しているがまだ完結しておらず、動作の途中であることを含意する。動作非完結動詞、動作緩徐完結動詞の両様になりえる動詞は多い。例えば、趣味として読書をすること―read(自動詞)―は、動作非完結動詞であり、一冊の本を読むこと―read a book(他動詞)―は動作緩徐完結動詞である。

I was reading when the earthquake broke out.(動作非完結動詞、継続)
その地震が発生したとき、私は読書をしていた。
I was reading a book when the earthquake broke out.(動作緩徐完結動詞、継続、一冊の本を読んでいる途中)
その地震が発生したとき、私はある本を読んでいた。

Look out! We're being followed by a policeman.(動作非完結動詞、受動態進行形、動作を受けることの継続)
気を付けろ。警官に付けられているぞ。

I was walking to the station when it rained suddenly.(駅まで歩くことは動作緩徐完結動詞、継続、駅まで歩く途中)
突然、雨が降って来たとき、私は駅まで歩いていた。

I wrote a letter before she came to see me.(手紙を書くことは完結した)
彼女が会いに来る前に、私は手紙を書いた。

When she came to see me, I was writing a letter.(手紙を書くことは完結していない)

[4-1-1]進行形は、動作の継続を表し、動作の習慣的な繰り返しを表すのは現在形・過去形である。だから、進行形は一般のものより特定のものに係ることが多い。

I'm enjoying the music.(特定の音楽を楽しんでいる)
私はその音楽を楽しんでいる。

×I'm enjoying music.→
〇I enjoy music.(一般の音楽を習慣的に楽しんでいる)
私は音楽を楽しむ。

[4-1-2]状態動詞が別義の動作動詞として用いられ進行形で動作の継続を表すことがある。

Which judge is hearing the case.(聞こえるという意味の hear は状態動詞だが、審理する、審問するという意味の hear は動作動詞である)
どの裁判官がその事件を審理しているのですか。

I'm thinking of going to America this summer.(思考内容を描写する think that - は状態動詞だが、~について考える think of - は動作動詞である)
私はこの夏、アメリカに行ことを考えている。

I think that he is innocent.(状態動詞)
私は彼は無罪だと思う。

[4-1-2-1]意識してできる動作を表しえる形容詞、名詞において、be /形容詞句/名詞句/が動作を表し、be being /形容詞句/名詞句/が動作の継続を表す場合がある。

She is being kind.
彼女は親切にふるまっている。

He is being a fool.
彼は馬鹿なふるまいをしている。

You're being absurdly dramatic.
何を大げさなことを言っているんだ。

Sorry, am I being a bore?
ごめん、退屈なことを言っているかい。

You are being a real bully again.
また、本当の弱いものいじめをしている。

×He is being tall.(being tall は意識してできる動作ではない)

[4-2]動作瞬時完結反復可能動詞で動作の短期間の絶え間ない反復を表す。

The girl was jumping for joy.(動作瞬時完結反復可能動詞)
その女の子は喜んでピョンピョン跳ねていた。

[4-2-1] explode(爆発する)などの一回限りの動作瞬時完結反復不能動詞では複数主語で、複数のものが「次々と~する」ことを意味する。単数主語の進行形は不可。

×A bomb is exploding.→
〇Bombs are exploding.
爆弾が次々と爆発している。

×A man is reaching the top.→
〇Many people are reaching the top one after another.
多くの人々が次々と頂上に到達している。

[4-3]動作切迫完結動詞で、一回限りの動作が始まって終わりかけていることを表し、完結を意味せず、未完結を意味する。

The train is stopping.(stop は動作切迫完結動詞)
列車は停まりかけている。

The milk is turning sour.(turn は動作切迫完結動詞)
その牛乳は腐敗しかけている。

The man is drowning.(drown は動作切迫完結動詞)
その男は溺れかけていた。

The man has drowned.(完了形では完結を表す)
The man is drowned.(これは他動詞で受動態では完結した結果を表す)
その男は溺れ死んだ。

That decision made by Gorbachev was a great scare for our leaders who decided that an anti-Soviet coalition was being formed.
反ソビエト連合が形成されかけていると決定づけたわたしたちの指導者にとってゴルバチョフのその決定は大きな脅威だった。

The western alliance began to shape. The battle-lines of the Cold War were being drawn.
西側陣営が形成され始めた。冷戦の戦線が引かれかけていた。

上の二つの例文のように受動態進行形でも、動作への完結への接近を表す。上が単に "was formed", "were drawn" なら、動作の完結の結果としての状態の継続を表していた。

