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助動詞

[1]助動詞用法総論

[1-1]助動詞と本動詞と中位の副詞の順序。

[1-1-1]中位とは何か?

 not, never, ever, hardly, rarely, only などの否定の副詞と、always, sometimes などの頻度の副詞と also, just, already などの副詞は「中位」に来るのが普通である。中位とは、動詞または助動詞として、本動詞のdo動詞だけを含む文では動詞の直前であり、本動詞のbe動詞だけを含む文では動詞の直後であり、助動詞(助動詞としての do, be を含む)を含む文では最初の助動詞の直後であり、助動詞(助動詞としての do, be を含む)だけの文では助動詞の前である。

"You'll be sorry about this later." /"I am already very sorry."/"I already am."/(三番目の文は助動詞または動詞としては助動詞のみである)
「後で後悔するよ」/「もう既にすごく後悔しているよ」/「もう既に後悔しているよ」/

[1-1-2]法助動詞(do, be, have を除く狭義の助動詞)を含む文において助動詞、本動詞、中位の副詞の順序は、法助動詞→(中位の副詞)→have(完了形)→be(進行形)→be(受動態)→本動詞、である。

I have /just/already/ pushed the button.
私はボタンを/ちょうど/既に/押してしまった。

Those facts may have been being overlooked.
それらの事実は見落とされてきたのかもしれない。

They cannot have been being overlooked.
それらが見落とされてきたはずがない。

[1-2]短縮形について

[1-2-1]助動詞+notの短縮形

通常は -n't 例外は以下のとおり、

[1-2-1-1]短縮形の例外

will not → won't
shall not → shan't
am not → aren't
may not → may not(短縮形なし)

[1-2-1-2]短縮形と短縮しない形で意味が異なるもの。

mustn't と must not。米ではmustn'tは義務(禁止)を表し、must not は確信度の高い否定の推測「Vでないに違いない」を表すことがある。

He must not be in―his car is gone.
彼は中には居ないに違いない。車がないから。

[1-2-2]主語+助動詞または動詞の短縮形

[1-2-2-1]短縮形を用いてはならない場合。主語+助動詞のみの場合。

×She is more clever than he's.
〇She is more clever than he is.
彼女は彼より賢い。

×You'll need some, and I'll, too.
〇You'll need some, and I will, too.
君はいくらか必要だろう。私もそうだろう。

[1-3]主語、助動詞、動詞の語順の変化のパターン

以下の基本的な変化のパターンがある。

①/助動詞 S V/do S V/be S/型の倒置
②/so/nor/neither/ 助動詞 S 型の倒置
③C (助動詞) V S 型の倒置
④O S (助動詞) V 型の目的語の文頭移動
⑤There (助動詞) V S 型の倒置
⑥伝達動詞 S 型の倒置
⑦方向を表す副詞 運動を表す動詞 S 型の倒置

[1-3-1]/助動詞 S V/do S V/be S/型の倒置。主語と助動詞または動詞が倒置する。主語が人称代名詞でも倒置する。

[1-3-1-1]疑問文で

Do you like him?
あなたは彼が好きですか。

/Who/Whom/ do you like?
あなたは誰が好きですか。

このように疑問詞を含む文でも倒置は起こる。ただし、疑問詞が主語になる場合を除く。

You don't like him, do you?
あなたは彼が嫌いなのですね。

このように付加疑問文でも倒置は起こる。

[1-3-1-1例外]主語が疑問詞になるまたは疑問詞を含むときは倒置はなく、主語が疑問詞に置き換わるだけである。

What makes you laugh so?(主語が疑問詞)
あなたは何故そんなに笑うのですか。

Whoever said so?(主語が疑問詞)
いったい誰がそう言ったのですか。

Who said what to whom?(主語が疑問詞、動詞の目的語、前置詞の目的語も疑問詞)
誰が何を誰に行ったのですか。

Whose glass is broken?(主語が疑問詞を含む、受動態でも主語が疑問詞に置き換わるだけである)
だれのグラスが割れているのですか。

Which street goes to the station?(主語が疑問詞を含む)
どの通りが駅に通じていますか。

[1-3-1-2]条件節中のifが省略されるとき、/助動詞 S V/do S V/be S/型の倒置が生じる。条件節が were, had, should を含む場合に限る。他の助動詞で倒置が生じるのは稀である。いずれにしても文語調である。

If the sun were to go out, all living things would die.→
Were the sun to go out, all living things would die.
もし太陽が消滅したら、すべての生き物は死ぬだろう。

If anything should happen to him, call me at once.→
Should anything happen to him, call me at once.→
もし彼に何かあったら、わたしにすぐに電話してください。

If it had not been for the Manhattan Project in the World War Ⅱ, nuclear weapons would have been developed in the Cold War.→
Had it not been for Manhattan Project in the World War Ⅱ, nuclear weapons would had been developed in the Cold War.
もし第二次世界大戦中にマンハッタン計画がなくても、核兵器は冷戦で開発されていただろう。

[1-3-1-2-1]上の例文のように not の位置に注意。/助動詞 S V/do S V/be S/型の倒置では、縮約されない not の位置は、/助動詞 S not V/do S not V/be S not/である。

[1-3-1-3]否定を強調する場合に、否定語を含む句が文頭に来て、/助動詞 S V/do S V/be S/型の倒置が生じる。few, little, hardly, rarely, only なども否定語に含まれる。

At no time did he lose his self-control.
いかなるときも彼は自制を失うことがなかった。

Only after her death was I able to appreciate her.
彼女が死んだ後にようやく私は彼女の真価が分かった。

Under no circumstances must a soldier leave his post.
いかなることがあっても兵士は持ち場を離れてはならない。

Not only did they hate the autocracy, but also some of them tried to topple it.
彼らはその独裁政権を憎んだだけでなく、一部の者はそれを倒そうとした。

上の例文では not only, but also は節と節を結ぶ接続詞的な役割を果たすので not only は文頭に来る。このような場合も倒置は生じる。

[1-3-2]/so/nor/neither/ 助動詞 S 型の倒置。動詞句(VOC)は省略される。前文または節と同様であることを示す。主語が代名詞でも倒置する。so は全文が肯定文であるときに、/nor/neither/は全文が否定文であるときに用いる。

He is coming and so is she.(この場合、二番目の is も助動詞である)
彼は来ることになっているし、彼女もだ。

You are the only witness. If you disappear, so will justice.
あなたが唯一の目撃者です。もしあなたがいなくなったら、正義もそうなるでしょう。

"I can't remember his name." "/Nor/Neither/ can I."
「わたしは彼の名前を思い出せない」「わたしもそうだ」

[1-3-3] SVC文型で、補語を文頭において強調するとき、C (助動詞)V S 型の倒置が生じる。ただし、主語が人称代名詞のとき倒置は起こらず、C S (助動詞)Vの語順である。

So great was his astonishment that he was speechless.
彼は非常に驚いたので、口がきけなくなった。

"We'd better be leaving soon." "Right you are."(主語が代名詞)

Faint grew the sound.
その音はかすかになった。

Such a fool he is that he cannot understand this.(主節において主語が代名詞)
彼は馬鹿だからこれが理解できない。

[1-3-4]目的語(前置詞の目的語を含む)を文頭において強調するとき、O S (助動詞) Vの語順で、S V ⇒ V S の倒置は生じない。

That I can't say.
そんなこと私には言えない。

Cowards we have no use for.
臆病者に用はない。

[1-3-5] There be S 構文で、There (助動詞) V S 型の倒置が生じる。主語が代名詞でも倒置する。

There must not be any mistakes in your paper.=
There must be no mistakes in your paper.
レポートには誤りがあってはならない。

[1-3-5-1]疑問文では there が主語として扱われて、/助動詞 there V S/do there V S/be there S/ の語順になる。

Mustn't there be any mistakes in my paper.=
Must there be no mistakes in my paper?
レポートには誤りがあってはいけませんか。

[1-3-5-2] there be 構文が不定詞、分詞、動名詞になると、there はそれらの主語として扱われる。

There are so many people there.
そこには非常にたくさんの人々がいる。

It is unusual for there to be so many people there.(不定詞の主語、二番目の there は単なる場所の副詞である)
そこにそんなにたくさんの人々がいるのは珍しい。

[1-3-6]直接話法の伝達部が後にあるとき、V(伝達動詞)→S 型の倒置が生じる。主語が人称代名詞の場合は倒置は生じない。

"Return to Venice Marco Polo Airport," said the hijacker to the pilot.
「マルコポーロ空港へ引き返せ」と乗っ取り犯は操縦士に言った。

"Leave me alone," he said.(主語が人称代名詞)
「一人にしておいてくれ」と彼は言った。

[1-3-7]本動詞が運動を表し、方向を表す副詞が強調のために文頭に来ることがある。そのとき、副詞 動詞 S の語順になり、倒置が生じる。主語が人称代名詞のときは倒置は生じない。

Off went the policeman.
その警察官は立ち去った。

Off he went.
彼は立ち去った。

Away flew my hat!
帽子が飛んで行った。

[1-3-8]譲歩節中で以下のような語順変化が生じることがある。古語に戻り、現代の文法からは見慣れない形になる。

[1-3-8-1]/形容詞/副詞/無冠詞名詞/ /as/though/ S V の語順。SVは倒置しない。以下の[1-3-8-2]と比較すると現代でも使われる。

Unbelievable as it was, they actually welcome us.(形容詞)
信じられないことだが、彼らは本当に私たちを歓迎した。

Hard though they tried, they couldn't persuade her.(副詞)
一生懸命やってみたが、彼らは彼女を説得することができなかった。

Egoist as he was, his parents loved him.(無冠詞名詞)
彼はわがままだったが、両親は彼を愛した。

[1-3-8-1-1] もう一つ as が前に付くことがある。また、助動詞 may/might が付くことがある。

As powerful as he may be, for a full year we've kept him from the village, and we will continue to do so.
彼がどんな権力をもっていようが、一年間ずっと、私たちは彼にこの村に立ち入らせなかったし、これからもそうし続けるつもりだ。

[1-3-8-2]動詞が文頭に来て、V as S 助動詞/V what S 助動詞/Be it ever so 形容詞…などの形を取る。命令法である。古語。

Try as he would, he could not persuade the president into withdrawing the army from the region.
どんなにやってみても、彼はその地域から軍を撤退させるよう大統領を説得できなかった。

Say what you may, I won't change my mind.
あなたが何を言っても、私は自分の考えを変えません。

Come what may, I'll be ready.
何が起こっても、私は覚悟ができています。

この例文で主語は what である。

Be it ever so humble, there's no place like home.
どんなにみすぼらしくても、わが家にまさる所はない。

[1-4]文全体の強調と動詞の強調。文全体を強調するときは、助動詞を強く発音し、動詞だけを強調するときは、動詞を強く発音する。do動詞だけのときは敢えて do を用いる。be動詞だけのときはそれを強く発音して文全体を強調する。

"Don't you like it?" "Yes, I DO like it." (文全体の強調)
「あなたはそれが嫌いですか?」「いいえ、好きですよ。」

You must SEE him in person, not just CALL him.(動詞だけの強調)
あなたは電話するのではなく、直接、彼に会わなければならない。

[2]do, be, have

[2-1]助動詞(do)の用法

[2-1-1]既に説明したように、一般do動詞のみを含む文を do S V 型の倒置のある文に変える。疑問文など。
[2-1-2]一般do動詞のみを含む文を否定文にする。
[2-1-3]一般do動詞のみを含む文を強調する。前述した。

[2-1-4]命令文を強調する。be を含む命令文も do で強調する。

DO go.
行け。

DON'T go.
行くな。

DO be quiet.
静かに。

DON'T be afraid
恐がらないで。

[2-1-5]一般の動詞の動詞句全体(目的語、補語、動詞を修飾する句節を含む)を代用する。

"Did you see her yesterday?" "No, I didn't."
「昨日、彼女に会いましたか」「いいえ、会いませんでした」

"I don't like her." "/Nor/Neither/ do I."
「私は彼女が嫌いだ」「私も嫌いだ」

I love her more than you do.
私は君が彼女を愛しているより彼女を愛している。

[2-1-5-1]主節だけでなく従属節、従属句の中のdo動詞句も代用しえる。

I didn't want you to let him kiss you, but you did.
私は君に彼が君にキスすることを許して欲しくなかったが、君は許した。

I didn't want you to let him kiss you, but he did.
私は君に彼が君にキスすることを許して欲しくなかったが、彼はキスした。

I didn't want you to let him kiss you, but now I do.
私は君に彼が君にキスすることを許して欲しくなかったが、今は許して欲しい。

[2-1-5-2]動詞句中の代名詞は自明なものになる。

I broke my arm and so did she.→
I broke my arm, and she broke her arm, too.
私は腕を骨折し、彼女も骨折した。

[2-1-6]これらの do は助動詞なので他の助動詞とともに用いることができない。

〇I will attend the meeting, and so will she.(willが助動詞)
×I will attend the meeting, and she will do.(助動詞willの後に助動詞doを置けない。ただし、英を除く)
〇I will attend the meeting, and she will do so.(助動詞willの後に本動詞 do soを置ける)
私は会合に出席し、彼女もするだろう。

[2-1-6例外]英では助動詞の後に助動詞(do)を重ねることがある。

He smokes more than he used to.=
He smokes more than he used to do.(英でときに)
彼は以前よりよく煙草を吸う。

[2-1-7]これらの do は助動詞なので目的語、補語、修飾語をとれない。簡単に言って単独で用いなければならない。

"Do you smoke?" "Yes, I do."

[2-1-8]また、助動詞なので、副詞にとっての「中位」は do の後になる。

We did seriously accept the fact that if a nuclear bomb was used in the London area the effect was massive over such a geographic area.(強調のdo )
もし核爆弾がロンドン地域で使用されれば、このような地理的地域ではその影響は非常に大きいことをわたしたちは深刻に受け止めていた。

[2-1-9]不定詞としては代不定詞(toのみ)になる。

You may go if you want to.
行きたければ君は行ってもよい。

[2-2]本動詞 do

目的語、補語、修飾語を伴わず、単独で用いられる do は助動詞である。本動詞 do は、do so, do it のようになんらかの目的語、補語、修飾語を伴う。

[2-2-1]本動詞(do /so/it/etc/)の助動詞(do)にない特徴。

[2-2-1-1]助動詞の後に置ける。

〇I will attend the meeting, and so will she.(will が助動詞)
×I will attend the meeting, and she will do.(助動詞 will の後に助動詞doを置けない)
〇I will attend the meeting, and she will do so, too.(助動詞 will の後に本動詞 do so を置ける)
私は会合に出席し、彼女もそうするだろう。

[2-2-1-2]助動詞ではなく、本動詞だが、「代動詞」と呼べ、動詞を含む動詞句の一部の代わりをする。言い方を替えれば、目的語、補語という文の要素も修飾語句も残せる。

I broke my arm yesterday, and she did so today.(修飾語)
私は昨日、腕を骨折し、彼女は今日、骨折した。

Jane loves Tom much more than she does Jim.(目的語)
ジェーンはジムよりずっとトムを愛している。

The CIA schemed to send in an army of exiles to overthrow Castro in Cuba, as they had earlier done Arbenz in Guatemala.(目的語と修飾語)
CIAはかつてガテマラでアルべンツに対してしたように、キューバでカストロを打倒するよう亡命者の軍隊を送り込むことを画策した。

The moon affects a women as it does the sea.(目的語)
月は海に影響を及ぼすように女性に影響を及ぼす。

[2-2-1-4] to不定詞、現在分詞、過去分詞、動名詞として使用できる。

I've always respected the liberal rights of others and I want you to do it. (to不定詞)
私はいつも他人の自由権を尊重してきた。あなたにもそうして欲しい。

She's going to change the plan and worried a little about doing it. (動名詞)
彼女はその計画を変更することになっているが、変更していいのだろうかと少し心配している。

[2-2-2] do(本動詞)+目的語 で慣用的に特定の意味をもつことがある。以下は一例である。

do the room
部屋を片付ける
do dishes
皿を洗う
do flowers
花を活ける
do one's teeth
歯を磨く
do one's homework
宿題をする
do one's hair
髪を整える
do Shakespeare into Japanese
シェイクスピアを日本語に翻訳する
do 教科
教科を勉強する

My son is doing engineering at university.
私の息子は大学で工学を勉強している。

[2-3]助動詞としての have, 本動詞としての have

助動詞としての have には、完了形を作る、助動詞 have to (義務必要を表す)を作るという用法がある。助動詞、本動詞を含めてよく問題になるのは以下である。

[2-3-1] have⇔have gotの交換可能性。

本動詞 have は、広義の「持っている」という意味の状態動詞でのみ、have got と交換可能である。広義の持っているという意味の状態動詞以外では専ら have が用いられ、have got は使用できない。義務必要を表す助動詞 have to も have got to と交換可能であるが、疑問文と否定文では have got to ではなく have to を用いるのが普通である。それらの交換においてのみ過去分詞として専ら got が用いられる。それらを除くと米略式体では過去分詞 got の代わりに gotten が用いられることがある。持っているという意味での have⇔have gotの交換可能性についても、肯定文、否定文、疑問文のそれぞれにおいて、慣用上、使用頻度に差がある。

/Do you have/×Have you got/ coffee with your breakfast.(have = drinkであり、状態動詞ではなく、動作動詞である。)
あなたは朝食にコーヒーを飲みますか。

He's /having/×havint got/ a bath.(have a bath (英) = take a bath (米) であり、状態動詞ではなく、動作動詞である。)
彼は入浴中だ。

以下に肯定文、否定文、疑問文のそれぞれについて使用頻度順で例文を挙げる。

[2-3-1-1]肯定文で

(1) I have got a car.=
(2) I have a car.

