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代名詞
[1]代名詞総論
[1-1]代名詞の機能の分類
言語外世界照応:会話、論述の外にある世界を指す。
言語内照応:会話、論述の中にある、句、節、文を指す。
逆行照応:既に述べたことを指す。
順行照応:これから述べることを指す。
Who is he there?(言語外世界照応)
あそこにいるあの人は誰ですか。
この例文のように、人称代名詞だからといって言語内照応とは限らない。言語外世界照応は、指示代名詞に限られず、人称代名詞にもありえる。
"What does your sister do?" "She is a dentist."(逆行照応)
「君のお姉さんは何をしているの」「歯医者だよ」
Let me tell you this. No one got rich raising prunes.(順行照応)
このことは言っておく。スモモの栽培で金持ちになった人間はいない。
[1-2]言語内照応において、先行詞と代名詞の位置関係についての規則。次のいずれかを満たすこと。
①先行詞が代名詞に先行する。
②先行詞が主節の中に、代名詞が従属節の中にある。
③先行詞が文の要素SVOC(主語、動詞、目的語、補語)のいずれかの中にあり、代名詞がそれらの修飾語の中にある。
〇If John feels good, he will go.①(先行詞が代名詞に先行する)
〇If he feels good, John will go.②(先行詞が主節の中にあり代名詞が従属節の中にある)
気分が良ければジョンは行くだろう。
×He will go if John feels good.(He が既出の John 以外の男性を指すなら間違っていないが、Johnを指すつもりなら間違い)
〇Behind him, John is hiding a weapon.③(先行詞がSであり、代名詞を含む前置詞句がVを修飾する)
ジョンは背後に武器を隠している。
×He is hiding a weapon behind John.(He が既出の John 以外の男性を指すなら間違いではないが、John を指すつもりなら間違い)
[1-2例外] worry, interest, surprise などの人間の心的機能を呼び起こすことを表す他動詞では、目的語に先行詞、主語に代名詞が来ることがある。目的語に特別な重心があるためである。
〇Her own face in the mirror surprised the girl.
鏡の中の自分の顔を見てその少女は驚いた。
〇Each other's health worried the villagers.
村人は互いの健康に悩んだ。
[1-3]代名詞の格
[1-3-1]主格補語の格。文法的には主格だが、主格を用いるのは格式体であり、普通は目的格を用いる。
"Who is it?" "It's /I(格式体)/me(普通体)."
「誰ですか?」「私です」
[1-3-1-1]強調構文の強調部分の格。上と同様に、文法的には主格だが、普通は目的格を用いる。
It was /she(格式体)/her(略式体)/ who came.
やってきたのは彼女だった。
[1-3-2]述部を省略した応答文の格。文法的には主格だが、普通は目的格を用いる。
"Who received the letter?" "/I did/I(格式体)/Me(普通体)/."
「誰が手紙を受け取りましたか」「私です」
[1-3-3]除外を表す but, except, 比較の対象を表す than, as の後の代名詞の格。
but, except の後では目的格、than, as の後では主格、目的格の両様。それは、but, except が前置詞と扱われ、than, as が前置詞と接続詞の両様に扱われるからである。ところで、but, than, as には関係代名詞としての用法もある。それは関係詞の章で述べる。
Nobody /but/except/ him can solve the problem.
彼を除いてその問題を解決できる人はいない。
I like him and her. Comparatively speaking, I like her better than /him/×he/.(この場合、比較の対象が目的格だから than, as が接続詞であったとしてもその後は目的格でなければならない)
私は彼と彼女が好きだ。比較すると、彼より彼女が好きだ。
I and he like her. Comparatively speaking, I like her better than /him/he does/he/.
私と彼は彼女が好きだ。比較すると、彼が彼女が好きであるより私は彼女が好きである。
この場合、than を前置詞と考えれば、than him であり、than を接続詞と考えれば、than /he does/he/ である。いずれにしても、/than/as/の後に主語+助動詞が続くときは主格でなければならない。
[1-3-3-1]だが、使用頻度には差があり、目的格(略式体)→主語+助動詞(普通体)→主格(格式体)の順に頻度が小さくなる。
He is more intelligent than /her/she is/she/.
彼は彼女より聡明だ。
He is as intelligent as /her/she is/she/.
彼は彼女に劣らず聡明だ。
[1-3-4] between は前置詞であるので、後には目的格が来るはずである。だが、you and I に限って、話し言葉で you and I が用いられることがある。書き言葉では避けるべきである。
△Let you and I do it!→
Let you and me do it!
君と僕とでやろうじゃないか。
△Between you and I, he's invited me to his company Christmas party.→
Between you and me, ....
ここだけの話だけど、彼が会社のクリスマスパーティーに私を招待してくれたの。
[1-4]注意すべき代名詞の位置
[1-4-1]代名詞は動詞+目的語+副詞の句動詞においては動詞と副詞の間に来る。ところで、代名詞以外の名詞句なら 動詞→名詞句→副詞 でも 動詞→副詞→名詞句 でもよい。
He took his coat and put it on hurriedly.
彼はコートを取って急いで着た。
He put /his coat on/on his coat/ hurriedly.
彼はコートを急いで着た。
[1-4-2]補語+動詞+主語の倒置において、主語が代名詞の時は、補語+代名詞+動詞の順になる。
Right is the gril. ⇔ Right you are.
その少女は正しい。⇔ 君は正しい。
[1-4-3]場所や運動の方向を表す副詞における倒置において、主語が代名詞のときは倒置が生じない。
Down came the rain. ⇔ Down it came.
雨が降って来た。⇔ それが落ちて来た。
[1-4-4]伝達動詞における 被伝達部+伝達動詞+主語の倒置において、主語が人称代名詞のときは倒置が生じない。
"Leave the snake alone," said the boy. ⇔ "Leave the snake alone," he said.
「ヘビをそっとしておいて」とその男の子は行った。⇔ 「ヘビをそっとしておいて」と彼は言った。
[1-4-5] SVIODO文型においてDOが代名詞のときはSVOA文型が好まれる。
△Give me it.→
〇Give it to me.
それを私にください。
[1-5]代名詞の単数形と複数形
[1-5-1]可算名詞単数形と不可算名詞は代名詞単数形で、可算名詞複数形は代名詞複数形で受けるのが原則である。だが、先行の名詞が単数形であるが意味的に複数ある場合はいきなり代名詞の複数形にすることがある。
They were shooting not just this big bomb but lots and lots of them, and we essentially did the same thing.