[4-4]状態動詞は既に継続を表し通常、進行形にならないが、敢えて進行形にすると状態が一時的状態であることを表すことがある。

He is living in London without his family.(一時的に)
彼は現在、単身でロンドンに住んでいる。

They lives in London.(永続的に)
彼らはロンドンに住んでいる。

I am having the book rebound.(一時的に)
私はその本を製本し直してもらっている。

The town lies on a river.(永続的に)
その街は川のそばにある。

The box are lying under the sofa.(一時的に)
その箱はソファーの下にある。

The statute stands there.(永続的に)
その像はそこに立っている。

The stature is still standing there.(一時的に)
その像はまだそこに立っている。

Does she usually wear spectacles?(眼鏡の常用を尋ねている)
彼女は通常、眼鏡をかけますか。

Look, she is wearing a diamond ring.(一時的に)
見て。彼女がダイアモンドの指輪をしている。

[4-5]また、状態動詞は既に継続を表し通常、進行形にならないが、敢えて進行形にすると推移を表すことがある。

He is resembling his father more and more as the years go by.
年月が経つにつれて彼はますます父親に似て来る。

I'm hearing better now.
私の耳は今はよく聞こえるようになっている。

[4-6]動作動詞で、限定的時間における動作の習慣的な繰り返しを表すことがある。

I was going to work by bus in those days.
私はその頃はバスで仕事に行っていた。

We're eating a lot of meat these days.
私たちは近年、肉をたくさん食べている。

He is seeing a lot of her these days.(見えるという意味の see は状態動詞だが、会うという意味の see は動作動詞である)
彼は最近、彼女とたびたび会っている。

[4-6-1]動作の習慣的繰り返しを表す現在形が限定されない時間におけるものを表すのに対して、進行形は限定された時間におけるものを表す。例えば、

He drives a truck for the ABC Company.
彼はABC社でトラックの運転手をしている。

は正社員として本職として働いていることを意味し、

He is driving a truck for the ABC Company.

は正社員と限らず、また、本職と限らず、将来の開業資金を稼ぐためなど、一時的にトラックの運転手をしていることを意味する。

[4-6-2]限定的時間における動作の習慣的な繰り返しを表す進行形は always, usually, often, constantly, frequently などの頻度が大きいことを表す副詞句と共起可能であり、sometimes, rarely, never などの頻度が中等度から小さいことを表す副詞句と共起不能である。それに対して、非限定の時間における動作の習慣的な繰り返しを表す現在形・過去形は頻度が小さいことを表す副詞句とも共起できる。

She was /always/×sometimes/ sitting up late at night those days.
彼女はその頃いつも夜更かししていた。

She rarely watches TV.
彼女は滅多にテレビを見ない。

[4-6-2-1]継続など他の意味では sometimes などと共起可能である。

Sometimes my wife is watching TV when I return.(継続の意味)
ときに妻は私が帰ったときテレビを見ている。

[4-6-3] always, continuously …などを伴い、話し手の不快や焦燥を表すことがある。また、誇張であることもある。

You are always complaining about something or other.
いつもあれやこれやと不平を言っているんだから。

I am always thinking of you.(これは誇張である)
私はいつもあなたのことを考えています。

She is always watching TV.
彼女はいつもテレビを見ていて困る。

[4-7]以上が、進行形の基本的意味である。以下はその基本から少し離れる。

[4-7-1]未来の予定。計画可能な動作を表す動詞に限る。しかも、主語と主語以外があらかじめ取り決めをして予定していることを表す。往来発着を表す動詞から計画できるすべての動作動詞へと広がっている。

I'm leaving for England tomorrow.
私は明日、イギリスに発つことになっている(航空便の予約などもとっている)。

The Browns are dining with us this evening.(私たちとブラウン夫妻の間で約束がある)
ブラウン夫妻は今夜、私たちと晩御飯を食べることになっています。

He is bringing his wife with him.
彼は奥さんを連れて来ることになっている。

×Tomorrow it is snowing.(計画不能)→
〇Tomorrow it /is going to/will/ snow.
明日、雪になりそうだ。

×She is falling ill from overwork.(計画不能)→
〇She might fall ill from overwork.
彼女は過労のため病気になるかもしれない。

[4-7-1-1]未来の予定を表すので、未来を表す副詞句と共起できる。

I'm going to Paris tomorrow.
私は明日、パリに行く予定です。

[4-7-1-2]他者との取り決めを話し手が意識しているので、perhaps, I expect, などの不確定さを表す語句と共起することができない。

[4-7-1-3]過去進行形でも過去の予定を表せる。

He was leaving at the end of the summer. She was staying on for the winter term.
彼は夏学期の終わりに去ることにしていた。彼女は冬学期に備えてとどまることにしていた。

[4-7-1-4]取り決めであるから、予定を中止する場合はそれなりの弁解をしないといけない。

I was coming to see you tomorrow; but now tomorrow you will come to see me.
私が明日、あなたに会いに行くことになっていたけど、あなたが会いに来てください。

[4-7-1-5]慣用的発展として、一人称で話し手の強い意志、二人称、三人称で聞き手に対する命令などを表す。

"I'm staying here," she answered defiantly.
「私はここにいます」と彼女はものともせず答えた。

When I grow up, I'm joining the police force.
私は大きくなったら、警察に入るつもりだ。

"Can I come too?" "No, you're not coming."
「ボクも行っていい」「いいえ、あなたは来ることになっていない」

You're going to bed ― immediately.
あなたは寝るのよ。いますぐに。

The refrigerator is going over there for now.
冷蔵庫はとりあえあずあそこに置いて。

[4-7-2]状態動詞、動作動詞に係らず、進行形を用いて、現在の事実であることを強調しつつ、特別な感情を添えることがある。

At last I'm seeing the Mona Liza!(感動)
ついに私はあのモナ・リザを見ているんですよ。

My arm is aching.(苦痛)
今、腕が痛むんです。

I was hoping that you had more ambition than that.(遺憾)
あなたはもっと野心をもっていると思っていたんですよ。