(1) You have got to go.=
(2) You have to go.

[2-3-1-2]否定文で

(1) I don't have a car.=
(2) I haven't got a car.=
(3) I haven't a car.

(1) You don't have to go.

[2-3-1-3]疑問文で

(1) Do you have a car?=
(2) Have you got a car?=
(3) Have you a car?

(1) Do I have to go?

[2-3-1-4-1] have S got -? の形で尋ねられたときの受け答えは以下のようになる。

"Have you got a ruler?" "No, I haven't."
「定規をもっていますか」「いいえ、もっていません」

[2-3-1-4-2]付加疑問文は以下のようになる。

He has got a bike, hasn't he?
彼はバイクをもっていますね。

[2-3-1-4例外]米で、受け答え、不可疑問文でdoを使用することがある。

"Have you got a ruler?" "Yes, I do."
「定規をもっていますか」「はい、もっています」

He hasn't got a bike, does he?
彼はバイクをもっていませんね。

[2-3-1例外1]米略式体では have が欠落して got のみになることがある。さらに、have got to が got to になり、got to が gotta になることがある。

You gotta be glad you got a good wife to look after you.
世話をしてくれる奥さんがいることをありがたく思うべきだ。

[2-3-1例外2]英で古風な表現では、持続的な所有と義務必要を指すときは肯定文、疑問文、否定文で have, have to を用い、一時的なそれらを指すときは have got, have got to を用いる。米と現代の英ではこの区別はない。

Have you got a meeting today?(英古)
今日は会合はありますか。

Do you often have meetings?(英古)
よく会合はあるのですか。

I haven't got to work tomorrow.(英古)
私は明日、仕事をする必要がない。

I don't have to work on Sunday.(英古)
私は通例、日曜日には仕事をしなくてよい。

Have you got to get up early tomorrow morning?(英古)
あなたは明日の朝、早起きする必要がありますか。

[2-3-1例外3]過去形の had got, had got to は稀であり、had, had to を用いる。

I had a bad cold last week.
私は先週ひどい風邪をひいた。

When I was young, I had to work hard.
若いころは一生懸命働かなければならなかった。

[2-4]助動詞としての be の用法

[2-4-1]進行形、受動態を作るために用いられる。一つの助動詞 be が同時に進行形と受動態を作ることさえも可能である。

Then I heard a machine gun open fire and the screams of a man who was wounded or dying.
それから機関銃が発射される音と負傷したまたは死亡しつつある男の叫び声が聞こえた。

[2-4-2] do動詞も他の助動詞も含まずbe動詞またはbe助動詞を含む文または節において、動詞句全体を代用する。

"Are you going abroad?" "Yes, I am."
「海外へお出かけですか」「はい、そうです」

[2-5]本動詞としての be の用法

[2-5-1]補語、修飾語等をとることができる。

Mao was in no great hurry, and Stalin, as wary of Mao as Mao was of him, was in no hurry, either.(補語 wary が省略されているが、of him は残っている)
毛(沢東)はあまり急がなかった。また、スターリンも、毛が彼に対してするのと同様に用心していたので、急がなかった。

[2-5-2] 本動詞 do と異なり、副詞にとっての中位は be の後になる。ただし、be が単独で出現する場合、それは助動詞であり、be の前が中位になる。ただし、短縮形の 'nt はそのままである。

It is always difficult to have a secret randezvous in Paris." "Yes, it certainly is/No, it isn't!"(一番目の is は本動詞。二番目、三番目は助動詞)
「パリで秘密の待ち合わせをすることはいつでも難しい」「/確かにそうだ/いや、そんなことないよ/」

I'm really sorry.
本当にごめんなさい。

I'm sorry. I really am.(二番目の am は助動詞)
ごめんなさい。本当にごめんなさい。

[3]狭義の助動詞用法意味総論

[3-1]助動詞を含む否定文には、助動詞 [not V] の動詞句否定と、[助動詞 not] Vの助動詞否定がある。

It must [not be true].(動詞句否定)=
それは本当でないに違いない→それは本当ではありえない。

It [cannot] be true.(助動詞否定)
それは本当かもしれないということはない→それは本当ではありえない。

結局、上の二つの文の意味は等しくなるが、動詞句否定と助動詞否定の違いには注意。

You must [not go].(動詞句否定)
君は行ってはいけない。

You [do not have to] go.(助動詞否定)
君が行かなければならないということはない。→君はいく必要はない。

結局、上の二つの文の意味は等しくない。

助動詞とその意味に応じて、(1)動詞句否定、(2)助動詞否定、(3)両方ありえる、の三通りがある。

[3-1-1]動詞句否定

以下の[3-1-2][3-1-3]を除くほとんどの助動詞とその意味において動詞句否定である。

You mustn't smoke in here.→
You must [not smoke in here].
この中ではタバコを吸ってはいけません。

You shouldn't desert her.→
You should [not desert her].=
You oughtn't to desert her.→
You ought [not to desert her].
君は彼女を見捨てるべきではない。

He won't do what he's told.→
He will [not do what he's told].
彼は言われたことをやろうとしない。

I asked him but he wouldn't come.→
I asked him but he would [not come].
私は彼に頼んだが、彼は来ようとしなかった。

[3-1-2]助動詞否定

推測を表す cannot, could not
必要または必然性を表す need not, do not have to
は助動詞否定である。

Independence [need not] mean freedom.(必然性の否定、必ずしも~でない)
自由は必ずしも独立を意味しない。

What is right for us (need not) be right for others.(同上)
私たちにとって正しいことが必ずしも他の人々にとって正しいとは限らない。

He [need not] be told that because he won't change his mind.(必要の否定、~する必要はない)
彼は考えを変えないだろうから、彼にそれを言う必要はない。

だが、前の三つの文は古語であり、現代では以下のように言う。

Freedom does not always mean independence.
What is right for us is not always right for others.
He does not have to be told that because he won't change his mind.

cannot, do not have to, do not need to は古語でない。

He doesn't have to be told that.=
He doesn't need to be told that.
彼にそれを言う必要はない。

He can't know that.
彼がそれを知っているはずがない。

[3-1-3]動詞句否定も助動詞否定もありえる。

能力、可能性、許可を表す can, could, 許可、可能性を表す may, 可能性を表す might。それに対して、前述のとおり、推測の can, could は助動詞否定、推測の may, might は動詞句否定である。

I can[not take your advice].(~しないことが可能、動詞句否定)
私はあなたの忠告なしで済ませることができる。

I [cannot] take your advice.(不可能、助動詞否定)
私はあなたの忠告を受けることができない。

I [cannot] help taking your advice.(不可能、助動詞否定)
I [cannot] (help) but take your advice.(不可能、助動詞否定)
私はあなたの忠告を受けないわけに行かない。

You can [not go today].(~しないことへの許可、動詞句否定)
君は今日、行かなくてもよい。

You [can't] go today.(不許可→禁止、助動詞否定)
君は今日、行ってはならない。

You may [not stay here].(~しないことへの許可、動詞句否定)
君はここにいなくてもよい。

You [may not] stay here.(不許可→禁止、助動詞否定)
君はここにいてはいけない。

She may [not be at home now].(推測の意味では専ら動詞句否定である)
彼女は今、家にいないかもしれない。

[3-2]言語の原点

どの言語も話し手の判断によるのであり、主観的なものに過ぎず、判断の厳密な意味での原点は話し手にある。だが、話し手は、自分の言語に客観性をもたせるために、言語の原点を話し手から、文の主語または文全体が説明する事象または聞き手に置こうとする。その言語の原点の移動に助動詞が大いに関与する。今後は言語の「原点」という言葉はそのような移動された原点を指すことにする。

(1)She can ski down that hill.(主語が原点。主語の能力)=
She has the ability to ski down that hill.
彼女はあの斜面をスキーで滑降する能力をもっている。

(2)We can ski down that hill this winter.(事象が原点。事象の可能性)=
It is possible to ski down that hill this winter.
今年の冬はあの斜面をスキーで滑降できる。

例えば、上の例文(1)は、急な斜面でも滑れる彼女のスキーをする能力を説明している。それに対して、例文(2)は、今年の冬はよく雪が降って、あの斜面に雪がよく積もっており、そのような状況の中で一般的な人が滑れるということを事象として述べているのであって、特定の人の能力を説明しているのではない。

[3-2-1]話し手が原点。話し手が、判断の原点が話し手にあることを認め、言語の原点が話し手にあることを積極的に示す。その結果、様々な確信度をもつ推測が表現される。

It will be fine tomorrow.(話し手が原点。推測)
明日は晴れるだろう。

[3-2-1-1]通常の推測を表す文はすべて話し手に原点がある。ただし、話法などで、推測したものが主語であることを敢えて示す文は別である。

When he saw the photograph, he supposed that the main cause of her death should be the wound.(彼の推測)
その写真見たとき、彼は彼女の主要な死因はその傷に違いないと思った。

[3-2-1-2]通常の文で推測の原点が話し手にあることは自明なこととして、今後は「話し手の」などの言葉を省略することが多い。

[3-2-2]文の主語が原点。言語は主語の状態または動作を説明する形をとる。話し手がそれに従って言語の原点を主語に置く。

You must be careful.(主語の義務を表す)
君は注意しなければならない。

She can swim.(主語の能力を表す)
彼女は泳げる。

I won't take the examination.(たまたま話し手=主語だが、主語の意志を表す)
私はその試験を受けないつもりだ。

[3-2-3]文全体が表す事象が原点。文全体が表す事象に原点を置く。

You can smoke in this room.(事象の可能性を表す)
この部屋で煙草を吸ってよい。

上の例文は、法令や内部規定がある、排煙装置がある…などの状況によって一般の人が煙草を吸ってよいという事象を表しているのであって、主語であるあなただけが煙草を吸ってよいと言っているわけではない。

[3-2-4]聞き手が原点。疑問文、命令文などで聞き手に原点を移す。

Will Friday suit you?(聞き手の推測を尋ねる。)
金曜日は都合はいいですか?

それに対して以下は疑問文でも話し手に原点がある。

He said to himself, "Can she be innocent?"(自問自答)
「いったい彼女は無実なのだろうか」と彼は思った。

[3-3]狭義の助動詞を含む文の受動態の意味

話し手が原点、事象が原点、聞き手が原点の助動詞を含む文を受動態にしても意味は基本的に変わらない。つまり、態中立的である。それに対して主語が原点の助動詞を含む文を受動態にすると意味が大きく変わる。

He won't kiss her.(主語の意志)≠
彼は彼女にキスしたくない。
She won't be kissed by him.(主語の意志)
彼女は彼にキスされたくない。

He must visit her.(主語の義務)≠
彼は彼女を訪問しなければならない。
She must be visited by him.(主語の義務)
彼女は彼の訪問を受けなければならない。

以上のような主語に原点がある文を受動態にすると文全体の意味が大きく変わる。それに対して以下の主語以外に原点がある文を受動態にしても文全体の意味が基本的に変わらない。

The police will arrest him.→(事象が生じる推測)
He will be arrested by the police.
警察は彼を逮捕するだろう。

We can dissolve lead by heat.→
Lead can be dissolved by heat.(事象が生じる可能性)
鉛は熱で溶ける。

We can accept this proposal.→
This proposal can be accepted.(事象が生じる可能性)
この提案は受け入れられる。

We must treat Israel as we did South Africa.→
Israel must be treated as South Africa was.(事象が生じる義務必要)
イスラエルはかつての南アフリカのように扱われなければならない。

[3-4]助動詞の意味用法の大きな区別

助動詞の意味用法は原点が話し手にあり、様々な確信度における推量を表すものと、原点が話し手以外にある、意志、傾向、能力、可能性、許可、義務必要に大別される。前者は助動詞の本来的な意味用法ではなく、慣用的に後に派生した。後者が助動詞の本来的な意味用法である。詳しいことは後に特に章をもうけて説明する。

[3-5]上記の助動詞の本来的な意味用法には、文の主語の意志、傾向、能力、許可、義務必要(1)と、文全体が表す事象が生じる傾向、可能性、許可、義務必要(2)がある。つまり、意志、能力は主語のものでしかない。何故なら、意志と能力は事象にないからである。また、可能性は事象のものでしかない。何故なら、主語に可能性があるとすればそれは能力になるからである。[3-3]で説明した通り、前者(1)は受動態にすると意味が大きく変わり、後者(2)は受動態にしても意味が基本的に変わらない。

None of the soldiers will shoot any of the general citizens.
○それらのどの兵士もそれらの一般市民を撃たないつもりだ。(主語の意志)
〇それらのどの兵士もそれらの一般市民を撃たないだろう。(話し手の推測)

None of the general citizens will be shot by any of the soldiers.
△それらのどの一般市民もそれらの兵士に撃たれたくない。(主語の意志)
○それらのどの一般市民もそれらの兵士に撃たれないだろう。(話し手の推測)

I can see the moon tonight.(事象の可能性)=
The moon can be seen tonight.
今夜は月が見える。

The students will speak Spanish in this Italian class.
このイタリア語の授業では生徒はスペイン語を/話したがる(主語の意志)/話す傾向にある(主語の傾向)/話すだろう(話し手の推測)/。

Spanish will be spoken in this Italian class.
このイタリア語の授業ではスペイン語が話されるだろう(話し手の推測)。
The students /can't/mustn't/ speak Italian in this English class.=
Italian /can't/mustn't/ be spoken in this English class.
この英語の授業では生徒は英語を/話してはならない(事象の不許可=事象の義務)/話さないに違いない(話し手の推測)/。

[3-6]持続的な能力、可能性、許可と一時的それらは異なる。直接法過去 could, might で過去のことがらを表し肯定文・疑問文である限りで、 could は過去の持続的能力、可能性、許可しか表せず、might は持続的可能性しか表せず、一時的なそれらを表せない。ただし、否定文と仮定法と感覚知覚動詞、認識動詞を除く。

He could not write the sentence at that time.(否定文なので過去の一時的能力も表せる)
彼はそのときその文を書くことができなかった。

We could see the moon last night.(感覚知覚動詞なので過去の一時的事象可能性も表せる)

He /could/×might/ watch television whenever he wished.(過去の持続的許可。過去の許可では might は使えない)
彼は見たいときにいつでもテレビを見てよかった。