彼らはこの大きな爆弾を一発撃つだけでなく、何発も何発も撃っており、私たちも本質的に同じことをしていた。
[1-5-2]性別が問題にならない単数の人間を受けるとき、格式体では he or she で受けるが、普通体では単数にも係らず、they で受ける。
Everybody needs to take /his or her(格式体)/their(普通体)/ own pen.
皆、自分のペンを持って行く必要がある。
このような場合に限って、上の例文のように their を使う場合でも pen と単数形でよい。
[2]代名詞の所有格
[2]所有格の意味と用法については名詞の所有格の章を参照。ここでは、そこで説明されていないことを述べる。
[2-1]共有物の分配を意味する所有格
Now I can say my ABC.
私はもうABCが言える。
He knows his /Bible/Shakespeare/.
彼はある程度、/聖書/シャークスピア/を知っている。
I have forgotten my French.
私はフランス語を忘れた。
これらは、言語、宗教、学問、文学、芸術など人々が共有してしかるべきものついて、自分への分配部分を指すと言える。専ら自分独自のものを指すわけではない。例えば、シェークスピアについて独自の解釈をしているとは限らない。だが、「それなりの」ぐらいの意味はある。それについては以下のとおり。
[2-2]個人がそれぞれに考える、感じる…などの意味をもちえる。冷笑を含むことがある。
So he is one of your swells.
じゃあ、彼は君が言うおえら方の一人かい。
[2-3]独立所有格。以下の場合に使用可能である。
①先行詞が代名詞に先行する。
②先行詞が主節の中に、代名詞が従属節の中にある。
③先行詞が文の要素SVOCの中にあり、代名詞がSVOCの修飾語の中にある。
④先行詞が存在しないが自明の場合
My son is ten years old. How old is yours?①
私の息子は10歳です。あなたのは何歳ですか。
I wish you and yours every joy in life.(your family)④
あなたとご家族のご多幸をお祈りします。
It is yours to help him.(your duty)④
彼を助けるのは君の義務だ。
[2-3-1] its の独立所有格の頻度。稀とされるが、baby, child, animalなどでありえる。
The children's health is poor except the baby's and its is perfect.
子供たちの健康状態はよくないが、赤ん坊は別で、申し分ない。
[2-4]二重所有格
英語では冠詞相当語句(a, the , this, that, some, any, no, etc. と所有格)を二つ以上重ねることがきない。所有格を除く冠詞相当語句と所有格を連ねるときは、of+独立所有格として所有格を後回しにする。その他、次の条件がある。
①ofの後は限定された人でなければならない。
②ofの前は限定されていない人または物でなければならない。
〇an opera of /his/Verdi's/(opeara に an が付き限定されていない。/his/Verdi's/は限定された人である)
/彼/ヴェルディ/のオペラ
×an opera of a composer's(a composer's は限定されていない)
〇an opera /by/of/ a composer
ある作曲家のオペラ
〇a composer's opera
×the daughter of /his/Mr. Brown's/(the daughter は限定されている)
〇the daughter of /him/Mr. Brown/
〇/his/Mr. Brown's/ daughter
/彼/ブラウンさん/の一人娘
〇a daughter of /his/Mr. Brown's/
/彼/ブラウンさん/の娘の一人
〇It is no business of yours.
それは君のしったことじゃない。
[2-4例外]/this/that/+名詞+of+独立所有格の形をとることはある。この場合の/this/that/は「例の/よく知られた/よく話題に出ている/」という意味である。
That wife of his are coming to the party.
例の彼の妻がパーティーに来ることになっている。
[2-5]所有格+own(+名詞)。
単純な所有格と所有格+own(+名詞)は次のように対応する。例えば、our について。
所有格: our+名詞 → our own+名詞
独立所有格:ours → our own
二重所有格:名詞+of+ours → 名詞+of+our own
所有格+own(+名詞)で「自己」の意味を強めることができる。複数形では「自己のそれぞれ」を強調する。
We all have our own defects, and we sometimes have to face our own.
わたしたちの誰もがそれぞれの欠点をもっており、ときにはそれぞれのものに直面する必要がある。
上の例文でもし own がなければ、欠点がそれぞれ個人の欠点ではなく、人間全般の欠点ととられかねない。二番目の our own の後では自明な名詞 defects が省略されている。このとき our own は代名詞ととれる。
In this situation, we cannot separate the safety of the refugees from our own.
この状況では私たちは難民たちの安全を私たち自身のものと切り離すことができない。
上の例文では our own の後で safety が省略されている。
[2-5-1]名詞+of+所有格+own の二重所有格の形をとることもできる。
We sometimes have to face some defects of our own.
わたしたちはときにはそれぞれの欠点のうちのいくつかに直面する必要がある。
上の例文でも our own を用いることによって「自己のそれぞれの」が強調される。
[3]総称の代名詞
[3]総称の代名詞としては、人称代名詞 we, you, they と広義の代名詞 one が可能である。
[3-1] one が総称として使われるのは格式体で古風で稀である。英では one は one で受け、米では his で受ける。
One often fails to see /one's(英)/his(米)/ own mistakes.
人は自分の間違いを見落とすことが多い。
[3-1-1]"I"の婉曲表現としての、one もある。これは総称ではない。
One let it pass, for one doesn't want to seem mean.
私は卑屈と思われたくないから、見逃してやった。
[3-2] they は話し手と聞き手を除外する。だから、本当の一般の人間ではなく、他の国民、関係者、当局、権威、専門家、マスコミ…など曖昧だがある程度、限定される。
They say prices will increase.(専門家)
物価が上がるそうだ。
They speak Spanish in Cuba.(キューバ人)
キューバではスペイン語が話されている。
Why don't they pay nurses enough?(病院経営者)
何故、看護師に十分な給与が支払われないのだろう。
They're mending the road there.(当局、公共機関の該当部署や業者)
そこでは道路の修理が行われている。
[3-3] you は話し手を除外するが、「私は別だ」ということを強調するわけでは全くない。
You cannot eat your cake and have it too.(諺)
消費すれば所有することはできない。
[3-4] we は you とともに日常でよく用いられるが、以下のように宣言、憲章、憲法などでも用いられる。
We the Peoples of the United Nations Determined
to save succeeding generations from the scourge of war, which twice in our lifetime has brought untold sorrow to mankind, and ...(国連憲章前文冒頭)
われら連合国の人民は、
われらの一生のうちに二度まで言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害から将来の世代を救い、…
[4] we
[4] we の分類
①inclusive "we"(聞き手を含む)、②exclusive "we"(聞き手を含まない)、③royal "we"、④editorial "we", ⑤"we" involving readers, ⑥parental "we"
[4-1] inclusive "we"。聞き手を含む。Let's の us, Shall we -? の we が典型である。
Let's enjoy ourselves, shall we?