Now you're talking. That's right.(感嘆)
うまいこと言う。そのとおりだ。

I'm telling you, I'm not going.(焦燥)
行かないといってるでしょう。

[4-7-3]基本的意味のうちの限定的時間における動作の習慣的繰り返しから発展し、always, continuously …などを伴って、特別な感情を表すことがある。

You are always complaining about something or other.(焦燥)
いつもあれやこれやと不平を言っているんだから。

I am always thinking of you.(愛)
私はいつもあなたのことを考えています。

[4-7-4]同時性を表す。

When children are doing nothing, they are doing mischief.
子供が何もしていないときはいたずらをしている。

Whenever I see him, he's reading.
彼を見かけるときはいつも読書している。

[4-7-5]同時性から発展して同一性を表す。

In so doing he is defending his own position.
そうすることで彼は自分の地位を守っているのである。

As long as we cling to mere tradition, we shall be fighting a losing battle.
単なる伝統にしがみついている限り、それは負け戦をするようなものだ。

[4-7-6]過去進行形で即時性を表す。

Next minute they were having their first quarrel.
少しすると彼らはさっそく口論をしていた。

[4-8]進行形と時の副詞句の共起について

[4-8-1]現在進行形または過去進行形を使うとき、話し手の関心は基準時における継続の有無に集中し、継続の期間はあまり問題にならない。だから、進行形は、for - などの期間を表す副詞句より、now などの基準時(現在進行形では現在、過去進行形では過去)の瞬時を表す副詞句と共起しやすい。

He is taking a nap now.(基準時は現在=now)
彼は今、うたた寝をしている。

He was taking a nap when she entered the office.(基準時は過去=when she entered the room)
彼女が事務所に入って来たとき、彼はうたた寝をしている。

[4-8-2] always, usually, often のような頻度が大きいことを表す不定の副詞句とは共起し、限定的時間における動作の習慣的繰り返しや、感情を表す。

You are always complaining about your husband.(焦燥)
君はご主人のことでいつも不平ばっかり言ってるじゃないか。

[4-8-3]進行形は twice, three times, のような具体的回数を表す副詞句と共起しない。

[4-8-4]未来の予定を表す進行形は未来を表す副詞句と共起できる。

I'm going to Paris tomorrow.
私は明日、パリに行くことになっています。

[5]完了形

[5-1]完了を表す表現。現在完了形は、have+過去分詞、過去完了形は、had+過去分詞の形をとる。それ以外にも、

使役動詞(/have/get/)+分詞の主語+過去分詞
be+過去分詞(受動態)
過去形

で完了、経験などを表すことがある。

また、/have/be/ /yet/still/ to不定詞、remain to不定詞…などは慣用的に完了(未完了)を表す。

He /is/has/ /yet/still/ to know the truth.
彼は事実をまだ知っていない。

The fact remains to be known to the public.
その事実はまだ公に知られていない。

[5-1-1]現在完了形、過去完了形

He had lived in Paris for five years when they met.(過去完了形)
彼らが出会ったとき彼は5年間、パリに住んでいた。

[5-1-2]使役動詞(/have/get/)+分詞の主語+過去分詞 で完了を表すことがある。

Have the job done by tomorrow.
明日までにその仕事をしてしまいなさい。

[5-1-3]古い英語では、have は他動詞の過去分詞とともに用いられ、be は自動詞の過去分詞とともに用いられ、完了を表していた。現代では、be は形容詞化した過去分詞とともに用いられ、完了(より正確に言えば結果としての状態)を表す。

Winter is gone.
冬は終わった。

My work is finished.= I am done.

仕事は終わった。

How long has he been gone?(have+過去完了 と be+形容詞化した過去完了 の二重構造になっている。前者は継続を表し、後者は完了の結果を表し、全体として完了の結果の継続となっている)
彼が行ってしまってからどれくらいになりますか。

[5-1-3-1]そのような形容詞化した過去分詞と他の形容詞との等位接続は可能である。

Those days are past and gone.(past は完全な形容詞、gone が形容詞化した過去分詞)
そういう時代は終わってしまった。

[5-1-3-1補足]一般に等位接続の文法的条件は、節と節または同種の品詞句を結ぶことである。

×He is clever and a salesman.(形容詞句と名詞句だから×)
〇He is clever and is a salesman.(動詞句と動詞句だから〇)
彼は賢くセールスマンだ。

[5-1-4]過去時制で完了形の代行をすることがあるが、意味、用法に少し違いがある。

[5-1-4-1]過去形が単に状態または動作が過去にあったことを意味するのに対して、完了形は完了の結果としての現在の状態を強調する。過去時制が完了形を代行するときはそのような強調はない。