Yesterday evening, he /×could/×might/ was allowed to/ watch TV for an hour.(一時的許可では could は使えない。過去の許可では might は使えない)
彼は昨夕テレビを一時間見ることを許された。

/Could/Might/ I ask the President a question?(仮定法過去で現在に控えめに許可を求める、過去の許可を表すのではない)
大統領に質問していいでしょうか。

In those days, a man /could/might/ be hanged for stealing a sheep.(過去の持続的事象可能性)
その頃は、人は羊を盗んだだけでも絞首刑にされることがあった。

[3-7]助動詞の仮定法過去と仮定法過去完了

以下のとおり複雑である。特に仮定法の控えめ表現は複雑である。考えてみれば、日本語の敬語も複雑であり、外国人学生は苦労している。それに相当するものと思うしかない。

[3-7-1]狭義の助動詞の直接法過去と仮定法過去の違い。

助動詞の直接法過去は、
(1)文字通り過去のことを表し、
助動詞の仮定法過去は、 (2-1)現在の非現実を表し、
(2-1-1)狭義の仮定法過去の文の帰結節または条件節において用いられる他、
(2-1-2)条件節または帰結節が省略または代用された文、
(2-1-3)I wish...などの慣用表現で用いられる。
それに対して、
(2-2)非現実ではなく、以下のような控えめ表現がある。
(2-2-1)「もし私が推測することが許されるなら申し上げます」というような過去ではなく現在の控えめな推測を表す。
(2-2-2)「もし私が希望してよいなら希望します」というような過去ではなく現在の控えめな意志を表す。
(2-2-3)「もし私が許可してよいなら許可します」というような過去ではなく現在の控えめな許可を表す。
(2-2-4)その他、事象可能性から発展して控えめな提案などがある。

He could run fast in his school days.((1)過去の持続的能力)
彼は学校時代は走りが速かった。

He would not read the letter.((1)過去の意志)
彼はその手紙を読もうとしなかった。

If I were you I'd buy a car.((2-1-1)非現実を表す仮定法過去の帰結節、現在の意志)
僕なら車を買うだろう。

It could rain later this evening.((2-2-1)控えめ表現、推測)
今夜遅くに雨が降るかもしれない。

I wish you'd give me a hand.((2-1-3)非現実、意志、慣用表現)
あなたが私を手伝ってくれたらな。

"Would you please open the window?" "Certainly, I will."((2-2-3)話し手が控えめに聞き手の意志を尋ねる→話し手の控えめな依頼)
「窓を開けてもらえませんか」「はい、喜んで」

この例文の答え方に注意。聞く側は控えめの表現で would を用いた。答える側が控えめの表現をすると誠意を表せない。そこで、would ではなく will が用いられた。

A man of common sense wouldn't behave in that way.((2-1-2)非現実、帰結節の省略、推測)
常識のある人ならそんな振る舞いはしないだろう。

I would be very glad if you would make arrangements for me.((2-1-1)非現実を表す狭義の仮定法過去の帰結節と条件節。帰結節中の would は推測、条件節中の would は意志を表す。)
お膳立てをしてくださるなら、大変ありがたいのですが。

[3-7-2]仮定法過去または過去完了で使用されえる助動詞とその意味

        could     would    might
              should(英のみ)
非現実を表す 能力、可能性  意志、推量  可能性、推量

控えめ表現  能力、可能性  意志、推量  可能性、推量
       許可、推量          許可

非現実を表す仮定法の could に許可、推測の意味はなく、非現実を表す仮定法の might に許可の意味はない。

If I were you I'd buy a car.(非現実、意志)
私が君なら車を買うのだが。

If I had time, I might help you.(非現実、推測)
もし時間があれば、私はあなたを手伝うかもしれない。

If I had wings, I should fly to you.(非現実、イギリス英語で意志)
もし私に翼があれば、君のところに飛んでいくのだが。

I shouldn't worry.(非現実、イギリス英語で意志、条件節の省略)
私なら心配しない。

She'd be very surprised if she could see us now.(非現実、She'd の would は推測、条件節中の could は可能性)
今私たちに会えたら、彼女は非常に驚くだろう。

I wish I could draw.(非現実、能力、慣用的表現)
私が絵をかけたらよいのだが。

Without water, nothing could live.(非現実、事象可能性、条件節の代用)
水がなければ何も生きられないだろう。

How could you be so cruel.(控えめ表現、事象可能性→焦燥)
どうして君はそんな残酷なことができるのだ。

It could rain later this evening.(控えめ表現、推測。肯定文で、can は推測を表せないが、仮定法過去の控えめ表現としての could は肯定文で使用可能)
今晩遅くに雨になるかもしれない。

This crisis might easily lead to war.(控えめ表現、一時的事象可能性、仮定法の控えめ表現なので一時的事象可能性の意味でも使える)
この危機はたやすく戦争にいたりかねない。

I could do the shopping for you, if you're tired.(控えめ表現、事象可能性→提案。直接法過去の could は過去の一時的能力可能性を表せないが、仮定法過去の could は表せる。この例文では条件節は直接法であり。帰結節は仮定法の控えめ表現である。)
お疲れでしたら、私が代わりに買い物をしますが。

/Could/Might/ I ask the President a question? (控えめ表現。控えめに許可を求める。直接法過去の might や非現実の仮定法の might は許可を表せないが、控え目表現の仮定法過去の might は表せる)
大統領に質問していいでしょうか。

I thought we might have a walk around the neighborhood. (控えめ表現、事象可能性→提案。従属節の might は時制の一致によるのではなく、仮定法の控えめ表現であり、時制の一致を受けない)
近所を散歩してはどうかと思っていました。

In the future you might try to be a little more polite. (控えめ表現。事象可能性→非難)
君は今後、もう少し礼儀正しくしようと努めてもいいんじゃないか。

This might sound crazy, but I think someone is following me. (控えめ表現、事象可能性→譲歩)
狂気じみて聞こえるかもしれないが、私は誰かに付けられていると思う。

He said that would be the Tower of London. (would は時制の一致によるものではなく、仮定法の控えめ表現であり、時制の一致を受けない。)
彼はあれがロンドン塔だろうと言った。

[3-7-2例外]仮定法過去の might は許可の意味では、控えめ表現でしか用いられないが、さらに肯定文で用いられない。

You /could/×might/ ask me anything?
君は私に何を尋ねてもよい。

/Could/Might/ I ask you something? (疑問文だから可能)
お尋ねしていいですか。

ところで、上の例文は単純な疑問文ではなく、肯定の答えを期待する依頼の文なので、something が使われた。

[3-7-3]古い仮定法などの名残りとして助動詞が使われることがある。これを「仮定法代用」と呼ばれる。現代ではあまり使用されない。

[3-7-3-1] might で願望を表す。

O that I might see her again!
彼女にもう一度会えたらなあ。

[3-7-3-2] might で懸念を表す。

I feared that some disaster might occur.
何か災難が降りかかりはしないかと私は恐れた。

He hurried home for fear that he might miss his guests.
来客に会えなくなるといけないから彼は家へ急いだ。

[3-7-3-3] mightで目的を表す。

He died so that others might live.
他の人々が生きるように彼は死んだ。

[3-7-3-4] mightで譲歩を表す。

However tired he might be, he never stopped working.
彼はどんなに疲れていても決して仕事をやめなかった。

[3-7-3-5] should で that 節などの内容が話し手の主観的または感情的判断であることを敢えて表す。

/It is strange/How strange/ that we should meet here!
ここで私たちがあうとはなんと奇妙なことだろうか。

Why should I have done that?
私は何故あんなことをしたのだろう。

[3-7-3-5-1]この意味用法の should の時制の一致について、 should でも should have 過去分詞 でもどちらでもよい。つまり、時制の一致の方法が確立していないのである。

I was surprised that he should /feel/have felt/ lonely when he was in New York.
彼がニューヨークにいたとき寂しさを感じたなんて私は驚いた。

[3-7-3-6] should で that 節が命令、要求、必要、提案の内容であることを示す。アメリカ英語では仮定法現在(動詞の原型)を用いる。イギリス英語でもそうなりつつある。

We demanded that he (should英) be released.
私たちは彼の釈放を要求した。

It is essential that a meeting (should英) be convened this week.
今週、会を招集することが必要だ。

Was it necessary that my uncle (should英) be informed.
叔父に知らせる必要があったのだろうか。

[3-8]助動詞における時制の一致

[3-8-1]助動詞における時制の一致の原則

後述する仮定法などの例外を除いて、

一般動詞、

do → did
did → had done
have done →had done
had done → 無変化

と同様に、can を例にとると、

can → could
could → could have done
can have done → could have done
could have done → 無変化

が原則である。原則に関する限りで、それらを単純に機械的に行ってよい。原則に関する限りで、前述の could, might の持続性やイギリス英語の、どの人称か、平叙文か疑問文かによる shall と will の使い分け、can, may, must の平叙文または疑問文への限定等に配慮する必要はない。

She said, "It can't possibly rain tomorrow."→
She said that it couldn't possibly rain the following day.
明日が雨になるはずがないと彼女が言った。

He said to us, "You shall have your reward."→
He promised us that we should have our reward.
ほうびをやるぞと彼は私たちに言った。

She said, "Shall I open the window?"→
She asked whether she should open the window.
窓を開けましょうか彼女は言った。

They say, "We have to wait for a long time."→
They said they had to wait for a long time.
彼らは長い間待たなければならないと言った。

She said to herself, "Where can he have gone?"→
She asked herself where he could have gone.
彼はいったいどこへ行ってしまったのだろうと彼女は思った。

He said, "She can't have been ill."→
He said she couldn't have been ill.
彼女が病気だったはずがないと彼は言った。

I said to you, "I will have finished my work by Saturday."→
I told you I would have finished my work by Saturday.
私は仕事を土曜日までに終わらせるだろうとあなたに言ったでしょう。

He said to me, "I shall have finished my work by Saturday."→
He told me he should have finished his work by Saturday."(英の用法だが、主語の人称に関係なく shall を should に機械的にできる)
仕事を土曜日までに終わらせるだろうと彼は私に言った。

She said to me, "I can lend you the money."→
She told me that she could lend me the money.(could には過去の持続的能力可能性の意味があるのであって、過去の一時的能力可能性の意味はない。だが、現在の一時的能力可能性を表す can が時制の一致で could になることは可能である。)
カネを貸すことができると彼女は私に言った。

He said to me, "You may go."→
He said that I might go.(一時的許可。might には過去の一時的許可の意味はないが、時制の一致で might となることは可能)
私は行ってよいと彼は言った。

He said, "I may be late home."→
He said that he might be late home.(might には現在の推測の意味があるのであって過去の推測の意味はない。だが、時制の一致で might となることは可能である。)
帰りが遅くなるかもしれないと彼は言った。

[3-8-2]小説、歴史の記述などにおける助動詞の時制の一致

小説や歴史の記述では say, tell などの伝達動詞を用いる明らかな間接話法の形をとらないが、助動詞の時制の一致が生じることが多い。特に推測を表す will において。

We had reached 9000 feet. Soon we would reach the top.
私たちは9000フィート地点に到達していた。すぐに頂上に到達するだろう。

They elaborately hid the trace of the genocide, but it would be uncovered after the regime change.
彼らはその大量虐殺の跡を入念に隠した。だが、政権交代後に発覚することになる。

[3-8-3]助動詞における時制の一致の例外

[3-8-3-1]過去形をもたないまたは過去形と同形である、should, must, need, ought, dare, used to, would like to, would rather, had better はそのままにする。

I felt there must be something wrong with the machine.
その機械は何かがおかしいに違いないと私は感じた。

He told me that he used to keep a dog.
以前は犬を飼っていたと彼は私に言った。

He said he daren't go.=
He said he didn't dare to go.
行く勇気はないと彼は言った。

He warned her she'd better hurry up.
急いだ方がいいと彼は彼女に警告した。

He said he'd rather have tea.
それよりお茶を頂きたいと彼は言った。

He said, "They should be here by two o'clock."→
He said that they should be there by two o'clock.
彼らは2時までにここに来るはずだと彼は言った。

I thought I needn't fear.
私は心配する必要がないと思った。

I said to him, "You needn't go."→
I told him he needn't go.
君はいく必要はないと私は彼に言った。

それらの助動詞 need に対して、本動詞 need には時制の一致が生じる。

I said to him, "You need to go."→
I told him that he needed to go.
君は行く必要があると私は彼に言った。

[3-8-3-2]仮定法において、

(1)非現実を表す仮定法過去では時制の一致を生じても、生じずそのままにしてもよい。小説などにおいて、登場人物のそのとき現在の登場人物の心理描写に重点をおくときなどは時制の一致を生じないことが多い。歴史的記述などにおいて現在に視点を置くときは時制の一致を生じることが多い。
(2)非現実を表す仮定法過去完了では時制の一致を生じずそのままにする。
(3)非現実を表さない、つまり、控えめな表現である仮定法過去と仮定法過去完了では時制の一致を生じずそのままにする。

She left home. If he had not said that, she would not wandered the streets at night.(小説でそのときに彼女が考えたことである→時制の一致なし)
彼女は家を出た。もし彼があんなことを言わなかったら、彼女は夜の街を彷徨っていなかっただろう。

She said to me, "If I had any money, I would buy you a drink."(非現実を表す仮定法過去)→
もし私にお金があればあなたに一杯おごるのですが、と彼女は言った。

まず、(1)のそのままにする方針で、

She told me that if she had any money, she would buy me a drink.

彼女が現在、お金をもってるとき、(1)の時制の一致を生じる方針で、

She told me that if she had had any money, she would have bought me a drink.

彼女が現在もお金をもっていないとき、(1)の時制の一致を生じる方針で、

She told me that if she had any money, she would have bought me a drink.

としてもよい。

She said to me, "Would you please open the window?"(非現実を表さない控えめな表現)→
She asked me if I would please open the window.
窓を開けてもらえませんかと彼女は私に言った。

[3-8-3-3]英で一人称にshallを使う人にとっては前述の原則では

He said, "I shall come again."→
He said he should come again.
彼はまた来ると言った。

ところが shall を使う人はさらに一人称から三人称への変化に対応して以下のように変えることがある。

He said he would come again.