さあ楽しもうぜ。
[4-2] exclusive "we"。聞き手を含まない。聞き手の許可を得るときなどに用いる。
Please let us go without you.
あなたなしで私たちだけで行かせてください。
[4-3] royal "we"。ヨーロッパの宮廷で君主などが I の代わりに用いた。事実上廃用。
[4-4] editorial "we"。新聞社の編集長などが編集者など一同を指して用いる。マスメディアとしての重みをもたせる。
[4-5] "we" involving readers。著者や講演者が読者や聴衆を巻き込み、共感を喚起する。
We now turn to a different problem.
では別の問題に移ります。
[4-6] parental "we"。患者、顧客などを巻き込み、治療、サービスなどへの協力を喚起する。
Well, how are we this morning, Ike?
やあ、アイク、今朝は調子はどう?
[5] it
[5] it の分類
外界照応
①事物
②性別不明の人
③時間、距離、天候…などの漠然としたもの
テキスト内照応
③逆行照応
④順行照応
[5-1]外界照応で事物を表す it
It happened so quickly.
それは急に起こった。
[5-2]外界照応で性別不明の人を表す it
There's the doorbell. It must be Mary.
玄関のベルが鳴っている。メアリーに違いない。
[5-3]外界照応で時間、距離、天候…などの漠然としたものを表す it
It was a quarter to twelve.(時間)
12時15分前だった。
It's Sunday tomorrow.(時間)
明日は日曜日だ。
It was the first time /that/when/ such a privilege had been accorded him.(時間を指すのであって、強調構文ではない)
それはそのような特権が彼に与えられた初めてのときだった。
It's windy in Chicago.(天候)
シカゴはよく風が吹く。
It is /raining/snowing/.(天候)
/雨/雪/が降っている。
It's not far to York.(距離)
ヨークは遠くない。
How far is it to Paris.(距離)
パリまでどれくらいありますか。
It's very quiet in here.(静かさ)
ここはとても静かだ。
Do you like it here?(風土)
あなたはここが気に入りましたか。
It's all up with him.(状況全般)
彼はどうしようもない。
[5-3-1]慣用表現。代表的なものだけを挙げる。
[5-3-1-1] catch it:罰を受ける、叱られる
You'll catch it for breaking the window.
窓ガラスを割ってしかられるぞ。
[5-3-1-2] foot it:(長い距離を)歩く
I will foot it home.
私は歩いて家に帰ろう。
[5-3-1-3] make it:成功する、うまくやる
He couldn't make it in business.
彼は商売で成功しなかった.
Let's make a night of it.
素敵な夜にしよう。
[5-4]テキスト内照応、逆行照応の it。先行の句または節または文を受ける。
He bought a car. It's a Ford.
彼は車を買った。フォードの車だ。
[5-4-1]性をもつことが明らかでない単数可算名詞、物質名詞、抽象名詞を含む不可算名詞を受けられる。
Beauty is everywhere and it makes us happy.
美はいたるところにあり、私たちを幸せにする。
ただし、抽象的概念は女性扱いにして以下のようにすることはある。
Beauty is everywhere and she makes us happy.
[5-4-1-1]擬人化されていない動物、性別不明または性別を記すことが不要の乳幼児、子供を受けられる。
The child is crying, isn't it?
あの子は泣いているのではありませんか。
[5-4-2]先行する文、節、句を受けられる。
Tomorrow will be fine. No one doubts it.(文を受ける)
明日は晴れだろう。誰もそれを疑わない。
He can't drive a car. Neither can she do it.(動詞句を受ける)
彼は車の運転ができない。彼女もできない。
She is intelligent, though she doesn't look it.(形容詞句を受ける)
彼女は、そうは見えないが、賢い。
[5-4-3]前の疑問文を指すには it は不要である。
"Who said it?" "I don't know."
「誰がそう言ったの」「知らない」
[5-5]テキスト内照応、順行照応
[5-5-1]形式主語 it となることが多い。形式主語が用いられないのは、it で受けるべき部分とそれ以外を比較して、それ以外が比較的長い場合である。
That she would be on time could hardly be expected.
彼女が間に合うことはほとんど期待できなかった。
[5-5-2]形式主語 it が受けるものは何か
①通常の名詞句
②to不定詞
③動名詞
④that節
⑤wh節
⑥if節(④疑問詞節と異なり、仮定の接続詞 if が導く節)
⑦when節(④と異なり、時の接続詞 when が導く節
[5-5-2-1]通常の名詞句。稀である。名詞句の前にコンマが置かれると容認されることが多い。
It is the ideal place in which to think, a railway carriage.
列車の中はものを考えるのに理想的な場所だ。
It is amazing the belief they have in one another.
彼らが互いに寄せている信頼は驚くべきだ。
[5-5-2-2] to不定詞
These are situations which it is difficult to explain.
これらは説明しにくい状況だ。
You don't know what it is to be poor.
君は貧乏であることがどういうものか知らない。
[5-5-2-3]動名詞。かなり略式体。難易、無駄、感情的判断を強調する場合に限られる。動名詞の前にコンマが置かれると容認されることが多い。
It is difficult making new friends.(難易)
新しい友達をつくることは難しい。
It is nice being with you.(感情的判断)
あなたと一緒にいると楽しい。
It is no use his apologizing.(無駄)
彼が謝っても無駄です。
It was so easy being with him.(難易)
彼と一緒に居ると気楽だった。
It is a hobby of hers to collect stamps.
×It is a hobby of hers collecting stamps.
切手集めは彼女の趣味の一つです。
It would be surprising, your being able to find a new job.(コンマがある)
君に新しい仕事が見つかったら驚きだろう。
It's tough being a man.(難易)
男はつらいよ。
[5-5-2-4] that-clause
[5-5-2-4-1] It isが省略されることがある。
Small wonder that he decided to take no part in the debate.
彼がその議論に参加しないことに決めたことは大きな驚きではない。
[5-5-2-4-2]主観的判断であることを敢えて示す場合、感情を敢えて込める場合は、should を用いることがある。そうでなければ、直接法を用いる。
It's a pity that you should have to go home so soon.