Regretfully, I never had any children.(Regretfully がないと現在の遺憾な気持ちを表せない)
彼に子供が一人もいないことは気の毒だ。

I have never had any children.(Regretfully がなくても現在の遺憾な気持ちを表せる)
私には子供が一人もいない。

[5-1-4-2]基本的に現在完了形は過去の時を表す副詞句、節と共起しない。それに対して過去時制は過去の時を表す副詞句、節と共起できる。だが、経験の意味の完了形は幅のある過去の時を表す副詞句、節と共起できる。だから、以下のような二文が可能である。

Did you ever meet him while you were in London?
Have you ever met him while you were in London?(経験の意味の現在完了形)
ロンドンにいる間に彼と会いましたか。

[5-1-4-4] did you ever - ? が see, hear, know などの見聞動詞とともに使われると、強い否定を表す修辞的疑問文になることがある。

Did you ever hear of a baby clamber up a curtain?
赤ちゃんがカーテンをよじ登ったという話を聞いたことがあるかい(ないだろう。)

[5-1-5]前述のとおり、現在完了形においては基準時が現在である。

[5-1-5例外]ところが、現在完了形において、基準時が一般の時に置かれたり、未来に置かれることがある。

[5-1-5例外1]基準時が一般の時に置かれる。

You've defined human emotions when you've found the relations between memories and autonomic functions.
記憶と自律機能の関係を見出したとき、人間の情動を定義したことになる。

You've never seen a metropolis until you've been in New York.
ニューヨークに行くまで、大都市を見たことにならない。

[5-1-5例外2]基準時が未来に置かれる。この基準時が未来に置かれることは、条件、時を表す副詞節において未来完了形を現在完了形が代行することによる。

Wait till I have finished my letter.
手紙を書き終えるまで待ってください。

We shall start at five if it has stopped raining by that time.
5時までに雨が止んでいればそのときに出かけよう。

[5-2]完了形の意味と動詞の種類
動詞の分類状態動詞動作動詞
完結動詞非完結動詞
瞬時完結切迫完結緩徐完結
反復可能反復不能
単数主語複数主語
動詞の名称状態動詞動作瞬時完結
反復可能動詞
動作瞬時完結
反復不能動詞
(単数主語)
動作瞬時完結
反復不能動詞
(複数主語)
動作切迫完結動詞動作緩徐完結動詞動作非完結動詞
have, know, seejump, pushreach, bombreach, bombdie, stopwrite, readwrite, read
単純進行形一時的状態・推移反復×複数の反復完結への接近継続継続
単純完了形継続・経験完了結果・反復・経験完了結果・経験完了結果・複数の反復・経験完了結果・経験完了結果・経験継続・経験
完了進行形×反復×複数の反復完結への移行継続継続

I have pressed the button.(動作瞬時完結反復可能動詞、完了)
私はボタンを押してしまった。

I have been pressing the button for ten minutes.(動作瞬時完結反復可能動詞、反復)
私は10分間、ボタンを押し続けている。

The lake has frozen for two weeks.(動作切迫完結動詞、結果)
湖は2週間、凍結したままである。

We've lived in London since 1970.(状態動詞、継続)
私たちは1970年以来、ロンドンに住んでいる。

How long have you known him?(状態動詞、継続)
彼と知り合ってどれぐらいになりますか。

He has sneezed for an hour.(動作瞬時完結反復可能動詞、反復)
彼は一時間前からくしゃみばかりしている。

We've lived in London for twenty years.(状態動詞、継続)
私たちはロンドンに二十年間住んでいる

We've lived in London for two years.(状態動詞、経験)
私たちはロンドンに二年間住んだことがある。

He has been writing a novel since last night.(動作緩徐完結動詞、継続)
彼は昨夜以来、一編の小説を書き続けている。

This watch has been repaired several times.(動作緩徐完結動詞、物主語の経験)
この時計は数回、修理されたことがある。

[5-2注]繰り返すが、動作緩徐完結動詞としての意味と動作非完結動詞としての意味の両方をもつ動詞は多い。例えば、教師が特定の学生に特定の単元を教えるのは動作緩徐完結動詞であり、教師が教員として仕事をするのは動作非完結動詞である。また、人が特定の手紙を書くのは動作緩徐完結動詞であり、人が不特定の日常的な手紙を書くのは動作非完結動詞である。

I have taught her the unit.(この意味では teach は動作緩徐完結動詞である。完了)
私は彼女にその単元を教えた。

I have taught French in this school for ten years.(この意味では teach は動作非完結動詞である。継続)
私はこの学校で10年間、フランス語を教えてきた。

[5-2-1]状態動詞と動作非完結動詞の完了形は継続を表し、完了を表さない。簡単に言って、完結のない動作を表す動詞に完了の意味は生じない。

I have lived here for twenty years.(live は状態動詞→継続)
私は二十年間、ここに住んでいる。

I have written business letters for an hour.(この場合の write は動作非完結動詞→継続)
私は一時間、商用の手紙を書いている。