[3-9-1]助動詞の過去形のまとめ。結局、助動詞の過去形は以下のようにまとめられる。

①直接法過去
(1) used について、過去形しかなく、直接法過去の用法があるだけであり、仮定法過去の用法はない。dared について、dare の過去形であり、直接法過去の用法があるだけであり、仮定法過去の用法はない。
(2) must, ought, need について、現在形と過去形が同形であり、過去形は時制の一致でそのままで現れるだけであり、直接法過去の用法も仮定法過去の用法もない。
(3) should について、以下の②③④⑤で現れるだけで、直接法過去の用法はない。
(4) would について、直接法過去においては過去の意志または傾向習性を表す。
(5) could について、直接法過去においては能力または可能性または可能性の発展として許可を表す。might について、直接法過去においては可能性を表し、許可を表さない。しかも、could, might は肯定文においては基本的に持続的なそれらを表し一時的なそれらを表さない。
②仮定法過去 could, might, would, should(英のみ)
[1]非現実を表す仮定法過去
非現実を表す仮定法過去・過去完了の帰結節または条件節で could は能力、可能性の意味だけをもち、would は意志と推測の意味だけをもち、might は可能性と推測の意味だけをもつ。
[2]非現実を表さない仮定法過去=控えめな表現
控えめ表現となると[1]の意味に以下の意味が加わる。could は能力、可能性に加えて、許可の意味ももちえ、might は可能性と推測に加えて、許可の意味ももちえる。推測を表す could, might, would, should(英のみ) は[2]仮定法過去の控えめ表現でしかなく、現在または未来の推測の意味をもち、過去のことがらまたは完了していることがらについての推測の意味を持たない。過去のことがらまたは完了していることがらについての推測を表すには/can/may/will/could/might/would/+have+過去分詞を用いる。
③時制の一致を除いて、直接法現在形 can は推測の意味では肯定文では使えない。仮定法過去で控えめ表現の could は推測の意味で肯定文でも使える。直接法現在形 may は推測の意味では疑問文で使えない。仮定法過去で控えめ表現の might は推測の意味で疑問文で使える。
④時制の一致 すべて助動詞が過去形またはそのままで使え、すべての意味で使える。
⑤過去形にしかない特殊な意味が発展したのは should だけである。
⑥仮定法代用があるのは should, might だけである。

I told him not to, but he would do it.(直接法過去、意志)
私はしないように言ったが、彼はそれをどうしてもしようとした。

When we were children, we would go skating every winter.(直接法過去、傾向習性)
子供の頃、私たちは毎年冬にスケートに行ったものだ。

She could read when she was four.(直接法過去、持続的能力)
彼女は四歳で字が読めた。

He /could/was allowed to/×might/ watch television whenever he wished.(直接法過去、持続的許可)
彼は見たいときはいつでもテレビを見てよかった。

It /could/might/ rain later this evening.(控えめ表現、推測)
今夜遅くに雨が降るかもしれない。

Would you open the window?(控えめ表現、意志を尋ねる→依頼)
窓を開けてもらえませんか。

/Could/Might/ I ask the President a question?(控えめ表現、許可)

He said to me, "she can't come tonight."→
He told me she couldn't come that night.(時制の一致)
彼は私に彼女が今夜来るわけがないと言った。

I knew I should pay my debts.(時制の一致、この should はそれ自体が過去形なのでそのまま)
借金は返すべきだということを私は分かっていた。

/×May/Might/ he pass the exam?(推測、疑問文)
彼は試験に合格するでしょうか。

[3-9-2]助動詞の現在完了形・過去完了形のまとめ

①非現実を表す仮定法を除いて、/will/can/may/would/could/might/+have+過去分詞は過去のことの推測、または現在、過去、未来を含む基準時までに完了していることの推測を表す。それらのうち、/would/could/might/+have+過去分詞は、非現実を表さない仮定法過去完了の控えめな推測である。推測の意味において、can と can+have+過去分詞は肯定文では使えない。推測の意味において、could と could+have+過去分詞は肯定文でも使える。

②/should/ought to/need not/had better/would like to/+have+過去分詞は実現しなかった義務・必要・不必要・願望等を表しえる。

She /could read/×can have read/ when she was four.
彼女は四歳で字が読めた。

Who /can/could/ have killed him?(疑問文)
いったい誰が彼を殺したのだろう。

The letter /×can/could/ have got lost in the post.(肯定文)
手紙は投函後に無くなったのかもしれない。

The government should have taken more drastic measures.(実現しなかった義務・必要)
政府はもっと徹底的な手段を講じるべきだったのに、講じなかった。

We need not have sold the car.(実現しなかった不必要)
私たちは車を売る必要がないのに、売ってしまった。

You had better never have been born.(実現しなかった忠告)
お前なんか生まれないほうがよかったのに、生まれた。

I would /like to have seen/have liked to see/ the game.(実現しなかった願望)
その試合を見たかったのだが、見れなかった。

[3-10] be+現在分詞を続けて進行形にすることができる助動詞。

推測を表す助動詞と、must, ought to は進行形にすることができる。

Do you think she can still be working?(推測を表す助動詞)
彼女がまだ働いているとあなたは思いますか。

He can't be telling the truth. He must be lying.(一番目は推測を表す助動詞 can。二番目は 確信度の高い推測を表す助動詞 must)
彼は真実を語っているはずがない。嘘を言っているに違いない。

[3-10-1] must be -ing は義務必要または確信度の高い推測を表す。

I must be going home.
私は帰らなければなりません。

You must be joking.
冗談でしょう。

[3-10-2] ought to be -ing は「現在~しているべきなのにしていない」を表す。

I ought to be studying, not playing.
私は遊んでいるのではなく勉強していなければならない。

[3-11]疑問文で使えない助動詞 推測を表す助動詞のうち may, must は疑問文で使えない。代わりに can を用いる。他方、can は推測の意味で肯定文で使えない。推測の意味で、 could は肯定文でも使え、might は疑問文でも使える。

/Can/×May/×Must/ he see her today?(推測、疑問文)
いったい今日、彼は彼女に会うだろうか。

/May/Must/ he see her today?(/許可/義務/ 疑問文なので推測の意味はもたない)
今日、彼は彼女に/会っていいですか/会わないといけませんか/。

/Will/Would/Can/Could/ it rain tonight?(推測)
今夜は雨が降るだろうか。

It /×can/could/ be rain this evening.(推測、肯定文)
今夜は雨かもしれない。

[3-12]条件節(when 節を含む)で生じない助動詞 推測を表す助動詞は条件節で生じない。仮定は推測を含意するからである。

/If/When/ it /rains/×will rain/ tomorrow, I'll stay at home.
明日、雨が降れば、私は家に居るだろう。

I'll be grateful if you will help me.(この will は意志を表すから条件節で使える)
あなたが手伝ってくださればありがたいです。

I'll come back if I may.(この may は許可を表すから条件節で使える)
よければわたしは帰ってきます。

You may come if you must.(この must は義務を表すから条件節で使える)
どうしてもというなら来ていいですよ。

[3-12例外]だが、話し手が条件節または帰結節の内容を聞き手に押し付けたくないとき、帰結節の中だけでなくif節の中で推測を表す will, may が現れることがある。

If it will make you happy I'll phone him at six past ten.
あなたがよろしければ、私が6時10分に彼に電話をしましょう。

If it may rain today, we'd better buy rubbers.
雨が降るならば、私たちはゴム靴を買ったほうがいい。

[4]用法意味による狭義の助動詞の分類

[4]前述のとおり、どの言語も話し手の判断によるのであり、主観的なものに過ぎず、厳密な判断の原点は話し手にある。だが、話し手は、言語の原点を話し手から、文の主語または文全体が説明する事象または聞き手に移そうとする。その原点の移動に助動詞が大いに関与する。今後はそのようにして移動した原点を「原点」と呼ぶことにする。

話し手、主語、事象、聞き手のうちのどれに原点をおき、何について説明するかによって助動詞は以下に分類される。

[4-1]平叙文で話し手の推測または意志を表すもの。

[4-1-1]平叙文で話し手の様々な確信の強さでの推測を表し、疑問文で、聞き手の推測を尋ねる、または、話し手の疑問を表す(相手の考えを尋ねるというより自問自答)もの。

ところで、以下の would, should(英), could, might は仮定法過去であり、「私が申し上げていいのなら~」というような控えめな現在の事柄についての推測を表す。過去の事柄についての推測を表すのではない。過去の事柄についての推測を表すには、それら+have+過去分詞(仮定法過去完了)を用いる。

[4-1-1-1]肯定文で。確信の強さの比較は以下の通りである。以下のとおり will, would の確信度は予想外に高い。

~に違いない⇒ must > will > have to > ought to > would(仮定法過去で現在の控えめな推測) > should > may > might(同上) > could(同上) ⇒ ~かもしれない

He would come. He will come.
彼は来るかもしれない。いや、来るだろう。

would は仮定法過去で控えめな推測であり、それより will のほうが確信度が高い。上の例文は推測の確信を高める言い換えである。

[4-1-1-2]否定文で。notの及ぶ範囲を[]で示す。

~でないに違いない⇒ [cannot] V = must [not V] > [could not] V > will [not V] > ought [not to V] > would [not V] > should [not V] > may [not V] > might [not V] ⇒ ~でないかもしれない

[do not have] to V > [need not] V ⇒必ずしも~でない。

つまり、can, could と have to, need not は動詞句を否定するのではなく、助動詞を否定する。だから、cannot は「かもしれないことはない」、つまり「ありえない」となる。また、do not have to, need not は「~のはずだということはない」つまり「必ずしも~でない」となる。

Don't lock the door. They might [not have the key].
ドアに鍵をかけないで. 彼らは鍵を持っていないかもしれませんから。

What is right for us [need not] be right for others.
私たちにとって正しいことが必ずしも他の人々にとって正しいとは限らない。

[4-1-1-3]疑問文で聞き手の推測を尋ねる。また、話し手の疑問を表すこと(自問自答)がある。推測の意味で can は肯定文で使用できず、否定文で強い否定的推測、疑問文で強い疑念を表す。それに対して、推測の意味で may は肯定文でしか使用できず、否定文、疑問文で使用できない。could は肯定文でも使用でき、might は疑問文でも使用できる。

推測の意味で
        肯定文 否定文 疑問文
can        ×   〇   〇
could(直接法)   ×   ×   ×
could(仮定法)  非現実     ×   ×   ×
 控えめ表現   〇   〇   〇
may        〇   ×   ×
might(直接法)   ×   ×   ×
might(仮定法)  非現実     〇   〇   〇
 控えめ表現   〇   〇   〇

つまり、推測の意味の could は仮定法の控えめ表現であり、推測の意味の might 仮定法の非現実または控えめ表現である。

It /×can/could/may/might/ rain later this evening.
今日の夕方遅く雨が降るかもしれない。

/Can/Could/×may/might/ he still be at the station?
彼はまだ駅にいるでしょうか。

[4-1-1-4]話し手の推測を表す助動詞の/現在形/仮定法過去/+have+過去分詞 は過去のことまたは現在、過去、未来を含む基準時までに完了していることの推測を表す。

She /must/ought to/would/may/cannot/could not/ have left yesterday.(過去の推測)
彼女は昨日、立ち去った/に違いない/はずだ/だろう/のかもしれない/はずがない/はずがない/。

She /must/ought to/would/may/cannot/could not/ have left about this time tomorrow.(未来の完了の推測)
彼女は明日の今頃は、立ち去っている/に違いない/はずだ/だろう/のかもしれない/はずがない/はずがない/。

[4-1-1-4-1]過去のことに関する推測だけでなく、現在、過去、未来を含む基準時までに完了していることの推測も表しえる。

He may have been in his office yesterday.(過去のことの推測)
彼は昨日事務所にいたのかもしれない。

He may already have been in his office.(現在に完了(継続)していることの推測)
彼は既に事務所にいるかもしれない。

He may have been in his office before she came.(過去に完了(継続)したことの推測) 彼は彼女が来る前に事務所にいたのかもしれない。

He might have got on the train already.(現在に完了していることの推測)
彼はもう電車に乗ってしまったかもしれない。

By the end of this year I might have saved some money.(未来に完了しているであろうことの推測)
今年の末には私はいくらか貯金しているかもしれない。

[4-1-1-4-2]推測の意味において can と同様に can+have+過去分詞 は肯定文で使用できず、否定文で過去のことまたは現在、過去、未来を含む基準時までに完了していることへの強い否定的推測、疑問文で過去のことまたは現在、過去、未来を含む基準時までに完了していることへの強い疑念を表す。

By this time next week you /could/×can/ have forgotten all about this.(未来に完了していることの推測)
来週の今頃にはもうこんなことはすっかり忘れてしまっているかもしれませんよ。

[4-1-1-4-3] ただし、/should/ought to/ have+過去分詞 は現在に完了しているはずだったが、完了していないことも表しえる。

Where can they be? They ought to have come by now.
彼らはいったいどこにいるのだろうか。今頃はもう着いているはずなのに。

[4-1-1-5] will は話し手の推測の一部として話し手の未来の推測を表すことがある。これは「未来形」と呼ばれることがある。また、will be 現在分詞 は「未来進行形」と呼ばれ、will have 過去分詞 は「未来完了形」と呼ばれることがある。

[4-1-1-6]助動詞以外にも推測を表す表現はある。

副詞:perhaps, maybe, probably, possibly, certainly, surely, etc.
形容詞:possible, likely, certain, sure, afraid, etc.
慣用句:to be sure,
動詞:assume, believe, hope, fear, etc.

He /may/might/ well win the election.=
/Perhaps/Probably/ he will win the election.=
He is likely to win the election.=
It's /likely/probable/ that he will win the election.
彼は選挙に勝ちそうだ。

He must win the election.=
/Surely/To be sure/Certainly/ he will win the election.
I am /sure/certain/ /that he will win the election/of his winning the election/.=
He is /sure/certain/ to win the election.
It is /×sure/certain/ that he will win the election.
彼はきっと選挙に勝つ。

以上は話し手の推測である。それに対して、以下は主語の推測(確信)である。

He is /sure/certain/ of his winning the election.=
He is /sure/certain/ that he will win the election.
彼は自分が選挙に勝つと確信している。

[4-1-2] shall は、英で一人称主語平叙文で、話し手=主語の意志または推測を表す。英米で一人称以外の主語平叙文で、話し手の意志を表す。英米で疑問文で、聞き手の意志を尋ねる。米では一人称主語平叙文で意志または推測を表すのは will である。

一人称以外の主語平叙文で話し手の意志を表すのは、相手を見下すようなニュアンスがあるので、現代では通常、ペットや子供以外には使われない。大人に使うとすれば、暴言になりかねない。いずれにしても古風な表現である。

You shan't escape my revenge!(話し手の意志)
必ず復讐してやるぞ。

疑問文では暴言にならないが、以下のように古風な表現になる。

Shall I help you?(聞き手の意志を尋ねる、古風)→
Can I help you?
お手伝いしましょうか。

Shall he help you?(聞き手の意志を尋ねる、古風)→
Can I have him help you? 彼に手伝わせましょうか。

[4-2]主語の義務必要、主語への許可、主語の意志、主語の傾向習性、主語の能力を表す助動詞。

[4-2-1]主語の義務必要。

shall, must, should, ought to, have to では義務と必要が区別されない。それらの違いは、話し手がこめる義務必要の強さと、話し手があてがう義務必要の根拠の主観性または客観性である。shall, must では話し手の主観が強く、話し手が主語に強く義務必要を強いる。should, ought to, have to では話し手は主観を抑えてある程度の客観性を持たせようとする。

[4-2-1-1]肯定文で。義務必要の強さと主観性客観性のスペクトラムを以下に示す。

強い義務必要、主観的⇒ shall > must > have to > need to > ought to > should ⇒弱い義務必要、客観的

[4-2-1-2]否定文で、notの及ぶ範囲を[]で示す。

~してはならない⇒ shall [not V] > must [not V] > ought [not to V] > should [not V] ⇒~するべきでない

~する必要はない⇒(do not have) to V > (need not) V

[4-2-1-3]主語の義務必要を表す助動詞+have+過去分詞の意味。「過去に~するべきだったのに~しなかった」または「過去に~する必要がなかったのに~した」という過去に実現しなかったまたは現在または過去に完了していない義務必要を表す。

I feel sick. I shouldn't have eaten so much.
気分が悪い。あんなにたくさん食べるべきでなかった。

I need not have attended the meeting. It was a waste of time.
私はあの会合に参加する必要がなかった。時間の無駄だった。

[4-2-2]主語への許可

may(現在の許可), might(仮定法過去で現在の控えめな許可), can(事象可能性から派生しての許可), could(過去の持続的許可、または、仮定法過去で現在の控えめな許可)

may には基本的に許可の意味がある。それに対して、can には事象可能性(~できる)から派生して許可(~してよい)の意味が生じる。現代では、 may は許可を与える権威を強調してしまう(「上から目線」)であり、can がよく用いられる。

[4-2-2-1]否定文において、前述のとおり、主語への許可を表す助動詞の否定形には動詞句否定と助動詞否定の二通りがある。

You can [not go today].(~しないことへの許可)
君は今日、行かなくてもよい。

You [can't] go today.(不許可→禁止)
君は今日、行ってはならない。

You may [not stay here].(~しないことへの許可)
君はここにいなくてもよい。

You [may not] stay here.(不許可→禁止)
君はここにいてはいけない。

[4-2-2-2] could は直接法過去で過去の許可(肯定文と疑問文で持続的許可を表す。否定文では一時的許可も表しえる)と仮定法過去で控えめな現在の許可を表す。それに対して might は直接法過去で過去の許可を表せず、仮定法過去で控えめな現在の許可を表す。

He /could/×might/ watch television whenever he wished.(持続的許可)
彼は見たいときにいつでもテレビを見てよかった。

Yesterday evening, he /×could/×might/was allowed to/ watch TV for an hour.(could は一時的許可を表せない)
彼は昨夕テレビを一時間見ることを許された。

/Could/Might/ I watch TV now?(仮定法過去で現在に控えめに許可を求める)

今、テレビを見ていいですか。

[4-2-3]主語の意志。

will(現在の意志), would(直接法過去で過去の意志、または、仮定法過去で現在の控えめな意志)

I asked him to leave but he wouldn't (leave).(過去の意志)
私は彼に立ち去るよう頼んだが、彼は去ろうとしなかった。

[4-2-3-1] would は直接法過去で過去の意志を表すことも、仮定法過去で現在の控えめな意志を表すこともある。特に疑問文で相手の意志を問うことから、依頼、勧誘などの意味が派生する。また、won't you -? は強い勧誘を表すことが多い。

"Would you please summary the process?" "Certainly, I will/×would."(相手の意志を尋ねる→依頼)
「その工程を要約してもらえませんか」「はい、やります」

相手の意志を尋ねるのに控えめな would を用いるのに対して、受け答えにはより確実な will を用いるのが礼儀である。受け答えに would を用いると失礼になる。

"Won't you come in?" "Off course, I will." (強い勧誘)
「お入りになりませんか」「ありがとう、そうします」

上のような勧誘に対して、Yes, I will. と答えるのは浅薄である。断るなら、No, thank you. などとする。

[4-2-4]意志の意味から傾向習性の意味が派生する。生物の傾向習性も無生物の傾向も表せる。

will(現在の傾向習性), would(過去の傾向習性), used to(現在にない過去の傾向習性を含む状態・動作)

Oil will float on water.
油は水に浮くものだ。

上の例文より単純な現在形の

Oil floats on water.