あなたがすぐに帰宅しなければならないことが残念です。
[5-5-2-4-3] It is necessary that- などの広義の命令表現では、アメリカ英語では仮定法現在(動詞の原型)、イギリス英語では should を用いる。
It is necessary /for him to prepare for the worst/that he (should) prepare for the worst.
彼は最悪の事態に備えておく必要がある。
[5-5-2-5] wh-clause
It is still a mystery why he killed himself.
彼が何故自殺したかいまだ謎だ。
[5-5-2-6,7] 仮定の接続詞 if が導く節。時の接続詞 when が導く節
It will bewilder everybody /if/when/ they are uncertain where to run.
どこに逃げたらよいか分からない/場合/時/は誰も狼狽するだろう。
[5-5-3]形式目的語の it が受けうるもの。形式主語と異なり、以下のとき、形式目的語 it が義務的に用いられる。
①to不定詞
②動名詞
③that節
④wh節
⑤if節(④疑問詞節と異なり、仮定の接続詞 if)
⑥when節(④と異なり、時の接続詞 when
He felt it his duty to visit her in hospital.①
彼は彼女を見舞うのは自分の義務だと感じた。
I thought it pointless starting before eight o'clock.②
8時前に発つのは意味がないと思った。
I'd consider it a compliment if you accepted.⑤(仮定の接続詞 if)
お受けいただければ光栄です。
I will leave it to you to decide.①
私は決定を君に任せる。
[5-5-3-1] SVOC文型のOまたはSVO(小節)の中のO(小節)の主語を it で受けるだけでなく、SVO文型のOが/that節/wh節/if節/when節/であり、the fact (that)「~という事実」, the case (that)「~の場合」 などの意味をもつとき、形式目的語 it を義務的に置く。
I can't help it if you think I'm odd.=
I can't help the case that you think I'm odd.
君が僕のことを変人だと思っても僕はどうしようもない。
She hated it when her mother acted like that.=
She hated the case that her mother acted like that.
彼女は母親がそのように振る舞うのが嫌いだった。
I don't like it that you were there.=
I don't like the fact that you were there.
私は君がそこにいたのが気に入らない。
She loved it that he made all the decisions.=
She loved the fact that he made all the decisions.
彼女は彼が何でも決定してくれるのが有り難かった。
[5-5-3-2]下の Depend upon it, は「きっと」という意味の慣用句である。
Depend upon it, the book will be a best-seller.
間違いなく、その本はベストセラーになる。
[5-5-4]強調構文において、It is X that関係詞節の形でthat節の中の主語、動詞の目的語、前置詞の目的語、副詞句、副詞節をXとして強調することができる。Xは新情報である。通常、新情報は後方に置かれるが、強調構文は新情報を前方において強調する。
He broke the window with a stone yesterday.→
彼は昨日、石でその窓を割った。
It was /him/he/ /that/who/ broke the window with a stone yesterday.(主語)
It was the window that he broke with a stone yesterday.(動詞の目的語)
It was with a stone that he broke the window yesterday.(副詞句)
It was yesterday that he broke the window with a stone.(副詞句)
It was when I was in Berlin that I first met her.(副詞節)
彼女と初めて会ったのは私がベルリンに居たときだった。
[5-5-4-1]強調するものが人であるとき who を用いることも可能である。強調するものが物であるとき、which を用いることもできるが、稀である。
It is /I/me/ who am to blame.
悪いのは私です。
It was the doctor who she married.
彼女が結婚したのはその医者だった。
[5-5-4-2]すべての場合で/that/who/which/は省略されえる。
It is I (/that/who/) am to blame.
悪いのは私です。
[5-5-4-3]疑問詞も強調されえる。
Who is it that is to blame?
悪いのは誰だ。
[5-5-5]慣用句
[5-5-5-1] Depend upon it, 節「きっと」
Depend upon it, the book will be a best-seller.
その本は間違いなくベストセラーになる。
[5-5-5-2] See to it that節「気を付けて~する」
See to it that this doesn't happen again.
こんなことが二度と起こらぬよう気をつけなさい。
[6]再帰代名詞
[6]再帰代名詞の構造
| 単数 | 複数 |
一人称 | myself | ourselves |
二人称 | yourself | yourselves |
三人称 | himself herself itself | themselves |
代名詞所有格+形容詞+self(selves)の形も可能だが、これは再帰代名詞ではなく、文字通り「~な自己」を意味する。
My mother gave her whole self to her job.
母は仕事に自分のすべてを捧げていた。
Her father was /his/×him/ usual discreet self.
彼女の父親はいつもの慎重な彼だった。
[6-1]再帰代名詞の用法の分類
[再帰用法]
①再帰動詞(再帰代名詞の使用が義務的である)において
②準再帰動詞(再帰代名詞を省略して自動詞化できる)において
③一般の動詞において
[強意用法]
[6-1-1]再帰用法。主語と動詞の目的語または前置詞の目的語が同一である、または、動詞または前置詞の目的語と別のそれらが同一である場合の用法である。
[6-1-1-1]再帰動詞(再帰代名詞の使用が義務的である)において
You should avail yourself of every chance to improve your English.
あなたは英語力を伸ばすあらゆる機会を利用するべきだ。
I betook myself to London.
私はロンドンに行った。
He absented himself from the meeting.
彼はその会合を欠席した。
He prides himself on his driving skill.
彼は自分の運転技術を自慢している。
[6-1-1-2]準再帰動詞(再帰代名詞を省略して自動詞化することが可能である)において
Behave (yourself) now!
さあ、行儀よくしなさい。
I won't oversleep (myself).
私は寝過ごさないつもりだ。
adjust (oneself) to one's new way of life
新しい生活様式に慣れる
prepare (oneself) /for/to accept/ defeat
敗北の/敗北を受け入れる/覚悟をする
[6-1-1-2-1]以下の例文のように、再帰動詞または準再帰動詞が一般の目的語をとれる場合がある。
adjust the seat to one's height
自分の身長に合うように座席を調節する
[6-1-1-3]上のような特殊な動詞ではなく、一般の動詞において、他動詞の目的語または前置詞の目的語になることがある。このとき、
①先行詞と再帰代名詞は一つの単文または節(小節を含む)の中になければならない。
②先行詞が先行しなければならない。
〇He talked to her about himself.(単文の中で主語と前置詞の目的語が同一)
彼は彼女に自分のことを話した。
〇He talked to her about herself/.(単文の中で前置詞の目的語と別の前置詞の目的語が同一)
彼は彼女に彼女のことを話した。
〇He thought that she admired herself.(that節の中で主語と動詞の目的語が同一)
彼は彼女がうぬぼれていると思った。
×He thought that she admired her.(her では別の女性を敬愛しているという意味になってしまう)
〇He thought that she admired him.