I have written a letter.(この場合の write は動作緩徐完結動詞→完了)
私は手紙を書き終えた。

I have cried so much that I can no longer cry.(cry は動作非完結動詞→継続)
私は泣き過ぎてもう涙も出ない。

[5-2-2]動作緩徐完結動詞で継続の意味を表すには完了進行形にする必要がある。単純完了形では完了の意味になってしまう。

I had been writing a letter to her for an hour when she came.
彼女が来たとき、私は一時間、彼女への手紙を書いていた。

[5-2-3]動作瞬時完結反復可能動詞ではどの副詞句を付けるかによって完了と反復いずれかを表しえる。完了進行形にすると反復の意味がある。

I have just pushed the button.(just →瞬時→完了)
私はちょうどボタンを押したところだ。

I have pushed the button for ten minutes.(for ten minutes →期間→反復)
I have been pushing the button for ten minutes.(完了進行形→反復) 私は10分間、ボタンを押し続けている。

[5-2-4]完了の結果も継続するものとして期間を表す副詞句と共起できる。

The lake has frozen for two weeks.
湖は二週間、凍ったままだ。

[5-2-5]完了形の否定形は完了の否定か経験の否定かを表すが、それらは完了や経験のない状態の継続とも考えられる。だから、期間を表す副詞句、for などと共起できる。

I haven't read the book yet.(完了の否定→読んでいない状態の継続)
私はまだその本を読んでいない。

I have not read the New Testament for three years.(経験の否定→読んだことがない状態の継続)
私は三年間、新約聖書を読んでいない。

She hasn't left her bed for a week.(完了の否定→床離れのない状態の継続)
彼女は一週間、床離れしていない。

[5-2-6]経験がない期間を for で示すのに対して、経験のある期間は in で示す。

I have read three long novels in a month.
私は一カ月で長編小説を三編、呼んだ。

[5-2-7]結局、すべての動詞が単純完了形で経験の意味をもちえる。経験というと人の経験を連想しがちだが、物も主語になりえる。

For two days, he has been in Bali.(状態動詞、継続)
彼は二日間、バリにいる。

He has been in Bali for two days.(状態動詞、継続または経験)
彼は二日間、バリにいる。または、
彼は二日間、バリにいたことがある。

He has loved her for three years.(状態動詞、継続)
彼は三年間、彼女を愛してきた。

Even I have loved someone before.(状態動詞、経験)
私でさえも誰かを愛したことがある。

This watch has been repaired several times.(動作動詞、受動態、物主語、経験)
この時計は数回、修理されたことがある。

[5-2-8]経験の意味の完了形は、会話の発端において、不定冠詞のつく名詞句と相性が良く、定冠詞のつく名詞句とは相性が悪い。

〇I have received a new pen as a gift.(経験)
×I have received the new pen as a gift.(経験としては×)
私は新しいペンをプレゼントにもらった。

I have /broken/lost/ the new pen.(完了)
私はその新しいペンを/壊し/なくし/てしまった。

[5-2-9]経験の意味では、まず、現在完了形で談話を始めて、過去形に移行するのが普通である。

"I've been to Rome only once." "Did you visited Vatican while in Roma?"
「私はローマに一回だけ行ったことがある」「ローマにいる間にバチカンには行きましたか」

[5-2-10] when で始まる疑問文で完了形が用いられるのは、経験の意味でだけである。それが修辞疑問文になることがある。

When have I ever had a secret from you?
君に隠し事をしたことがあるか。ない。

When has she ever been in New York?
彼女がニューヨークに居たことがあるというのはいつですか。

[5-2-13]経験の意味の現在完了形で現存しないものが主語になると不自然な文になる。

△Einstein has visited Princeton.(アインシュタインは現存しないので△)
〇Princeton has been visited by Einstein.(プリンストンは現存するので〇)
プリンストンはアインシュタインが訪れたことがある。

〇Newton has explained the movements of the moon.(ニュートンの著作は現存するので〇)
ニュートンは月の運行を説明している。

[5-2-14]時、条件を表す副詞節の中では未来完了形は現在完了形で代用される。

Wait till I have finished my letter.
手紙を書き終えるまで待ってください。

We will start at five if it has stopped raining by that time.
5時までに雨がやんでいれば、5時に出かけよう。

[5-3]完了形でよく使われる時の副詞句

現在完了形
 完了・肯定文:already, just
 完了・否定文・疑問文:yet
 継続、反復、完了の結果の継続、完了や経験の欠如の継続:since -, for -, all along
 経験:ever, never, once, twice, three times, often, sometimes, rarely, in -, before, previously, formerly, lately,
過去完了形
 完了:by -
 継続:since -, for -, all along
 経験:in -
 大過去:- before, - previously
未来完了形
 完了:by -
 継続:since -, for -
 経験:in -

I will have retired by the year 2030.(未来完了形、完了)
私は2030年までに退職しているだろう。

I /have seen/saw/ him before.(経験)
私は以前に彼と会ったことがある。

Many people have died in auto accidents in the last ten years.(経験)
この十年間で多くの人が交通事故で亡くなった。