も傾向習性を表せ、このほうがよく用いられる。

When we worked in the same office, we would often drink beer together.
同じ会社で働いていた時、私たちはよく一緒にビールを飲んだものです。

[4-2-5]能力。主語の能力、つまり主語に固有の可能性を表す。

can(現在の能力), could(過去の持続的能力)
/is/am/are/ able to(現在の能力), /was/were/ able to(過去の持続的能力、一時的能力)

[4-2-5例外]仮定法過去の帰結節において、状態動詞の能力を意味するには could ではなく、would be able to を用いる。

If you had proper lessons, you /would be able to/×could/ speak English.
適切な授業を受ければ英語を話せるようになります。

[4-2-5-1]直接法過去の couldに関する限りで以下のことが言える。否定文と see, hear, feel などの知覚動詞と understand, remember などの認識動詞などでの実現している能力を除いて、直接法過去の could は過去に一時的にできたことを表せず、持続的な能力しか表せない。それに対して、/was/were/ able to はどちらも表せる。

I looked everywhere for the watch, but I couldn't find it.(一時的にできなかったのだが、否定文だから使えた)
時計を見つけようとその辺をくまなく捜したが, 見つからなかった。

We could guess what he had to do.(一時的に分かったのだが、認識動詞だから使えた)
彼がやるべきことを推測できた。

I /was able to/×could/ jump over the ditch then.(一時的にできたのであり、could は不可)
私はそのときその溝を飛び越すことができた。

She could swim very well when she was a child.(持続的能力だから could が使えた)
子供の頃, 彼女は水泳が達者だった。

[4-2-5-2]能力というと人の能力を考えがちだが、人ではない物を主語にして物の能力を表せる。

This shelter can accommodate a hundred persons.
この避難所は百人収容できる。

Computers can handle vast quantities of information very quickly.
コンピューターは多量の情報をすばやく処理できる。

[4-2-5-3]前述のとおり、主語の能力を表す助動詞の否定形には動詞句否定と助動詞否定の二通りがある。

She can [not flatter men of influence].(動詞句否定)
彼女には権力者に追従しない能力がある。

I [cannot] flatter customers.(助動詞否定)
私には顧客におべっかを言う能力がない。

[4-3]文全体が表す事象が生じる可能性、義務必要、許可を表す助動詞。

[4-3-1]文全体が表す事象が生じる可能性を表す。受動態にしても意味が変わらない(態中立的)。

can(現在の事象可能性), could(過去の持続的事象可能性), may(現在の事象可能性), might(過去の持続的事象可能性), それに対して、be able to, it be possible /for - to -/that -/には時制に係らず、一時的可能性も持続的可能性も表せる。

You can smoke in here.
この中でタバコを吸ってよい。

I can see the moon tonight.=
The moon can be seen tonight.
今夜は月が見える。

That business can wait.
その仕事は後回しにできる。

You can speak English there tomorrow.=
English can be spoken there tomorrow.
明日、そこで英語を話してよい。

You can ski on that hill.
あの山ではスキーができます。

例えば、上の例文では、あなたの能力を言っているのではなく、一般に人がスキーをするという事象ができると言っている。それに対して、

I can ski.
私はスキーができる。

これは私の能力を言っている。

[4-3-1-1]前述のとおり、事象可能性を表す助動詞の否定形には動詞句否定と助動詞否定の二通りがある。

We can [not take your advice in this situation].(~しないことが可能、動詞句否定)
この状況ではあなたの忠告なしで済ませることができる。

We [cannot] take your advice in this situation.(不可能、助動詞否定)
この状況ではあなたの忠告を受けることができない。

[4-3-1-1-1]さらに、can't not V、つまり、助動詞否定と動詞句否定の同時発生さえも可能である。

You (can't) (not admire him).
彼のことは称賛せずにはいられない。

だが、それは不自然な表現である。普通は以下のように表現する。

You can't help admiring him.

[4-3-1-2]許可、能力を表す could と同様に、否定文等、知覚動詞、認識動詞などでの実現している可能性を除いて、過去形 could, might は持続的な可能性を表し、一時的に可能であったことに使用できない。

I left early and /was able to/×could/ get a good seat.(一時的に可能であったことに could は使えない。/was/were/ able to は使える)
私は早く出たので、いい席をとることができた。

I couldn't help laughing.(否定文では可能)
私は笑わずにいれなかった。

[4-3-2]文全体が表す事象が生じる義務必要を表す助動詞。受動態にしても意味が変わらない(態中立的)。

must, should, ought to, have to など主語の義務必要を表しえる助動詞はすべて事象の義務必要も表すことができる。

We must treat Israel as we did South Africa.=
Israel must be treated as South Africa was.
イスラエルはかつての南アフリカのように扱われなければならない。
[4-3-3]文全体が表す事象が生じる許可を表す。

may, can は主語への許可を表すだけでなく事象が生じることへの許可を表すことができる。やはり、態中立的である。

You can speak Italian in this class.→
Italian can be spoken in this class.
このクラスではイタリア語を話してよい。

上の例文の You は特定のあなたではなく、一般の人を指す総称である。だから、事象への許可を表せたのである。つまり、特定のあなただけでなく、誰でもイタリア語を話してよかったのである。

[5]助動詞を含む慣用句

[5-1] may well ≒ might well。may well より might well のほうが控えめな表現である。

[5-1-1] may well。「多分~だろう」。この may は推測の意味をもつ。may well は単なる may より確信の度合いが少し強い。might well はそれより控えめで弱いが、単なる may, might より強い。

It may well rain before tonight.
晩までに多分雨になりそうだ。

[5-1-2] may well。「~するのももっともだ」。この may は可能性または推測の意味をもつ

You may well be surprised at the news.=
/You have good reason to be ... / It is natural that you should be .../
君がそのニュースを聞いて驚くのも当然だ。

[5-2] may (just) as well A ≒ might (just) as well A

[5-2-1] may (just) as well A 主語が「~してもよい」。Aは非現実的でない。

It's not very far, so I may as well walk.
あまり遠くないんだから歩いていってもいいよ.

[5-2-2] might (just) as well A (as B) 主語が「~してもよいぐらいだ」(Aはやや非現実的である)

"What a slow bus it is!" "Yes, we might just as well walk (as ride in this)."
「遅いバスだね」「そうだね, 歩いてもいいぐらいだ」

本当は歩くのは不可能または歩く気はないのだが、それほどバスが遅いということが言いたいのである。

[5-3] might as well A as B 「BするぐらいならAするほうがマシだ」。A は完全に非現実である。

I might as well talk to a brick wall as talk to you.
君に話しかけるぐらいなら煉瓦塀に話かけたほうがましだ。

煉瓦塀に話し書けるのは非現実だが、それほど無味乾燥ということが言いたいのである。

[5-4]/would/had/ /rather/sooner/as soon/ /原型不定詞/that節(仮定法過去)/ /than/as/ /原型不定詞/that節(仮定法過去)/。「~するより~したい」

I'd rather you stayed here.(I'd では I would か I had か分からないが、結果的にどちらでも同じ意味であり、I'd で通る)
私はむしろ君にここに居て欲しい。

I'd rather die than give such a speech.
私はそんなスピーチをするくらいなら死んだほうがマシだ。

We would rather you didn't smoke.
たばこは遠慮していただけませんか。

I shall certainly not tell it to anybody if you would rather that I didn't.(主節の shall はイギリス英語)
君がそれを誰にも言って欲しくないなら、確かに言わない。

I would as soon die as surrender.
降参するぐらいなら死んだほうがマシだ。

"Wouldn't you rather live in the country?" "No, I wouldn't. I'd rather live here." 「むしろ田舎に住みたくないか」「いや、住みたくないね。ここに住んでいるほうがいい」

[5-4-1]否定形は would rather not である。

I would rather not stay here alone.
私は一人でここに居たくない。

[5-4-2]疑問文は普通、Wouldn't S rather V -? である。勧誘の意味が加わる。

Wouldn't you rather live in the country?
田舎に住みたいと思いませんか。

[5-4-2-1] Would S rather not V -?の形もあるが、意味が異なる。勧誘の意味はない。

Would you rather not live in the country?
田舎に住みたくないと思いますか。

[5-5]/Do/Would/ you mind /(one's) 動名詞/if節(doに対しては直接法、wouldに対しては仮定法)
①主語が「~してもらえませんか」、この場合は one's は不要。
②主語以外が「~してよろしいでしょうか」。この場合は one's は要。

/Do/Would/ you mind (×your) opening the window?
窓を開けてもらえませんか。

/Do/Would/ you mind my opening the window?
窓を開けていいですか。

/Do/Would/ you mind breaking this one dollar note into quarters?
この1ドル札を25セント硬貨に両替してもらえませんか。

/Do/Would/ you mind my borrowing this umbrella?=
Do you mind if I borrow this umbrella?(Doに対してはif節は直接法)=
Would you mind if I borrowed this umbrella?(Wouldに対してはif節は仮定法)
この傘をお借りしてよろしいでしょうか。

[5-6]/would/(英)should/ like to不定詞 主語が「~したいものだ」。英でも should を用いることは稀である。

I would like to send this parcel to Italy.
この小包をイタリアに送りたいのですが。

[5-6-1]/would like to have 過去分詞/would have liked to不定詞 で過去に実現しなかったまたは現在に完了していない願望を表す。

I would /like to have seen/have liked to see/ the game.
その試合を見たかったのだが、見れなかった。

[5-6-2] would like (for 米) O to不定詞, would like O 過去分詞という形もある。

Mother would like (for 米) you to come to the kitchen.
台所に来てもらいたいと母が言っています。

I would like the book returned soon.
その本をすぐに返して頂きたい。

[5-7] had better 「~するほうがよい」。忠告。You を主語にするとき、目上の人に対しては使えない。I, We を主語にするときはそのような気づかいは不要である。

くだけた言い方で、hadが省略されることがある。

You better wait until the shelling is over.(had の省略)
君は砲撃が終わるまでまったほうがいい。

We had better leave at once.
私たちはすぐにおいとましたほうがよい。

[5-7-1]否定形は had better [not V] で動詞句否定であり、主語が「~しないほうがよい」という意味になる。

She had better not go alone.
彼女は一人で行かないほうがよい。

You had better not say that.
それは言わないほうがよい。

[5-7-2]疑問形は普通は hadn't S better V で「~したほうがいいのではないですか」の意味になる。

Hadn't we better start at once?
私たちはすぐに出発したほうがいいのではないですか。

[5-7-2-1だが、had S better not V の形もあり、「~しないほうがいいのではないですか」の意味になる。

Had I better not go out?
私は外出しないほうがいいのではないですか。

[5-7-3]付加疑問文は以下のとおり。

We had better start at once, hadn't we?
すぐに出かけたほうがいいですね。

We had better not go out, had we?
外出しないほうがいいですね。

[5-7-4] had better have 過去分詞 で、①未来に完了しているべき忠告を意味することがあり、それは比較的よく使われる。また、②実現しなかったまたは現在または過去に完了していない非現実の忠告を表すことがある。だが、それらより③現在の強圧的な忠告を表すことが多い。

You had better have finished it by tomorrow.
明日までにそれを済ませておいたほうがいいです。

As far as those innocent child are concerned, you had better not have told so much as a white lie.(非現実)
あれらの純真な子供たちに関する限りで、罪のない嘘さえもついていないほうがよいのだが。

You had better never have been born.(非現実)
お前なんか生まれないほうがよかった。

You had better have brought your best tools.(強圧的忠告)
一番いい道具を持って来ただろうな。

[5-7-5] had best は「~するのが一番よい」というように had better より強くなるが、英米共にあまり使われない。would best は had better と同程度の強さだが、米のみで使われ、英では使われない。

[5-7-6]同様の表現として、It is /good/better/best/ /that節/to不定詞/などがある。これらは比較的よく使われ、had better より相手を見下す感じが低い。何故なら不定詞を使うと主語を一般の人にできるからである。

We thought it was best to introduce land reforms and give land to the landless.
農地改革を導入し土地を持たない人々に土地を譲渡するのがよいと私たちは考えた。

[5-8]/cannot help 動名詞/cannot (help) but 原型不定詞/cannot choose but /原型不定詞/to不定詞//have no choice but to不定詞/ で「~をしないわけにいかない」「~せざるをえない」。cannot help 動名詞 が最も普通。

You can't help admiring him.=
You can't (help) but admire him.=
You can't choose but (to) admire him.=
You have no choice but to admire him.
彼のことは称賛せざるをえない。

[5-8-1] help の目的語として動名詞がよく来るが、一般の名詞句が来ることもある。

If she did wild or wicked things it was because she could not help them.
彼女が乱暴なことや邪悪なことをするとしても、それらを自分でどうすることもできないからだった。

[5-9] cannot - too - で「~しても~しすぎることはない」→「是非~するべきだ」

You cannot be too careful when you drive a car.
車の運転にはいくら注意してもしすぎることはない.