彼は彼女が彼のことを敬愛していると思った。
×He thought that she admired himself.(that節の中で主語と動詞の目的語が同一でない)
彼は彼女が彼のことを敬愛していると思った。
〇He wanted her to wash herself.(her to wash herself は小節であり、小節の中で主語と動詞の目的語が同一)
彼は彼女に彼女の手を洗って欲しかった。
〇He wanted her to wash him.
彼は彼女に彼の手を洗って欲しかった。
×He wanted her to wash ×himself.(小節の中で主語と動詞の目的語が同一でない)
〇He shaved himself.(先行詞が再帰代名詞より前にある)
彼は髭を剃った。
×Himself was shaved by him.(先行詞が再帰代名詞より前にない)
He seemed to her to admire /himself/×him/×herself/.
(全体を SVC型の単文と見なせ、主語とCの中の動詞の目的語が同一である。to her は単なる修飾語でしかない)
彼はうぬぼれているように彼女には思われた。
[6-1-1-3-1]他動詞の目的語であり、主語と目的語が同一であるときは再帰代名詞を使用しなければならない。そうでないと、指すものが別人になる。
The girl saw /herself/×her/ in the mirror.(her では the girl 以外の女性を見たことになる)
その女の子は鏡に映る自分を見た。
[6-1-1-3-1例外]だが、I→me, you→you, など誤解の生じようのないときは普通の代名詞を用いることがある。
Like a bridge over troubled water. I will lay me down.(Simon & Garfunkel)
荒れた水の上に架かる橋のように。私は横たわろう。
[6-1-1-3-2]前置詞の目的語であるとき
[6-1-1-3-2-1]再帰代名詞が義務的に用いられる場合。①句動詞の目的語。②他動詞起源の名詞の補部。③前置詞が目的、方向を表すとき。④場所などを表す前置詞が比喩的で心的機能を表すとき。
She can look after herself.①
彼女は一人暮らしができる。
I did not know what to do with myself.①
私はどうしたらいいか分からなかった。
He thinks too much of himself.①
彼は自分を高く評価し過ぎる。
She heard a criticism of herself.②(動詞 critisize の名詞化)
彼女は自分に対する批判を耳にした。
He gave her a photograph of /himself/herself/.②(動詞 photograph の名詞化)
彼は彼女に/自分/彼女/の写真をあげた。
I kept it for myself.③
私はそれを自分のために取って置いた。
She was talking to herself.③
彼女は独り言を言っていた。
He aimed the gun at himself.③
彼は自分に銃を向けた。
She was beside herself with rage.④
彼女は怒りで我を忘れていた。
He winced within himself.④
彼は心の中でひるんだ。
[6-1-1-3-2-2]再帰代名詞ではなく普通の代名詞を用いる場合。動詞が静止動詞で前置詞が場所を表す場合。静止動詞でないときはどちらでもよい。
Have you any money on you?
おカネの持ち合わせがありますか。
She had her fiance besides her.
彼女は婚約者をそばにはべらせていた。
We have the whole day before us.
これからまる一日ある。
I drove the flies away from /me/myself/.(静止動詞ではない)
私はハエを追い払った。
He saw a reptile near him.
彼は近くで爬虫類を見かけた。
[6-1-1-3-2-3]再帰代名詞、代名詞のどちらも可能な場合。動詞が運動の動詞で前置詞が場所を表す。
I pulled the covers over /me/myself/.
私はカバーを体の上に引き寄せた。
I tied the rope around /me/myself/.
私はロープを体に巻き付けた。
I drove the flies away from /me/myself/.
私はハエを体から追い払った。
[6-1-2]強意用法
[6-1-2-1]主語を強調する場合。主語の後または中位または文末
I myself have never been there.(主語の後)
I have never myself been there.(中位で否定語の後)
I've never been there myself.(文末)
私自身はそこへ行ったことが一度もない。
[6-1-2-2]目的語、補語を強調する場合。それらの後
I spoke to the manager himself.(目的語の後)
私は支配人自身と話した。
She was kindness itself.(補語の後)
彼女は親切そのものだ。
[6-2]慣用的表現
[6-2-1] to oneself で「一人で~する」を意味する。
[6-2-1-1]伝達動詞において、以下の動詞は「独り言を言う」「一人でほくそ笑む」などの意味になる。
talk, speak, mutter,
sing,
laugh, smile, chucle,
frown,
それに対して、say to oneselfは「心の中で思う」「自分に言い聞かせる」を意味する。
[6-2-2] by oneself の by は「~のそばに」の意味であり、by oneself で「自分のそばに」→「一人で」の意味になる。また、by には「~によって」(方法・手段)の意味があり、「自分によって」→「独力で」の意味になる。
The old man lives (all) by himself.
その老人はひとり暮らしです。
I did the whole of the work by myself.
私はその仕事を全部自分でやった.
[6-2-3] for oneself の for は「~のために」の意味であり、for oneself で「そのもののために」のためにという意味になる。さらに発展して「一人で」「独力で」の意味にもなる。
That is your problem. You have to figure out how to solve it for yourself.
それはあなたの問題です。独力でどう解決するかを見つけ出さなければなりません。
I want to be able to do things for myself by myself.
私は自分のことを自分でできるようになりたい。
He values labor for itself.
彼は労働そのものに価値をおく。
[6-2-4] of oneself の of は「~から」の意味であり、of oneself で「ひとりでに」「自ずと」を意味する。だが、古語であり、現代では by oneself を用いる。つまり、by oneself には「ひとりでに」「自ずと」の意味もある。
The bleeding stopped by itself.
出血は自ずと止まった.
[6-2-5] in oneself は「それ自体」を意味する。前置詞なしの oneself でも同意のことがある。また、as such なども同意のことがある。
The free competition between economic powers does not matter in itself. What matters is the collusion between them and that between them and political powers.