She had never been to London in her life.(経験)
彼女はそれまでロンドンに行ったことがなかった。

Television sets have been costly in the past.(経験)
テレビは以前に高価だったことがある。

I have read this book several times.(経験)
私はこの本を数回、読んだことがある。

He only said what he had said all along.(継続)
彼はずっと言ってきたことを言っただけだった。

[5-3-1]基本的に、完了の意味は基準時と等しい瞬時を表す副詞句と共起し、継続、反復、完了の結果の継続、完了または経験の欠如の継続の意味は基準時を含む期間を表す副詞句と共起する。

I have just pushed the button.(完了)
私はちょうどボタンを押したところだ。

I have pushed the button for ten minutes.(反復)
私は10分間、ボタンを押し続けている。

The lake has frozen for two weeks.(完了の結果の継続)
湖は二週間、凍ったままだ。

She hasn't smiled for a week.(経験の欠如の継続)
彼女は一週間笑っていない。

[5-3-2]現在完了形は yesterday, two days ago, last year など具体的で詳細な過去を表す副詞句と共起しない。

I /saw/×have seen/ him /yesterday/last year/.
私は/昨日/昨年/、彼と会った。

[5-3-3]継続する期間を表すには for または since を用いる。

[5-3-3-1]一つの経験が継続した期間も for で表す。

He has been in Bali for two days.
彼は二日間、バリにいたことがある。

[5-3-4]経験の有無や回数や何番目かを数える期間は in - で示す。

Many people have died in auto accidents in the last ten years.
過去の10年間で多くの人が交通事故で亡くなった。

All my family have had measles in the last ten years.
私の家族は皆、過去の10年間で麻疹に罹った。

She smiled for the first time in days.
彼女は何日もの間で初めて微笑んだ。

She hadn't been in London in years when she went there last month.
彼女が先月、行ったとき、ロンドンへは何年も行ったことがなかった。

The stage was set for the first super-power summit in six years.
6年間で最初の超大国の会談の舞台が整った。

[5-3-5] always, often, sometimes rarely, never などの頻度を表す副詞と完了形の関係。always は継続の意味で使え、その他は経験の意で使える。逆に、always 以外の頻度と回数を表す副詞と共起するならそれは経験の意味であると言える。

I've always walked to work.(継続)
私はいつも歩いて通勤してきた。

I've never walked to work.(経験)
私は歩いて通勤したことがない。

[5-3-6] once, twice, three times などの回数を表す副詞句は経験の意味の完了形と共起できる。

If he goes to Glasgow next month, he will have been to Scotland four times.

[5-3-7]前述のとおり、現在完了形は過去を表す副詞句と共起しない。だが、経験の意味に限って共起することがある。だが、一般的ではない。

I have been to Vienna /in 2000/ten years ago/.
私は/2000年に/10年前に/ウイーンに行ったことがある。

[5-3-8] before, previously, formerly, lately, long ago, in the past, in the times past, in former times, などの曖昧な過去を指す副詞句は経験の意味の現在完了形と共起できる。

I have seen him before.
私は以前に彼と会ったことがある。

Television sets have been costly in the past.
テレビは以前高価だったことがある。

[5-3-9] ever, never は現在完了形とも過去形とも共起できる。

Have you ever met him? Did you ever met him? これまでに彼に会ったことがありますか。

[5-3-10]過去形が back-shift して過去完了形になるときは - ago が - before, - previously に変わる。何十年もの長い年月を隔てている場合は previously は不可。

I joined the firm twenty years ago.
私はその会社に20年前に入社した。

Last spring, I left the firm that I had joined twenty years before.
昨年の春、私は二十年間勤めた会社を辞めた。

Six months ago, I paid equivalence to my annual salary for that car.
6か月前、その車に私の年収相当額を支払った。

The car was now worth twice what we'd paid for it six months /before/previously/.
その車は今、6か月前に買ったときの二倍の値段がする。

[5-4]慣用表現

[5-4-1] have been to - の意味。

①「行ったことがある」経験
②「行って来たところだ」「来た(がもう帰った)」完了。
③出身校を表す。経験

I have once been to Scotland.(①経験)
私は一度、スコットランドに行ったことがある。

I have once been there.(①経験。there が副詞なので、前置詞 to は省略された)
私は一度、そこに行ったことがある。

Have you ever been to Scotland?(①経験)
スコットランドに行ったことがありますか。

I have been to the airport to see her off.(②「行って来たところだ」完了。)
私は彼女を見送るために空港に行って来たところだ。

Has the postman been yet?(②「来た(が帰った)」完了。)
郵便屋さんはもう来ましたか?