[5-10] do nothing but 原型不定詞 で「~ばかりしている」

The child did nothing but cry all morning.
その子供は午前中、泣いてばかりいた。

[6]狭義の助動詞各論

[6-1] can, can have 過去分詞, could, could have 過去分詞

現在形の can, 現在完了形の can have 過去分詞, 直接法過去または仮定法過去の could, 直接法過去完了または仮定法過去完了の could have 過去分詞 の形をとることが可能である。

[6-1-1]現在形 can の意味

主語の能力
 一時的能力(稀)
 持続的能力
 実現している能力(知覚動詞、認識動詞などで)
事象の可能性
 一時的可能性
 持続的可能性
 実現している可能性(知覚動詞、認識動詞などで)
可能性の発展として許可…など
 主語への一時的許可…など
 主語への持続的許可…など
 事象への一時的許可…など
 事象への持続的許可…など
現在のことの推測(肯定文は不可。否定文と疑問文でのみ)

[6-1-1-1]主語の能力と事象の可能性

[6-1-1-1-1]主語の能力と事象の可能性の違い

主語の能力とは主語に固有の可能性であり、状況に左右されない。それに対して、事象の可能性とは文全体が表す事象が生じる可能性であり、状況に左右される。というより状況そのものの場合もある。

Cats can see in the dark.(主語の能力)
ネコは暗い所でも目が見える。

は、猫に固有の眼の能力、つまり、視力を指している。

それに対して、

We can see the moon this night.(事象可能性)
今夜は月が見える。

は、月と私たちの間に雲がないという事象が生じる可能性を指し、天候という状況そのものであり、私たちのそれぞれの視力がよいということを言うのでは全くない。さらに、

We can go home at time today.(事象可能性)
今日は定時で帰宅できる。

は、仕事が多くないという事象が生じる可能性を指し、職場全体の仕事の量という状況そのものであり、私たちのそれぞれが家まで歩いてまたは電車でまたは車で帰る能力をもつことを言うのでは全くない。

That business can wait.(事象可能性)
その仕事は後回しにできる。

You can speak English there tomorrow.(事象可能性)
君は明日、そこで英語を話してよい。

She can speak English.(主語の能力)
彼女は英語を話せる。

Now you can ski on that hill.(事象可能性)
今、あの山ではスキーができます。

雪が適度に積もっているという状況がスキーを可能にする。それに対して、

I can ski.(主語の能力)
私はスキーができる。

[6-1-1-1-2]前述のとおり、主語の能力を表す can を含む文を受動態にすると意味を成さないか意味が変わる。それに対して、事象可能性を表す can を受動態にしても意味が変わらない。

She can speak German.(主語の能力)→
×German can be spoken by her.
彼女はドイツ語を話せる。

We can speak German in this class.(事象可能性)→
German can be spoken in this class.
このクラスではドイツ語が話せる。

[6-1-1-1-3]能力があるとして、それは通常、常態的に備わっているものである。だから、can が一時的能力を意味することは稀である。事象可能性はそうではない。従って、

①事象可能性を表す can は、sometimes, at times などの頻度を表す副詞句と共起できる。また、それらの副詞がなくても、「~であることがある」を表すことがある。それに対して、主語の能力を表す can は通常、それらと共起できない。
②事象可能性を表す can は特定の時間、場所、状況を表す副詞句と共起できる。それに対して、主語の能力を表す can は通常、それらと共起できない。

Woman can be very catty at times.(事象可能性)
女性はときに意地悪をする。

Tropical sun can be dangerous.(事象可能性)
熱帯の太陽は危険なことがある。

You can speak German in this class today.(事象可能性)
このクラスでは今日、ドイツ語を話せる。

[6-1-1-1-4]能力というと人間や動物のそれらをイメージしがちだが、無生物にも能力があり、無生物を主語にできる。

Computers can handle a vast quantity of information very quickly.(機械の能力→性能)
コンピューターは多量の情報を迅速に処理できる。

[6-1-1-1-5] see, hear, feel などの知覚動詞や understand, remember などの認識動詞で can が付くと、能力や可能性を示すだけでなく、実際にその知覚や認識が生じていることを示すことが多く、can を省略しても意味はほぼ等しくなることが多い。さらにこの場合、主語の能力より事象の可能性を示すことが多く、しかも、その事象が実際に生じていることを示すことが多い。

I can see the obelisk. ≒ I see the obelisk.(実際に尖塔が見えている)
その尖塔が見える。

I can smell something burning. ≒ I smell something burning.(実際に臭いがしている)
何かが燃えている臭いがする。

I can understand your position. ≒ I understand your position.(実際に理解している)
あなたの立ち場は分かります。

[6-1-1-1-5-1]だが、知覚動詞、認識動詞だからと言って必ずしも実現している能力、可能性を表すわけではない。必ずしも実現していない能力が本来の能力である。強いて言うなら「潜在能力」と呼べる。

Cats can see in the dark.(主語の能力)
猫は暗闇でも眼が見える。

I can see the moon tonight.(実現している状況可能性)
今夜は月が見える。

The old /can't/don't/ hear as well as the young.(主語の能力)
年を取ると若い頃ほど耳が聞こえない。

[6-1-1-1-5-2]繰り返すが、知覚動詞だけでなく、understand, guess, remember などの認識動詞でも can が付くと、能力や可能性を示すだけでなく、実際にその感覚や認識が生じていることを示すことがあり、can を省略しても意味に大差はないことがある。

I /can't/don't/ understand it.
私にはそれが理解できない。

I (can) remember your grandfather.
あなたのお祖父さんのことを思い出します。

I (can) guess what you want.
君が何が欲しいか、見当がつく。

[6-1-1-1-5-3]だが、can なしの現在形は幅の広い時間における出来事を表し、can があるとそのとき現在という幅の狭い時間における出来事を表す。だから、can なしの現在形は原型不定詞の相性がよく、can があると現在分詞と相性が良く、進行形の意味を生じやすい。

I see a bird fly.(can なし現在形→原型不定詞)
鳥が飛ぶのが見える。

I can see a bird flying.(can あり→現在分詞)
鳥が飛んでいるのが見える。

I heard a door slum.(一回だけのバタン)
ドアがバタンと閉まるのが聞こえた。

I could hear a door slumming.(進行形の反復の意味が生じ、バタンバタン)
ドアがバタンバタンと開閉しているのが聞こえた。

slum は動作瞬時完結動詞であり、進行形では動作の反復を表す。

The door is slumming.
ドアがバタンバタンと開閉している。

[6-1-1-1-5-4]だが、can を用いると能力、可能性を強調する。能力、可能性は一瞬にして形成されるものではないので、can は suddenly, instantly などと共起できない。

Suddenly I (×can) saw his shoulder twitch slightly.
突然、彼の肩が引きつるのが見えた。

[6-1-1-1-5-5]そもそも、speek or write (foreign languages), play (sports or instruments) など能力がないとできない動作を表す動詞は単純現在形、過去形だけでも能力があることを表せる。だが、can を用いると能力を強調する。

She (can) speak Greek.
彼女はギリシア語が話せる。

/Do/Can/ you play the piano?
あなたはピアノを弾けますか。

[6-1-1-1-6]未来の主語の能力と事象の可能性を述べるには、can または will be able to を用いる。助動詞を二つ連ねて will can とすることができないからである。will be able to より can のほうが話し手の確信度が大きい。それは後者が現在形だからである。

If you take this course, you /can/will be able to/ speak good French in a few months.(未来の主語の能力)
この講座をとれば、二三か月でフランス語を上手に/話せる/話せるようになる/だろう。

I haven't got time today, but I /can/△will be able to/ see you tomorrow.(未来の事象可能性)
今日は時間がないが、明日なら/会える/会えるだろう/。

上の例文のように話し手が約束し、相手に確実さを伝える場合は can のほうが適切である。

[6-1-1-1-7] can't seem - は、seem unable to - の意味で用いられる。「否定」の章で説明する否定辞上昇である。

I can't seem to think of a single thing I'd be good at doing.
私は自分が得意なものを何一つ思いつかないように見える。

[6-1-1-2]一時的能力、可能性、許可…などと持続的それらの違い。

主語の能力、事象の可能性、許可のそれぞれに一時的なそれらと持続的なそれらがある。

Reporters can interview the President every Monday morning.(持続的事象可能性)
記者は毎月曜の午前に大統領と会見することができる。

では、can は一般の記者の大統領との会見が定期的に慣例として持続的に可能であることを示す。それに対して、

The reporter can interview the President this morning.(一時的事象可能性)
その記者は今朝、大統領と会見することができる。

では、can は特定の記者と大統領との会見がたまたま、一時的に可能であることを示す。

I can clear my throat now.(一時的事象可能性)
私は今は喉を通せる。

[6-1-1-2-1]能力の多くは持続的なものなので、can が一時的能力を表すことは稀である。

The boy can jump over the ditch that day.(一時的能力、稀)
その日はその少年はその溝を飛び越えることができた。

[6-1-1-3] can の事象可能性が慣用的に発展して許可、提案、依頼、警告、皮肉などを表すことがある。許可を表すことが最も多い。

You can use my dictionary whenever you want to.(主語への持続的許可)
いつでも使いたいときに私の辞書を使っていいです。

Can I keep this?(主語への一時的許可)
これを持っていていいですか。

We can send you a map, if you wish.(提案)
ご希望なら地図を送ることができます。

"Can I carry your bag?" "Oh, thanks very much."(提案)
「鞄をお持ちしましょうか」「はい、どうもありがとう」

Can you put the children in bed?(依頼)
子供たちを寝かせてくれませんか。

Women can be very catty at times.(警告)
女性はときに非常に意地悪になることがある。

Can't you shut up?(焦燥)
黙ってられないの。

You can forget your holiday.(皮肉)
休暇のことなど忘れてもいいんだぞ。

If you don't like it, you can (just) lump it.(皮肉)
いやでも辛抱するしかないよ。

[6-1-1-3-1]許可を表す can は、may と完全に等しいわけではない。May I -? があからさまに許可を求めるのに対して、Can I -? はそれから発展した事象可能性の意味を残しており、can のほうが状況に配慮していると聞き手に受け止められ、許可を与える者の権威が和らぐ。だから、may より can のほうがよく使われるのである。

[6-1-1-3-2]許可などにも一時的なそれらと持続的なそれらがある。

You can use the PC whenever you like.(主語への持続的許可)
いつでも使いたいときにそのPCを使ってよい。

You can use the PC today because I won't use it.(事象への一時的許可)
私は使わないから君は今日はそのPCを使ってよい。

[6-1-1-4]以下の推測を表す cannot, can't を除いて、以上の意味の cannot, can't では動詞句否定と助動詞否定が文法的に可能である。

I can [not take your advice].(~しないことが可能、動詞句否定)
私はあなたの忠告なしで済ませることができる。

I [cannot] take your advice.(不可能、助動詞否定)
私はあなたの忠告を受けることができない。

[6-1-1-4-1]だが、慣用的には助動詞否定であることが多く、無能力、不可能、不許可…などの意味が多い。

[6-1-1-5]推測を表す can がある。ただし、この意味で現在形の can は肯定文で使用できず、否定文では助動詞否定である。否定文と疑問文で単純な否定、疑問だけでなく強い疑念を表す。助動詞で肯定文で推測を表すには/could/may/might/will/would/を用いる。

That can't be his mother―she's in New York.
それが彼の母親であるはずがない―母親はニューヨークにいるのだから。

Can she be home?
いったい彼女は家にいるだろうか。

How can you stand all these noises?
いったいあなたはどうしてこんな騒音に耐えられるのか。

[6-1-1-5例外] can only be C の形では用いられ、「~にちがいない」= must を意味する。

"Who's that at the door?" "It can only be the postman."
「玄関にいるあの人は誰?」「きっと郵便屋さんでしょう」

[6-1-1-5-1]推測を表す can と may の比較
    肯定文    否定文    疑問文
may    〇   〇(may(not VP))  ×
can    ×   〇((can not)VP)  〇

may は can より話し手の主観を強調するので疑問文では不可。否定文では、 can は助動詞を否定するので、「疑いはない」→「~なわけがない」「~でないに違いない」となる。それに対して、may は動詞句を否定するので、「~でないかもしれない」となる。

He can't come.
彼が来るわけがない。

/It is possible/I think/ that he may (not come).
彼は来ないかもしれない。

上の例文のように/It is possible/I think/などを用いると不確実性をさらに強調する。

[6-1-1-5-2]推測の意味の can は yes or no疑問文だけでなく、wh疑問文でも使用できる。また、間接疑問文でも使用できる。また、hardly, rarely, never, onlyなどを含む準否定文でも使用できる。

。 What can she possibly want?(wh疑問文)
いったい彼女は何を求めているのだろう。

I wonder where he can be.(間接疑問文)
いったい彼はどこにいるのだろう。

They can hardly intend to do that.(準否定文)
かれらがそんなことをしようとするわけがない。

[6-1-2]現在完了形 can have 過去分詞

疑問文と否定文で過去のことの推測、または、現在はもちろん、過去、未来を含む基準時に完了していることの推測を表す。疑問・否定文で単なる疑問や否定をこえて「いったい~だったのだろうか」「~だったはずがない」というような強い疑念を表す。現在形 can と同様に推測の意味では肯定文では使えない。肯定文では /could/may/might/will/would/ have 過去分詞を用いる。

Can he have gone?(現在に完了していることの推測)
彼は行ってしまったのだろうか。

Where can he have gone?(現在に完了していることの推測)
いったい彼はどこへ行ってしまったのだろうか。

Who can have killed him?(過去のことの推測)
いったい誰が彼を殺したのだろう。

She can't have been ill yesterday.(過去のことの推測)
彼女が昨日病気だったはずがない。

He can't have finished the work by next Monday.(未来に完了していることの推測)
彼がその仕事を今度の月曜日までに終えているはずがない。

[6-1-2-1]現在形 can と同様に、間接疑問文と、hardly, rarely, never, onlyなどを含む準否定文でも使用できる。

。 I wonder where he can have gone.
いったい彼はどこへ行ったのだろう。

They can hardly have intended to do that.
かれらがそんなことをしようとしたわけがない。

[6-1-2-2]推測を意味する can, can have 過去分詞 が肯定文で用いられることはない。それに対して、will, would, could, may, might, will have 過去分詞, would have 過去分詞, could have 過去分詞, may have 過去分詞, might have 過去分詞 は推測の意味で肯定文で使用可能。

She could have gone swimming, I suppose.(過去のことがらの控えめな推測)
彼女は泳ぎにいったのかもしれない、と私は思う。

[6-1-3]過去形の could の意味

直接法過去で  過去の主語の能力
  持続的能力
  一時的能力(否定文等のみ)
  実現している能力(知覚動詞、認識動詞などで)
 過去の事象の可能性
  持続的可能性
  一時的可能性(否定文等のみ)
  実現している可能性(知覚動詞、認識動詞などで)
 過去の事象の可能性の発展として許可…など
  持続的許可…など
  一時的許可…など(否定文等のみ)
仮定法過去で  非現実を表す仮定法過去で
  仮定法過去の帰結節または条件節で能力、可能性
  条件節または帰結節の省略で能力、可能性
  I wish ....などの慣用的表現で能力、可能性
 非現実ではない控えめ表現   現在の主語、事象への控えめな許可…など
  現在のことの控えめな推測
時制の一致で現在形が取りうるあらゆる意味用法をもつ

[6-1-3-1]現在形の can に対して、過去形の could は以下を除いて一時的な能力、可能性、許可を表せない。否定文、準否定文、従属節、仮定法、時制の一致では一時的なそれらを表せる。また、知覚動詞、認識動詞などで実現している能力、可能性を表せ、そのとき一時的なそれらを表せる。

My father could speak three languages.(持続的能力だから、肯定文でも可能)
父は三か国語を話せた。

She could hardly believe her eyes.(一時的事象可能性だが、準否定文だから可能) 彼女はわが目を信じることができなかった。

We could see the moon last night.(一時的事象可能性だが、知覚動詞で実現していることを表すから可能)
昨夜は月が見えた。

She watched him and she could read the changing expression on his face.(一時的事象可能性だが、認識動詞で実現していることを表すから可能)
彼女は彼を見て、彼の顔の変わっていく表情を読み取れた。

When I was a child, I could watch TV whenever I wanted to.(持続的許可だから可能)
子供の頃、私はいつでも見たいときにテレビを見ることが許された。

×Yesterday evening, she could watch TV for an hour.→(一時的許可なので不可能)
Yesterday evening, she was allowed to watch TV for an hour. 昨夜、彼女は1時間テレビを見ることを許された。

He ran as fast as he could.(従属節)
彼はできるだけ速く走った。

It was /all/as much as/ I could do to keep from laughing.(従属節)
なんとか笑いをこらえるのが関の山だった。

He was gone before you could say 'Jack Robinson.'(従属節)
彼はあっというまに立ち去った。

[6-1-3-1補足] can, could と be able to の違い
①be able to の後に受動態は不可。受動態を使うなら、/can be 過去分詞/could be 過去分詞/be capable of being 過去分詞/を使う。

The door /could not be opened/was not capable of being opened/×was not able to be opened/.
ドアは開かなかった。