経済的権力の間の自由競争はそれ自体では問題にならない。問題になるのは政治的権力の間及び経済的権力と政治的権力の間の癒着だ。
[7]指示代名詞
[7-1]外界照応の this, these, that, those
[7-1-1]現実世界の話し手の領域または聞き手の領域または第三者の領域にあるものを指す。物質的身体的空間的領域(例えば、実際に手に持っている)だけでなく、心理的領域においても以下のことが言える。
| 話し手 | 聞き手 | それらの外 |
日本語 | これ、これら | それ、それら | あれ、あれら |
英語 | this, these | that, those | that, those |
つまり、日本語の「それ」と「あれ」の区別は英語にはない。
This is Betty, Mum.(電話で話し手の領域→this)
もしもし、ベティだよ。お母さん。
Give me that filthy lollipop! Don't put it in your mouth.(聞き手の領域→that)
その汚いキャンディーをよこしなさい。それを口に入れてはいけません。
Don't talk to your mother like that.(聞き手の領域→that)
お母さんに向かってそんな口のきき方をするものではありません。
That is the Statue of Liberty over there.(第三者の領域→that)
あちらに見えますのが自由の女神像でございます。
The bell rang. "That's her," they said with one voice.(第三者の領域→that)
ベルが鳴った。彼らは一斉に「あれは彼女だ」と言った。
I used to enjoy those enormous hotel breakfasts.(第三者の領域→those)
かつて私はあの盛りだくさんのホテルの朝食を楽しんだものだ。
That Bach had genius.(第三者の領域→that)
あのバッハは天才だった。
[7-1-2]だが、英語の this, these, that, those の区別は日本語のものよりかなり主観的で感情的である。聞き手の領域にあっても、話し手がそれは自分のものだと思えば this, these を用いることは多々ある。また、that, those は修飾する語に嫌悪などの陰性感情を込めることがある。心理的な領域に入れたくないという心情からである。
She is coming. I hope she doesn't bring that husband of hers.(第三者の領域にあることに加えて、心理的領域に入れたくない)
彼女がやってくる。彼女があの夫を連れて来なければいいが。
He took it, said, "What's that?" and threw it away.(手に取っているが、心理的領域に入れたくない)
彼はそれを取り、「何だこれは」と言ってそれを投げ捨てた。
These inexperienced maids are always breaking dishes.(inexperienced に既に陰性感情がこもっているので)
この不慣れなメイドたちはいつも皿を割っている。
Take that! (人を殴るときに自分の拳であっても、心理的領域に入れていない)
これでもくらえ。
[7-1-3]電話での自分と相手の指し方
| 自分 | 相手 |
英 | this | that |
米 | this | this>that |
つまり、英では話し相手の実際の位置に重点を置き、米では声の聞こえて来るスピーカーに重点を置いている。
Hello. This is Mary. Is that Ruth?(英)
もしもし、メアリーですが、ルースさんですか。
"Hello? Is this Tracy Whitner?" "Who is this?"(米)
「もしもし、トレーシー・フォイットナーさんですか」「どなたですか」
[7-1-4]初出のものに this を用いることがある。以下は後述するテキスト内照応(順行照応)の this でもあるが、作者は登場人物に対する親しみを読者にもってもらおうとしている。
I was walking along the street when this girl came up to me.
私が通りを歩いていると、これからお話しする女の子が近づいてきました。
[7-2]テキスト内照応の指示代名詞。指示するもの。句、節、文、動詞句、形容詞句などを指す。
I knew there was a snake in the room, but that was not what worried me.(節 there was a snake in the room を指す)
部屋の中に蛇がいたのを知っていたが、それは私が悩んでいることではなかった。
"You are awfully strong." "I am that."(形容詞句 awfully strongを指す)
「君は凄く強い」「そうだよ」
[7-2-1] this と that の使い分けが絶対的である場合。会話で自分の言ったことの全体または部分は this で、相手の言ったことの全体またが部分は that で指示する。
"There seems to have been a error in my calculation. This is what I am confirming."
「私の計算には間違いがいくつかあったようだ。それを今、確かめているところだ。」
"There seems to have been a error in your calculation." "Yes, that's what I am confirming."
「君の計算には間違いがあったようだ」「うん。それを今、確かめているところだ」
[7-2-2]逆行照応と順行照応。thisは逆行照応と順行照応がありえる。thatは逆行照応のみ。
He abhorred fanaticism. In this he truly mirrored the spirit of Bismark's era.(逆行照応)
彼は熱狂を嫌悪していた。この点で、彼は真にビスマルクの時代の精神を反映していた。
And this I warn you: take no hand or part in negotiating with him.(順行照応)
そしてこのことを警告する。彼との交渉に一切係るな。
[7-2-3]名詞句の反復を避ける that, those。前出の名詞句を指し、the+前出の名詞句の意味になる。of -, 関係代名詞節などの修飾語句を伴う。可算名詞単数形または不可算名詞は that で受け、可算名詞複数形は those で受ける。前出の名詞句には the が付いていなくてもよい。
The area of the USA is larger than that of Brazil.
アメリカ合衆国の面積はブラジルのそれより大きい。
The finest wines are those from France.
最高のワインはフランス産のそれらだ。
A fence divided his garden from that of the next house.
柵が彼の庭と隣の家の庭を仕切っていた。
[7-2-3-1] the+名詞の代用となる that, those のうち that は人を代用できない。those は人を代用できる。
The blond girl I saw was older than /the one/×that/ you were dancing with.
私が見たブロンドの女の子は君がダンスしていたのより年上だった。
The blond girl I saw was older than those (/who/whom/that/) you were talking to.
私が見たブロンドの女の子は君が話していた女の子たちより年上だった。
[7-2-4]前の節の反復を避ける that。これは省略できる。
I must consult him, and (that) at once.
彼に相談しなければならない。それもすぐに。
[7-3]例外的意味用法
[7-3-1] those+修飾語句で、前述の限定された人々ではなく、一般の「~の人々」を指すことがある。
Be kind to those around you.
周りの人々に優しくしなさい。
There are those who believe it, though others are skeptical.
それを信じる人もいれば懐疑的な人もいる。
[7-3-2]関係代名詞と相関的に用いる that, those。that which, those which は物について用いるが、古風であり、what を用いるのが普通である。that who はない。those whoはあり、一般の「~の人々」を指す。いずれにしても、これらの that, those は前出のものを指す逆行照応ではなく、後続する関係節の全体または部分を指す順行照応である。
That which he told me to do I did.=
I did what he told me to do.
彼に言われたことを私はしました。
He had that in his eyes which forbade further trifling.
彼の目にはそれ以上いいかげんにあしらうことを許さないものがあった。
Unfortunately, those who work hard do not always succeed.