He has been to Harvard.(③出身校)
彼はハーバード出身だ。

[5-4-2] have been to不定詞。「~しに行って来たところだ」「~しに来た(がもう帰った)」完了。

Why haven't you been to see me all this time?
どうしてあなたはずっと私に会いに来てくれなかったの。

You have been to see your boyfriend.
恋人と会いに行って来たんだね。

[5-4-3] have been in 前置詞の目的語 の意味

①「~に居たことがある」経験。
②「今まで~にいた」継続。

On arriving at Chicago I made the acquaintance of a man who had been in England previously.①
リバプールに行くとすぐに、以前にイギリスにいた男と知り合いになった。

Where have you been all this time? I've been in Atlanta.②
このところどこにいたのですか。アトランタにいました。

[5-4-4] have gone to 名詞句 の意味

①「行ってしまって今はいない」結果。
②「行ったことがある」経験、米語のみで用いられる。have been to - と書き換え可能である。
③ 慣用句 go to school, go to church などに対応して、「行ったことがある」経験、英米語で用いられる。have been to - と書き換え不能。

The train has just gone.① 列車は今行ってしまった。

I have /gone to/been to/ Australia by plane several times.②
私はオーストラリアに飛行機で数回、行ったことがある。

She had /gone/been/ there on her honeymoon.②
彼女は新婚旅行でそこに行ったことがあった。

Haven't you ever gone to church.③
教会に行ったことがないのか。

[5-4-5] have gone 現在分詞。慣用句 go 現在分詞 (~しに行く、例:go swimming)に対応して、「~しに行ったことがある」経験。英米で。have been 現在分詞と置き換え不能。

Have you ever gone swimming at Corney Island?
コーニーアイランドに泳ぎに行ったことがありますか。

[5-4-6] have been at - の意味。「従事していた」継続。場所ではなく従事を表す。

Prior to coming here he had been at Stanford.
ここに来る前、彼はスタンフォードで学んでいた。(継続)

[5-4-7] have been on 名詞句 の意味。「~に乗ったことがある」乗船、乗車の経験。

I've never been on a boat before.
私は一度も船に乗ったことがない。

[5-4-8]一般的な真理を述べる文では、基準時は一般の現在になる。慣用的表現が多い。

You've defined it when you've found the necessary properties.
必然的属性を見つけたとき、それを定義したことになる。

My theory is that if you've entered one church, you've entered them all.
私の持論は、教会の一つに入ったなら、全部に入ったことになる、というものです。

[6]過去完了形


[6]基本的意味。

①基準時を発話時より過去においた完了、結果、継続、経験。
②大過去。単に過去の基準時より過去に状態または動作があったことを示す。完了、結果、継続、経験のような特別な意味をもたない。 ③話法の転換などでの時制の一致(back-shift)で過去形が過去完了形になったもの。

I gave a sigh of relief. The beer had disappeared.(ため息をついたときが基準時。②大過去とも①過去における完了ともとれる。)
私はほっとしてため息をついた。熊は消えていたのだ。

He was younger than she had expected.(彼と実際にあったときが基準時。②大過去とも①過去における継続ともとれる。)
彼は彼女が予想したより若かった。

He had lived in Paris for five years when they met.(二人が出会った時が基準時。①過去における継続)
彼らが出会ったとき、彼は五年間、パリに住んでいた。

He said that his wife had left him.(彼が言った時が基準時。②大過去とも①過去の基準時における完了ともとれる。)
妻は出て行ったと彼は言った。

上の間接話法は下のいずれの直接話法の転換とも言える。

He said, "My wife left me."
He said, "My wife has left me."

もし、上の被伝達部に just, the day before が付けば以下のようになる。

He said that his wife had just left him.
→ He said, "My wife has just left me."
He said that his wife had left him the day before.
→ He said, "My wife left me yesterday."

以下の例文についても同様のことがいえる。

He told me that he had been glad to see her.
彼女と会えて嬉しかったと彼は私に言った。

→He said to me, "I was glad to see her."(彼女と会えた嬉しさは彼が言った時点でもはや過去のことかもしれない)
→He said to me, "I have been glad to see her."(彼女と会えた嬉しさは彼が言った時点でも続いていた)

[6-1]過去時制を用いるか過去完了形を用いるか

[6-1-1]過去に起こった出来事を時間的順序に従って単純に述べるときは、いずれも過去時制を用いる。

The bear disappeared. I gave a sigh of relief.

[6-1-2]時間的に前の出来事を後で述べるときは時間的に前の出来事に過去完了形を用いる。

I gave a sigh of relief. The bear had disappeared.
私はほっとしてため息をついた。熊は消えていたのだ。

He was younger than she had expected.
彼は彼女が予想したより若かった。

[6-1-3]~するとすぐにの表現

[6-1-3-1] As soon as A, B ではどちらも過去形。

[6-1-3-2] hardly A when B, no sooner A than Bでは慣用的に「AするとすぐにB」「Aし終わらないうちにB」のAを過去完了形にする。また、hardly, no sooner が文頭に来ると倒置が生じる。

I had hardly closed my eyes when the phone rang.=
Hardly had I closed my eyes when the phone rang.
目を閉じたか閉じないうちに電話が鳴った。

[6-1-3-2例外1]現在の習慣などを表す場合は、現在完了形→現在形のことがある。

No sooner has any important politician comes out of the chamber than reporters come close to them carrying microphones and cameras.
誰か大物政治家がその会議室から出てくるとすぐに、記者がマイクとカメラをもって彼らに近づく。