②be able to は過去の一時的能力可能性でも使える。

Yesterday the child /×could/was able to/ jump over the ditch.
昨日、その子はその溝を跳び越すことができた。

③現在時制で実現しているとき、be able to は使えない。

Watch me, Dad. I /can/×am able to/ stand on my head.
ほら見て、パパ。ぼく逆立ちできるよ。

[6-1-3-2]直接法過去の could ではなく、仮定法過去の could については、非現実を表す仮定法過去と非現実ではない控えめ表現の仮定法過去を区別する必要がある。

[6-1-3-2-1]非現実を表す仮定法過去の帰結節または条件節、帰結節または条件節の省略、I wish ....などの慣用表現では、許可、推測の意味はない。それらで推測の意味を表すには、would(英では should も)、might を用いる。つまり、非現実を表す仮定法過去では能力、可能性の意味しかない。

Without water, nothing could live.(if節の代用)
水がなければ、何も生きられない。

I wish I could draw.(慣用表現)
私が絵を描けたらなあ。

[6-1-3-2-1-1] How could you -? は話し手にとってありえないことを表し、非現実を表す仮定法過去である。「どうして~できるのか(困った)」という非難・焦燥を表す慣用表現になっている。

How could you be so cruel?
どうしてあなたはそんな残酷なことができるの。

[6-1-3-2-1-2] couldn't - (any) /more/less/も非現実を表す仮定法過去である。「これ以上~することができない」→「まったく~する」という意味になる。もって回った表現に見えるが、日常でもよく使われる。

I couldn't agree more.
全く同感です。

Quite honestly, I couldn't care less what they do.
正直に言って、彼らが何をしようが私は少しも気にしない。

[6-1-3-2-1-3]非現実を表す仮定法過去で「~できるのに~しない」ことから非難に使える。

You could ask before you borrow my car.
私の車を借りるなら、そう頼めばいいのに(しない)。

[6-1-3-2-1例外]仮定法の帰結節で状態動詞について、could は使えない。

If you had proper lessons, you /would be able to/×could/ speak English.
適切な授業を受ければ、英語が話せるようになるのになあ。

[6-1-3-2-2]非現実ではない控えめ表現の仮定法で、控えめな許可…などを表す。

"Could I ask you something?" "Yes, of course you can."(話し手が聞き手に控えめに許可を求める)
「お尋ねしたいことがあるのですが」「もちろんいいです」

上の例文で許可を求める側は控えめに could を使うが、それに許可を出す側は誠意を示すために控えめではない can を用いるのが普通である。

I could do the shopping for you, if you're tired.(話し手が聞き手に控えめに提案する)
お疲れでしたら、私が代わりに買い物をしてきますよ。

上の例文では、条件節も帰結節も非現実を表す仮定法過去ではない。条件節は直接法現在であり、帰結節は控え目表現の仮定法過去である。

Could I please see the manager?(話し手が聞き手に控えめに事象可能性を尋ねる→依頼)
支配人に会わせてもらえませんか。

Thank you, but I really couldn't accept.(話し手が聞き手に控えめに事象不可能性を説明する→丁重なお断り)
残念ですが、お受けすることができません。

[6-1-3-2-3]非現実でない控えめ表現の仮定法で、現在の控えめな推測を表す。

It could rain later this evening.
今夜遅くに雨が降るかもしれない。

このように、can と異なり、could は推測の意味で肯定文でも使える。

[6-1-3-3]時制の一致。現在形 can がもつすべての意味を表せる。機械的に can → could としてよい。現在の一時的能力、可能性、許可…などを表す can が時制の一致で could になることは可能である。仮定法過去で、非現実でない、控えめ表現の could はそのままにする。

She said to me, "You can see me today."(現在の一時的許可だが、時制の一致では以下のとおり)→
She told me that I could see her that day.
彼女は今日はあなたに会えますと言った。

She said, "It can't possibly rain tomorrow."(話し手=彼女の推測)→
She said that it couldn't possibly rain the following day.
明日が雨になるわけがないと彼女が言った。

She said, "It could rain tomorrow."(仮定法過去だが、非現実でない控えめ表現なのでそのままにする)→
She said that it could rain the following day.
明日は雨だろうと彼女が言った。

[6-1-4] could have 過去分詞
①仮定法過去完了で過去のまたは完了した非現実の能力、可能性を表す(帰結節または条件節で、条件節または帰結節の省略、I wish ....などの慣用表現で)
②仮定法過去完了で非現実ではなく控えめ表現で、過去のことまたは現在はもちろん、過去、未来を含む基準時に完了していることの控えめな推測を表す。
③時制の一致で過去形がもつすべての意味を表しえる。

[6-1-4-1]仮定法過去完了の帰結節または条件節で能力・可能性を表しえる。また、条件節または帰結節が省略されても使われる。また、I wish 仮定法などの慣用的表現の中でも使われる。いずれにしても非現実を表す。

The driver could have avoided the accident if he had been more careful.(帰結節で非現実の可能性)
もっと注意深かったら運転手は事故を避けることができたろうに。

I would have assassinated the dictator if I /could have done/had been able to do/ so.(条件節で非現実の可能性)
もし可能だったなら、私はその独裁者を暗殺していただろう。

I wish that I could have shot him dead even if I had incurred heavier penalty.(慣用表現の従属節で条件節と帰結節が現れることも可能である)
もっと重い刑罰を招いてでも、彼を撃ち殺すことができていたらよかったのだが。

[6-1-4-1-1]非現実の過去だけでなく、非現実の現在の完了(完了、結果、継続、経験)を表しえる。

He could have gained public support now if he hadn't made such a gaffe.
あんな失言をしていなければ、今、彼は民衆の支持を得られていただろう。

上の例文のように、条件節が実現しなかった過去のことを表し、帰結節が実現していない現在の完了を表すことがある。

[6-1-4-1-2]以下も条件節の省略で非現実を表すが、比喩的表現である。

I couldn't have enjoyed myself more―it was a perfect day.
私はあれ以上楽しむなどできなかっただろう―それは完璧な一日だった。

I was so angry I could have killed the boss.
私は非常に腹が立って、社長を殺せるぐらいだった。

[6-1-4-1-3]以下も非現実を表すが、「そうしようと思ったらできただろう」というような非難を表す。

You could have told me days ago!
数日前に教えてくれていたらよかったのに。

[6-1-4-2]仮定法過去完了、控えめ表現で過去のことまたは現在はもちろん、過去、未来を含む基準時に完了していることの控えめな推測を表す。

Don't worry. Because they could have just missed the 5 o'clock train and would be in time.(過去のことの控えめな推測)
心配しないでください―彼らは5時の電車に乗り遅れただけでしょうから。間に合うでしょう。

It couldn't have been me you saw, because I wasn't there.(過去のことの控えめな推測)
君が見たのは僕のはずがない。何故なら僕はそこに居なかったから。

Could she have forgotten it?(現在に完了していることの推測)
彼女がそれを忘れているなんてことはありうるでしょうか。

By this time next week you could have forgotten all about this.(未来に完了していることの推測)
来週の今頃にはもうこんなことはすっかり忘れてしまっているかもしれませんよ。

上の例文のように、現在に完了していることの控えめな推測だけでなく、未来に完了することの控えめな推測を表しえる。それは can が未来の完了の推測を表しえるのと同様である。

[6-1-4-3]時制の一致で can have 過去分詞 → could have 過去分詞

I said to myself, "How it /can/could/ have helped me."(時制の一致)→
I did not see how it could have helped me.

それがどうして私の助けになったのか分からなかった。
直接話法で could have 過去分詞 である場合は間接話法でそのまま。

[6-2] may, may have 過去分詞, might, might have 過去分詞

may(現在形)
may have 過去分詞(現在完了形)
might(直接法過去または仮定法過去)
might have 過去分詞(直接法過去完了または仮定法過去完了)

の四つの形をとりえる。

may の否定形には縮約形がなく、may not とする。それに対して、mightn't はある。

[6-2-1] may(現在形)の意味

(1)主語または事象への許可、それからの慣用的発展としての提案等
(2)事象の可能性
(3)推測
(4)事象可能性または推測からの慣用的発展として譲歩
(5)古語として願望、目的、譲歩

[6-2-1-1]主語または事象への許可を表す may。
may の本来的な意味である。肯定文、否定文では話し手が権威を示して聞き手に主語または事象についての許可を与えるまたは与えない。疑問文では話し手が聞き手に権威があると認めて主語または事象についての許可を尋ねる。そのような権威付けのために現代では can に押されて使用頻度は減少している。

Subscribers to the library may take out four books at a time.(主語への許可)
図書館登録者には1人4冊まで借出しできます。

"May he come with us?" "/No,/I'm afraid/ he may not."(主語への許可)
「彼は一緒に来ていいですか」「いいえ(残念ながら)駄目です」

権威付けを弱めるために、 I'm afraid などを付けたほうがよい。

You may smoke here.(事象への許可)
ここではタバコを吸ってよい。

上の例文は特に主語に対する許可を表すのではなく、排煙設備があるなどの状況による一般の人に対する許可を表しており、これは事象への許可である。

[6-2-1-1-1] can が事象可能性からの発展として許可を表すのに対して、may は一義的に許可を表す。従って、

/May/Can/ I help you?
(店員が客に向かって)/何にいたしましょうか/何にしましょうか/。

は、さらに慣用的発展して提案を表すが、may のほうが格式的丁重であり、can のほうが friendly である。

[6-2-1-1-2]否定形は may not で短縮形はない。助動詞否定も動詞句否定も文法的には可能だが、慣用的に助動詞否定が多く、不許可を表すことが多く。その不許可は結果的に禁止と大差なくなる。ちなみに must not, mustn't は動詞句否定で禁止を表す。

Students [may not] use the staff car park.≒
学生が職員用の駐車場を使用することは許されていない。

Students must [not use the staff car park].
学生は職員用の駐車場を使用することは禁止されている。

[6-2-1-1-3]三人称主語の疑問文でも、話し手は聞き手に第三者に対する許可を求めている。

"May he come with us?" "No, (I'm afraid) he may not."
「彼は一緒に来ていいですか」「いいえ(残念ながら)駄目です」

[6-2-1-1-4]権威をもって許可を与えるまたは与えない話し手は団体であってもかまわない。

Visitors may not feed the animals.(動物園が許可を与える)
入園者は動物にエサを与えないこと。

[6-2-1-1-5]皮肉で慇懃無礼さを表すことがある。

What, may I ask, are you doing here?
ここで何をやっておられる。

[6-2-1-2]事象可能性を表す may

現代では can に押されて、使用頻度は減少している。広報など格式的な文書で用いられることが多い。

Tickets may be obtained at the usual agencies.
切符は通常の代理店で購入できます。

[6-2-1総括]以下の推測を表す may を除いて、以上の意味の may では文法的に助動詞否定も動詞句否定も可能である。だが、慣用的には助動詞否定であることが多く、不許可、不可能を表すことが多い。

You may [not stay here].(~しないことへの許可、動詞句否定、稀)
君はここにいなくてもよい。

You [may not] stay here.(不許可、助動詞否定)
君はここにいてはいけない。

[6-2-1-3]推測を表す may

この意味で、can が肯定文で使用されないのに対して、may は主として肯定文で使用され、否定文では稀であり、疑問文では使用されない。

[6-2-1-3-1]推測を表す may は疑問文で使用できないが、Do you think that節型の間接疑問文では可能である。

Do you think you may go camping this summer?
あなたは今年の夏、キャンプに行くと思いますか。

[6-2-1-3-2] may not の意味。

推測を表す may not は稀だが、動詞句否定であり、May(not V) であり、「~ないかもしれない」の意味になる。

He may come, or he may not.
彼は来るかもしれないし来ないかもしれない。

[6-2-1-4]事象可能性または推測から慣用的発展として譲歩を含意することがある。

You may call him a genius, but you cannot call him a good teacher.
彼は天才と言えるかもしれないが、よい教師と言えない。

[6-2-1-5]仮定法現在の代用。主節の動詞が現在形で、願望、目的、譲歩などを表す。

I /hope/pray/ he /may/will/ succeed.(願望)
願わくは彼が成功しますように。

He flatters that he may win.(目的)
彼は成功するためにお世辞を言う。

[6-2-1-5-1]願望、目的、譲歩の意味で may を用いるのは古語であり、現代で稀ながらも使用されるものは、目的の副詞節における may だけである。例えば、/-ever/no matter wh-/の形の譲歩の構文でも現代では may を用いず、普通の現在形を用いる。

It's a pretty spot /whoever/no matter who/ may maintain it.(譲歩)→
It's a pretty spot /whoever/no matter who/ maintains it.
誰が管理しているにせよそこは美しい名所だ。

[6-2-1-6]/may/might/ well, /may/might/ as well - as の慣用句が生じる。

[6-2-1-6-1] may well

事象の可能性を表す may に well が付くと「~ももっともだ」となり、可能性または推測を表す may に well が付くと「たぶん~だろう」となる。may が might になると控えめな表現になる。

His explanation is incomprehensible. You /may/might/ well get confused.(事象の可能性から)
彼の説明は分かりずらい。あなたが混乱するのももっともだ。

If you're not careful, you may well have a accident.(推測から) 気を付けないと事故に遭うぞ。

[6-2-1-6-1-1]推測の may well について、well が付いても may 単独の may have 過去分詞 の意味用法は有効である。

It may well have been the world's biggest settlement at the time.
それが当時の世界の最大の植民地であったことは十分に考えられる。

[6-2-1-6-2] /may/might/ as well A as B

さらに、may as well A as Bで事象の可能性が比較される。might A as well B となると、Aが非現実になり、「~するぐらいなら~したほうがましだ」という意味になる。

We might as well throw our money into the sea as lend it to him.
彼にカネを貸すぐらいなら海に捨てたほうがよい。

I might as well talk to brick wall as talk to you.
君に話しかけるぐらいなら煉瓦塀に話かけたほうがましだ。

[6-2-1-6-3] /may/might/ as well

Bがなく、may/might/ (just) as well A だけなら「~してもよい」となる。might (just) as well A となるとAは非現実的になる。例えば、

It's not very far, so I may as well walk.
あまり遠くないんだから歩いていってもいいよ.