残念なことだが、一生懸命働く人が常に成功するとは限らない。
[7-3-3]形容詞用法の that, those が関係代名詞と相関的に用いられることもある。この場合も /that/those/ 名詞 which は物を指し、that 名詞 who はなく、those 名詞 who は人々を指す。いずれにしても、これらの that, those も前出のものを指す逆行照応ではなく、後続する関係節の全体または部分を指す順行照応である。
I keep only those books at hand which I want to read again.
私はもう一度読みたい本だけ手元に置いておく。
The future of a nation depends upon those young people who are sound in mind and body.
国の未来は心身ともに健全な若者にかかっている。
[7-3-4] this, that で後者、前者。古語である。
Health is above wealth, for this cannot give so much happiness as that.
健康は富に勝る。何故なら、後者は前者ほどの幸せをもたらさないから。
[7-3-5]副詞の this, that は so, such と等しい。
"The table's about this high and this wide," she showed with her arms stretched.
「そのテーブルは高さも幅もこんなにある」と彼女は腕を広げて示した。
[7-3-5-1]疑問文、否定文で「あまりない」= not very を表す。
He isn't (all) that rich.
彼はあまり裕福ではない。
[7-3-5-2]接続詞 that と相関する that。これは古語または方言である。=so, such。
I'm that hungry (that) I could eat a dog.
私は空腹で犬も食えそうだ。
He blushed to that degree that I felt quite shy.
彼がひどく赤面したので、私も恥ずかしくなった。
[7-4]慣用句
[7-4-1] this and thatで「あれこれ」「いろいろ」。
He went to /this doctor and that/this and that doctor/.
彼はいろんな医者に診てもらった。
[7-4-2]慣用的に that を用いることが定着している表現は、
..., that is (to say), .... すなわち、つまり
That is that. 言いたいのはそれだけだ。
That is it. (最善策などは)ああ、それだ。
など多数ある。
[8]one
[8]可算名詞の代用をする。単独、または後位修飾語付きでは a+可算名詞の代用をする。前位修飾語付きでは可算名詞の代用をするが、不定冠詞 a を省略することもできる。複数形 ones も可能である。物も人も代用する。
I've lost my pen, so I must buy /one (a pen)/×it/.(単独)
ペンをなくしたので、買わなければならない。
"I've lost my pen." "Here /is one (a pen)/it is/."(単独)
「私はペンをなくした」「ここに/別のがあるよ/それがあるよ/」
I am looking for a flat. I'd like one with a garden.(後位修飾語付き)
フラットを探している。庭付きがいいね。
I'd like (a) small one with a garden.(前位修飾語付き)
庭付きの小さいのがいいね。
He was a bachelor and was likely to remain one.(単独、人を代用)
彼は独り者で、独り者で通しそうだった。
The year has been one of political unrest.(後位修飾語付き)
その年は政治不安の年だった。
These are our best shirts. Which /one/ones/ would you like to try on?(複数形も可能)
これは当店最高級のシャツでございます. どれかお召しになってみますか。
[8-1] one の前位修飾語としては、some, any, every, no, neither も可能である。some, any, neither では、one は省略可能である。また、no one は none となる。それらとは別に someone, anyone, everyone, no one はそれら自体代名詞になっている。ただし、それらは人のみを代用する。
/Neither (one)/None/ of them said anything for nearly a minute.(neither は them が二人の場合、none は them が三人以上の場合)
一分近く、彼らの/どちらも/誰も/何も言わなかった。
[8-2] one を用いることができない場合
[8-2-1]不可算名詞は指さない。
He likes white wine better than red (×one).
彼は赤ワインより白ワインののほうが好きだ。
[8-2-2]代名詞の所有格と名詞の所有格の後では用いられない。独立所有格を用いる。ただし、所有格+形容詞+oneは可能。
My house is smaller than Robert's (×one).
私の家はロバートの家より小さい。
My house is smaller than Robert's expensive one.
私の家はロバートの高価な家より小さい。
[8-2-3]基数詞の後では用いられない。ただし、基数詞+形容詞+one は可能。
He has three rabbits and I have only two (×ones).
彼はウサギを三匹かっているが、私は二匹だけかっている。
[8-2-4] pair の代わりはできない。
This pair of shoes /is/×are/ not mine. Mine is that new /pair/×one/.
この靴は私のではありません。私のはあの新しい靴です。
[8-3]数詞としての one もあり、それは上の代名詞の one とは異なり、two, three... と文法的に等価である。
/One/Two/ of the girls /was/were/ late.
それらの女の子のうち/一人/二人/が遅刻した。
/He/They/ /is/are/ /one/two/ of us.
/彼/彼ら/は仲間だ。
[8-4]前述のとおり、一般の人を指す総称としての one もあるが、格式体である。
[9]so, such, thus, the same
[9-1] so について。so が代用するものは、形容詞句、叙述名詞句(fool など)、副詞句、節である。
Prices at present are reasonably stable, and will probably remain so.(形容詞句)
現在の物価はほどよく安定している、今後もたぶんそうだろう。
If he's a criminal, it's his parents who have made him so.(叙述名詞句)
彼が犯罪者だとしたら彼をそうしたのは両親だ。
Mary searched the big room very carefully and the small one less so.(副詞句)
メアリーは大きな部屋を注意深く捜したが、小さい部屋はさほど探さなかった。
"Has he failed?" /"I think so."/"I think not."/(節)
「彼は失敗したのか。」/「そう思う。」/「そうでないと思う。」/
"Are you really coming?" "I told you so."(節)
「本当に来るんですか。」「そう言ったでしょう。」
"Will he succeed? " "I hope so." "I'm afraid not."(節)
「彼は成功するだろうか。」「そう思う。」「成功しないと思う。」
[9-1-1]肯定の節を so が代用し、否定の節を not または not - so が代用する動詞。think, suppose, be afraid, appear, assume, expect, fancy, imagine, presume, seem, tell, understand
"Would Ukraine succeed in countering Russian invasion?" "/I think so/I think not=I don't think so/."
「ウクライナはロシアの侵攻への反撃に成功するのだろうか」「/成功すると思う/成功しないと思う/」
[9-1-2]肯定の節を so が代用し、否定の節を not が代用し、not -so が代用しない動詞。hope。
"Is it going to rain?" "/I hope not/×I don't hope so/."