[6-1-3-2例外2] Aがすぐに終わることを強調するときは現在形+現在形、過去形+過去形が用いられることがある。

You no sooner come than you go again.
あなたは来たかと思うとすぐにまた行ってしまうのですね。

[6-1-4]時間的順序に係わりなく、完了の意味を強調するならば過去完了形にする。だから、過去形で表される事柄が過去完了形で表される事柄より前に生じるという一見したところの矛盾が生じることがある。

He went out before I /had finished/finished/ my sentence.
彼は私が言い終わらないうちに出て行った。

He escaped before he /had served/served/ his term.
彼は刑期が終わらないうちに脱獄した。

He will escape before he /has served/serves/ his term.(これは未来の条件、時を表す副詞節中の/現在完了形/現在形/の例である)
彼は刑期が終わらないうちに脱獄するだろう。

いずれも完了形で完了(未完了)を強調している。

[7]未来完了形

[7]基本的意味。未来に基準時をおいた完了、結果、継続、経験

I hope he will have got well by Christmas.(クリスマスが基準時、完了)
彼はクリスマスまでにはよくなっていると思う。

We will have been married a year on June 25th.(June 25th が基準時、継続)
私たちは6月25日で結婚して一年になる。

How many times will you have visited Sidney if you go there again?(もう一度そこに行ったときが基準時、経験)
もう一度行けば、あなたはシドニーに何度、訪れたことになりますか。

I wondered by what hour you would have returned.(what hour が基準時、完了)
君は何時までに帰ってくるのだろうと私は思っていた。

[7-1]未来完了形は格式ばっており、話し言葉では避けられる。例えば、以下の①は②または③のようになる。

①I will have finished the work before you return.→
あなたがお帰りになるまでに仕事を済ませておきます。

②I will be through with the work before you return.
③I will have the work finished before you return.

[7-2] will のより本来的な意味として推測がある。それから発展して、発話時における完了などの推測を表すことがある。

It's no use phoning ― he'll have left by now.
電話しても無駄だ。彼はもう帰っているだろうから。

You will have heard the news, I think?
ニュースはお聞きになったでしょう。

[8]完了進行形


[8]基本的意味。単純進行形が、過去、未来に係らず、ともかく基準時における継続を表すのに対して、完了進行形は過去から基準時までの継続を表す。だから、for -, since -, all - のような期間を表す副詞句と共起する。

[8-1]状態動詞では完了進行形にしなくても単純完了形で継続を表す。

I have loved her for ten years.(継続)
私は10年間、彼女を愛してきた。

[8-2]動作瞬時完結反復可能動詞においては、単純完了形で一回限りの動作の完了または動作の反復を表し、完了進行形では動作の反復をより明確に表す。

I have just pushed the button.(完了)
私はボタンを押してしまった。

I have pushed the button for minutes.
私はボタンを何分も押し続けている。(反復)

I have been pushing the button for minutes.(反復)
私は何分もボタンを押し続けている。

[8-3]動作切迫完結動詞が完了進行形で用いられることはまずない。

The old man was dying when I got to the village.
私がその村に着いたときその老人は臨終の床にあった。

△The old man has been dying for two hours.
その老人は二時間、死の瀬戸際にあった。

[8-4]動作緩徐完結動詞においては、単純完了形は動作の完了を表し、完了進行形は、動作の継続を表す。

I have been reading "Hamlet" this week.(継続)
今週は『ハムレット』を読んでいる。

I have read "Hamlet" this week.(完了)
今週、『ハムレット』を読んだ。

[8-5]動作非完結動詞においては、完了進行形にしなくても継続を表す。

I have taught here for six years.(継続)
私は6年前からここで教えてきた。

This problem has always puzzled me.(継続)
この問題にはいつも悩まされてきた。

[8-5-1]ただし、動作非完結動詞においては、完了進行形は一時的な継続を、完了形は習慣的な継続を表す。

〇That man has been teaching physics to his son for two hours.(一時的継続)
×That man has taught physics to his son for two hours. その男は二時間、息子に物理学を教えている。

〇That woman has taught physics at that university for ten years.(習慣的継続)
その女性は10年間、その大学で物理学を教えてきた。

[8-6]完了進行形に関する限りで、基準時に動作が終わっていても使われることがある。ただし、結果が現在も残っている場合にである。

Be careful! Father has been painting the door.
気を付けて。お父さんがそのドアにペンキを塗っていたよ。

Her eyes were red, she had evidently been crying.
彼女の目は赤かった。彼女が泣いていたのは明らかだった。

It was plain from her face that she had been drinking.
彼女が酒を飲んでいたことは顔から明らかだった。

[9]未来完了進行形

[9-1]動作が継続する期間を表すために未来完了進行形が使われることがある。それ以外ではあまり使われない。

By the end of this month, we will have been learning this language for ten years.
今月末で私たちはこの言語を10年間学んでいることになる。

When he gets his degree, he will have been studying for four years.
彼が学位を取得すると、彼は4年間勉強していることになる。

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