「雨になりそうですか。」「降らないでほしい。」
[9-1-3]肯定の節を so が代用し、否定の節を not - so が代用し、not が代用しない動詞。claim, declare, say, state, tell などの伝達動詞。
"Did she tell you that she was coming to the party?"
/"Yes. She told me so."/"No. She didn't told me so."/×No, she told me not./
「彼女はパーティーに来ると言いましたか」
/「はい、そういいました」/「いいえそうは言いませんでした。」/
[9-1-4]節を so で代用し、so を文頭に回すことがあり、そのとき主語が名詞なら倒置を起こし、代名詞なら倒置を起こさない動詞。
appear, seem, say
"Is there life on Mars?" "So it /appears/seems/."
「火星には生物がいますか。」「そのようです。」
"She is a pretty girl." "So say all my friends."
「彼女はかわいい。」「友達もみんなそう言っている。」
[9-1-5]節を so で代用し、so を必ず文頭に回し、倒置については同上である動詞。see, hear, gather, notice
"Is it raining outside?" "So I see."
「外は雨ですか。」「そのようです。」
[9-1-6]節を代用する so と it の違い。節の内容が真であるという態度を明確にするには it を用い、そうでないなら so を用いる。
She asserts that he is innocent, and I assert it too.
彼女は彼が無実だと主張している、私もそうだと主張する。
[9-1-7]形容詞を修飾して形容詞句を構成し、その形容詞句がさらに名詞を修飾することがある。その場合は、so+形容詞+不定冠詞(a)+名詞の語順になる。だが、これは古語である。
It was so mysterious a night.
それはすごく神秘的な夜だった。
[9-2] such について。such が代用するものは、名詞句だけでなく形容詞、副詞句、節、文である。代名詞、名詞修飾語、副詞としても機能する。
I may have offended, but such was not my intention.(代名詞として機能、節を代用する)
怒らせたかもしれないが、そのようなことは私の意図するところではなかった。
He is a friend and I treat him as such.(代名詞として機能、名詞句を代用)
彼は友人であり、私は友人として扱う。
He rearranged the letters of the correspondance such that it looked senseless.(副詞として機能、副詞句を代用)
彼は書簡の文字を並べ変えて、意味が読めないようにした。
[9-2-1]名詞修飾語としては可算名詞単数形も可算名詞複数形も不可算名詞も修飾する。
Don't be in such a hurry.(可算名詞単数形)
そんなに急ぐな。
He cannot come too often, he gives such pleasure.(不可算名詞)
彼なら何回来てもいい。それほど楽しいんだ。
[9-2-2] such と併用可能な代名詞または不定数詞。some, other, no, many, a few, few などが併用可能で、それらは such の前に来る。それらが付くと冠詞はつかない。
There is no such thing as a miracle.
奇跡なんて存在しない。
There was no such operation as the Soviets and the Cubans completely collaborated on.
ソビエト人とキューバ人が完全に協調するような作戦は一つもなかった。
There was no such thing as a "peaceful population". They were all guerrilla fighters.
「平和な住民」のようなものは存在しなかった。彼らは皆、ゲリラ戦士だった。
There are many such things as we call "peaceful coexistence".
「平和的共存」と呼ばれるようなものはたくさんある。
[9-2-2-1]形容詞の最上級との併用も可能であり、前に来る。
Some creeds insist that people should believe in only one of them. The most fanatical /such creed/of such creeds/ is fascism.
信条のうちの一つだけを人は信じるべきだと主張する信条がいくつかある。そのような信条のうち最も狂信的なものがファシズムだ。
[9-2-3] as と相関して、such A as B の形になることが多い。
Such poets as Keats are rare.
キーツのような詩人はまれだ。
You may use my car, such as it is.
こんなものだが、ぼくの車を使ってもいいよ。
[9-2-3-1]非文法的だが、慣用的に、such と as がくっついて、A such as B となることがある。
China is in the competition with U.S. also to produce next-generation technologies /such as/like/ artificial intelligence.
中国は人工知能のような次世代技術を生み出すうえでも合衆国と競争している。
[9-2-4] as to不定詞、that 節と相関することがある。
His indifference is such as to make one despair.
彼の無関心は人を絶望させるほどのものだ。
/His behavior was such/Such was his behavior/ that everyone disliked him.
彼の振る舞いはひどかったので、皆が彼を嫌った。
He rearranged the letters of the correspondance such that it looked senseless.
彼は書簡の文字を並べ変えて、意味が読めないようにした。
[9-3] thus が代用するものは、副詞句のみであ。
He sold his car and used the money thus obtained to fly to Rio.
彼は車を売って,それで得たお金をリオデジャネイロへの飛行機代にした。
[9-4] the same が代用するのは、名詞句、形容詞句、副詞句である。
"Can I have a cup of black coffee with sugar?" "Give me the same."(名詞句)
「砂糖入りのブラックコーヒーをもらえますか」「私にも同じものをください」
They all started shouting. So I did the same.(名詞句)
皆、叫び始めた。そこで、私も同じようにした。
The soup smelled delicious, and the turkey smelled the same.(形容詞句)
スープがおいしそうな臭いがした。七面鳥もおいしそうな臭いがした。
[10] do so, do it, do this, do that, do the same
[10]それらは意図的行為に用いられるので、think, own, like, rememberなどの状態動詞や自発的な動作動詞には用いられない。
They think he's wrong, and I do (×so) too.
彼らは彼が間違っていると思っている。私もそうだ。
[10-1] do so。前の動詞句の全体または部分を代用する。
He ate beans with a fork, and she did so with a spoon.(前の動詞句の部分 eat beans を代用)
彼はフォークで豆を食べ、彼女はスプーンでそうした。
[10-2] so S V と so V S の違い。前者は「そのとおり」、後者は「~もそうする」。
"Sally is a nice girl." "So she is."
「サリーはいい子だ」「そのとおり」
"I'm hungry." "So am I."
「お腹が空いた」「私もだ」
[10-3] do so と do it の違い。同一の行為では do it が好まれ、同様の行為では do so が好まれる。
He is painting the house. I'm told he does it every four years.
彼が家にペンキを塗っている。四年ごとにそうするんだって。
He is painting the house. I'm told this is because his neighbor did so last year.
彼が家にペンキを塗っている。それはただお隣さんが去年にそうしたからだそうだ。
[10-4] do it と do thatの違い。後者には直示性があり、感情がこもる。
Are you trying to light the stove with a match. I wouldn't do that.
マッチでストーブを着けようとしているのか。ぼくならそんなことはしない。