では歩くことは可能であり歩く気がある。それに対して、

"What a slow bus it is!" "Yes, we /might/×may/ just as well walk."
「遅いバスだね」「そうだね, 歩いてもいいぐらいだ」

本当に歩くのは不可能または歩く気はないのだが、それほど遅いということが言いたいのである。

[6-2-2] may have 過去分詞(現在完了形)

過去のことの推測、または、現在はもちろん、過去、未来を含む基準時に完了していることの推測を表す。

He may already have been in his office.(現在に完了(継続)していることの推測)
彼は既に事務所にいるかもしれない。

He may have been in his office yesterday.(過去のことの推測)
彼は昨日事務所にいたのかもしれない。

He may have been in his office before she came.(過去に完了(継続)していることの推測)
彼は彼女が来る前に事務所にいたのかもしれない。

[6-2-3] might(直接法過去または仮定法過去) might(直接法過去または仮定法過去)は以下を表しえる。

[直接法過去]
①過去の持続的な事象の可能性(唯一の直接法過去、古語)
[仮定法過去]
②非現実を表す仮定法過去の帰結節または条件節で可能性または推測を表す。条件節または帰結節は省略されうる。I wish ....等の慣用的表現がある。いずれにしても非現実を表す。
③非現実でない仮定法過去で控えめな現在の許可
④非現実でない仮定法過去で控えめな可能性からの慣用的発展しての提案…など
⑤非現実でない仮定法過去で控えめな現在の推測
⑥非現実でない仮定法過去で事象可能性または推測からの慣用的発展としての譲歩
⑦時制の一致で現在形が表しえるあらゆる意味を表せる。
⑧仮定法代用で過去の願望、懸念、目的、譲歩

This crisis might very easily lead to war.(⑤非現実でない仮定法過去で控えめな現在の推測)
この危機はたやすく戦争に至りえる。

He said that I might go.(⑦時制の一致、許可)
私は行ってもよいと彼は言った。

He said that he might be home late.(⑦時制の一致、推測)
帰宅が遅くなるかもしれないと彼が言った。

If you phone tomorrow, he might be at home.(⑤非現実でない仮定法過去で控えめな現在の推測)
明日電話すれば彼は在宅かもしれない。

上の例文では、条件節は直接法現在、帰結節は仮定法過去だが、非現実を表さない控えめ表現の仮定法過去である。

[6-2-3-1]直接法過去の might は過去の一時的な事象の可能性と主語または事象への許可を表せず、過去の持続的な事象の可能性を表せるだけであり、しかもそれは古語で格式的である。

In those days, a man might be hanged for stealing a sheep.(古語、過去の持続的な事象の可能性)
その頃、羊を盗んでも絞首刑にされることがあった。

×He might enter the no-entry zone whenever he needed to.→
He /was allowed to/could/ enter the no-entry zone whenever he needed to.
彼は必要なときはいつでもその立ち入り禁止区域に入ることを許されていた。

[6-2-3-2]非現実を表す仮定法過去の帰結節または条件節で可能性または推測を表せ、許可は表せない。

If you made it a rule to be early to bed and early to rise, you might feel better.
早起きの習慣を身につけると、気分がよくなるかもしれないよ。

If you were a little more modest, you /would be allowed to/×might/ enter the club.
もう少し慎み深かったら、あなたはそのクラブに入会することが許されるだろう。

[6-2-3-2-1]非現実を表す仮定法で実現していない事象可能性からそうでないことへの非難を表せる。

In the future you might try to be a little more polite.
今後はもう少し礼儀正しくしてもいいだろう。

[6-2-3-3]非現実でない仮定法過去で控えめな現在の許可

Might I ask the President a question?(現在に話し手が聞き手に控えめに許可を求める)
大統領に質問していいでしょうか。

[6-2-3-4]非現実でない仮定法過去で控えめな事象可能性からの発展として、提案…など

We might have a walk around the neighborhood.(事象可能性からの発展として、控えめな提案)
近所を散歩してみませんか。

[6-2-3-5]非現実でない仮定法過去で控えめな現在の推測

This might sound crazy, but I think someone is following me.
狂気じみて聞こえるかもしれないが、私は誰かに付けられていると思う。

上の例文は前述の譲歩も含意している。また、/may/might/を使用する場合、譲歩も推測または可能性を含意していることが多い。

[6-2-3-6]非現実でない仮定法過去で事象可能性または推測からの慣用的発展としての譲歩を表せる。現在の譲歩も過去の譲歩も表しえる。

Although she might understand his beliefs, she could not accept them.(過去の譲歩)
彼女は彼の信念を理解していたかもしれないが、受け入れることはできなかった。

He might be nearly seventeen but he's still very immature.(現在の譲歩)
彼はもうすぐ17歳かもしれないが、まだとても未熟だ。

[6-2-3-7]時制の一致で現在形が表しえるあらゆる意味を表せる。

[6-2-3-8]仮定法代用で主節の動詞が過去形で願望、懸念、目的、譲歩を表す。目的を除いて、古語である。

I wished fervently he might not discover my hiding-place.(願望)
彼が私の隠れ家を見つけないよう私は切に願った。

I was afraid that the news might be true.(懸念)
私はそのニュースが本当かもしれないと心配だった。

I feared that some disaster might occur.(懸念)
私は災難が起こりはしないかと恐れた。

He died so that others might live.(目的)
他の人が生きられるように彼は死んだ。

However tired he might be, he never stopped working.(譲歩)
どんなに疲れていても彼は決して仕事をやめなかった。

[6-2-4] might have 過去分詞(直接法過去完了または仮定法過去完了)

以下を表しえる。

①非現実を表す仮定法過去完了の帰結節または条件節(帰結節または条件節が省略されることがある。主語などが条件節の意味をもつことがある)可能性または推測を表す。非現実を表す仮定法過去、過去完了では許可を表さない。
②非現実でない仮定法過去完了で過去のこと、または、現在はもちろん、過去、未来を含む基準時に完了していることの控えめな推測を表す。
③may have 過去分詞、または might の時制の一致

[6-2-4-1]非現実を表す仮定法過去完了の帰結節または条件節で可能性または推測を表す。

If she hadn't been so bad-tempered, I might have married her.(帰結節で可能性または推測)
彼女があんなに怒りっぽくなかったら、私は彼女と結婚していたかもしれない。

You were lucky. You might have been killed.(条件節の省略、可能性または推測)
君は幸運だった。死んでいたかもしれないんだよ。

[6-2-4-1-1]慣用的発展によって、非難を表すことがある。

I think you might have warned me.
私に警告してくれていてもよかったと思う。

[6-2-4-2]非現実でない仮定法過去完了で過去のこと、または、現在はもちろん、過去、未来を含む基準時に完了していることの控えめな推測を表す。

He might have /got(英米)/gotten(米)/ on the train already.(現在に完了していることの控えめな推測)
彼はもう電車に乗ってしまったかもしれない。

By the end of this year his scientific discovery might have earned him respect and admiration.(未来に完了することの控えめな推測)
今年の末までには科学的発見のために彼は尊敬と賞賛を得ているかもしれない。

[6-2-4-3]時制の一致で might have 過去分詞になることがある。

I was afraid he might have lost his way. (前述の懸念の時制の一致)
彼が道に迷ってしまったんじゃないかと私は心配だった。

[6-3] must(現在形), must have 過去分詞(現在完了形), must(直接法過去または仮定法過去), must have 過去分詞(直接法過去完了または仮定法過去完了)

次の四つの形が可能である。つまり、現在形と過去形は同一である。

must(現在形)
must have 過去分詞(現在完了形)
must(直接法過去、時制の一致のみ)
must have 過去分詞(直接法過去完了、時制の一致のみ)

[6-3-1] must(現在形)

次の意味をもつ。

主語の義務(~しなければならない)
事象の義務(~でなければならない)
確信をもった推測(~に違いない)

[6-3-1-1]主語または事象の義務を表す must。must は should, ought to, have to と比較して話し手の主観が入り、話し手が主語または事象に義務を強いる度合いが強い。

[6-3-1-1-1]主語の義務を表す must と事象の義務を表す must の違い。

主語に原点があり、主語の義務を表す must と文全体が表す事象に原点があり、事象の義務を表す must がある。後者を含む文を受動態にしても意味が変わらない、つまり、態中立的である。それは、have to, ought to, shouldについても言える。

We must treat old people with sympathy and understanding.(事象の義務)=
Old people must be treated with sympathy and understanding.
高齢者は同情と理解をもって扱われなければならない。

上の例文は事象に原点があり、受動態にしても意味が変わらない。それに対して、下の例文は主語に原点があり、受動態にすると意味が変わる。

He must visit the lady.(主語の義務)≠
彼はその婦人を訪問しなければならない。

The lady must be visited by him.
その婦人は彼の訪問を受けなければならない。

[6-3-1-1-2]否定形 must not の否定の及ぶ範囲。
動詞句否定、つまり、must [not V] であり、「~しないようにしなければならない」→「~してはならない」という意味になり、禁止を表す。

Visitors must [not feed these giraffes].
来園者の皆様、これらのキリンにエサをやることはおやめください。

[6-3-1-1-2-1] mustn't と must not の違い。 米ではmustn'tは禁止を表し、must not は、確信をもっての推測「~でないに違いない」を表すことがある。

[6-3-1-1-3]義務の must から慣用的に発展して生じる意味。

主語への強い勧誘。
主語の主張、傾向への話し手の焦燥。「~したいと言い張る」「どうしてもしたい」

You must come and see us soon.(勧誘)
ぜひすぐに私たちに会いに来てください。

You must eat this cake.(勧誘)
このケーキを是非、召し上がってください。

Must you be so funny all the time?(主語の傾向への焦燥)
君はいつもそんなにおどけていなければ気が済まないのか。

If you must smoke, use an ash-tray.(主語の主張への焦燥)
どうしてもタバコを吸いたいなら、灰皿を使ってくれ。

[6-3-1-2]強い確信をもっての推測を表す must

[6-3-1-2-1]推測を表す動詞の種類。通常、状態動詞で推測を表すことが多い。動作動詞なら義務の意味になりやすい。

He must be well over eighty.
彼は優に80歳を超えているに違いない。

There must be something wrong with this machine.
この機械はどこかおかしいにちがいない。

He must leave for the city at once.(leave for は動作動詞である)
×彼はすぐにその都市に出発するに違いない。
〇彼はすぐにその都市に出発しなければならない。

[6-3-1-2-1例外]動作動詞でも現在の状態(継続)を表しえる現在進行形、現在完了形では推測の意味が可能である。また、動作動詞でも、現在の持続的反復的習慣などを表すものなら可能である。

I always see Mr. Smith coming home in the early morning. He must work at night.(work は動作動詞だが、現在の習慣を表している)
スミスさんが早朝帰宅するのをいつも見かける。夜働いているのにちがいない。

He left home twenty minutes ago. He must have arrived at the office by now.(arrive は動作動詞だが、現在完了形で到着した結果として居ることを表す)
彼は20分前に家を出たので, もう会社に着いているにちがいない。

He must watch the program this evening.(現在形では義務)
彼は今夜、その番組を見なければならない。

He must be watching the program this evening.(進行形では推測)
彼は今夜、その番組を見ているに違いない。

[6-3-1-2-2]一般に未来の主語の動作と状態については推測より義務の意味のほうが優位に立つ。それに対して、事象については義務より推測が優位に立ちえる。

He must go to London tomorrow.(未来の主語の義務)
×彼はあしたロンドンに行くに違いない。
〇彼はあしたロンドンに行かなければならない。

It is certain that he will go to London tomorrow.(未来の主語の動作の推測)
彼はあしたロンドンに行くことは確かである。
Prices must come down next week.(未来の事象の推測)
来週、物価が下がるに違いない。

It must rain tomorrow.(未来の事象の推測)
明日は雨が降るに違いない。

[6-3-1-2-3]否定文と疑問文における確信をもっての否定的推測と強い疑念では、can, could がよく用いられる。その結果、must が確信をもっての推測を表すのは肯定文においてであることが多く、否定文では稀であり、疑問文ではない。肯定文で使われることの影響を受けて付加疑問文で must が使われることはある。

△It must not be true.→
It can't be true.
それは本当であるはずがない。

It must be nice to be a cat, mustn't it?(付加疑問文)
猫であることはきっと素敵だろうね。

[6-3-1-2-3例外]だが、アメリカ英語で mustn't は推測ではなく義務(禁止)を表し、must not が強い否定の推測を表すことがある。アメリカ英語では強い否定の推測は cannot, can't より must not で表すことが多い。

He can't be in.→
He must not be in.(米)
彼は中に居ないに違いない。

[6-3-2] must have 過去分詞(現在完了形)の意味

①未来の基準時までに完了しているべき義務。受験資格を述べるのに多用されて、「~しておかなければならない」
②過去のことの、または、過去、現在、未来を含む基準時に完了していることの強い確信をもった推測

Applicants must have graduated from high school.①
志願者は高等学校を卒業しておかなければならない。

He must have missed the train.②
彼は電車に乗り遅れたに違いない。

[6-3-2-1]強い確信をもった推測の意味で must have 過去分詞は否定文、疑問文で用いられない。強い確信をもった推測の意味で否定文、疑問文で用いられるのは can have 過去分詞である。ところで、否定文の cannot は助動詞否定であり、「~かもしれないということはない」→「~なはずがない」となる。

Where /can/×must/ he have put the flashlight? He /can't/×mustn't/ have thrown them away.
彼はどこに懐中電灯をおいたのだろう。捨ててしまったはずがない。

[6-3-3] must(過去形)

must が過去形で過去の義務や推測を表すことはない。過去の義務や推測を表すには must ではなく、had to や must have 過去分詞 を用いる。過去形の must は専ら従属節中での時制の一致で用いられる。

I /had to/×must/ leave early that morning.
その日の朝、私は早発ちしなければならなかった。

He said that I must plant some trees.(従属節中で時制の一致)
木を植えなければならないと彼は言った。

I felt there must be something wrong with my car.(従属節中で時制の一致)
私の車はどこか故障しているに違いないと私は感じた。

We submitted because we must.(従属節中で時制の一致)
私たちはやむをえず降参した。

[6-3-4] must have 過去分詞(過去完了形)の意味。上と同様に専ら従属節で時制の一致で用いられる。

She said, "He must have missed the train."→
She said that he must have missed the train.
彼は電車に乗り遅れたに違いないと彼女は言った。

上の例文で直接話法の中の must は現在形であり、間接話法の中の must は過去形である。

[6-3-4-1]仮定法で/must/must have 過去分詞/が用いられることはない。/would certainly/would certainly have 過去分詞/などを用いる。

If it had rained, the match /would certainly/×must/ have been canceled.
雨が降っていたら、試合はきっと中止されていただろう。

結局、仮定法過去または過去完了で用いられる助動詞は、could, would, should,(英), might,だけである。

[6-3-5] should, ought to have 過去分詞では、非現実(~すべきだったのに~しなかった)を表すことがありえるが、must have 過去分詞と次に述べる have to have 過去分詞ではない。

You /ought to/should/×must/×have to/ have sent us word in advance that the meeting had been canceled.
君は私たちにその会合が中止になったことを前もって知らせるべきだったのにしなかった。

[6-4] /have to/have got to/have to have 過去分詞/had to/had to have 過去分詞/

[6-4-1] /have to/have got to/ の基本的意味。

主語の義務必要。
事象の義務必要。
確信をもっての推測。

推測の使用頻度は少なく、英米の比較では米に多く、英でも増加傾向。

He has (got) to be joking.(確信をもっての推測)
彼は冗談を言っているにちがいない。

[6-4-1-1] must と have to の比較。 比較的に、義務の意味において、must は話し手が義務があると考えていることを強調し、have to は状況によって客観的に義務があると考えられることを強調する。推測の意味においては、must は主観的で倫理や論理に基づき、have to は客観的で具体的な証拠に基づく。

①Catholics must go to church on Sundays.
②Catholics have to go to church on Sundays.
カトリック教徒は日曜日に教会に行かなければならない。

例えば、上の例文①では、信仰心が強調され、②では慣習が強調される。

I've got to see the dentist tomorrow.(定期的に通院し予約しているなどの状況が強調される)
私は明日は歯医者に行かなければならない。

I must make an appointment with the dentist.(痛みがあることからの主観的判断である)
私は歯医者を予約しないといけない。

[6-4-1-2-1] do not have to - と must not - の否定する部分の違い。

do not have to V は 助動詞(have to)を否定し、must not V は本動詞(V)を否定する。従って、前者は「~する必要はない」(不必要)、「必ずしも~でない」(不必然)という意味に、後者は「~してはならない」(禁止)、「~でないに違いない」(否定の確信をもっての推測)という意味になる。

You don't have to do it in haste.
君はそれを急いでしなくてよい。

You mustn't do it in haste.
君はそれを急いでしてはならない。

"A dog's been killing our chickens." "It doesn't have to be a dog ― it could be a fox."
「犬がうちの鶏を殺している」「犬とは限らない。きつねかもしれない。」

[6-4-1-3]/have to/have got to/の使い分け。

一般に、義務必要の意味でも推測の意味でも have got to は have to に取って代ることが可能である。ただし、義務必要の意味で、英では持続的な義務必要に have to を用い、一時的な義務必要に have got to を用いる。米ではそれらを区別しない。また、英でも最近はそれらを区別しない傾向がある。また、英米で肯定文では have got to を用い、否定文、疑問文では have to を用いる傾向がある。米では、くだけた言い方で have を省略した got to、さらにくだけた言い方で gotta もある。

I have to work on Sundays.(英で持続的な義務必要)
私は日曜日は仕事をする必要がある。

I have got to get up early tomorrow morning.(英で一時的な義務必要)
私は明日の朝、早起きする必要がある。

I don't have to work on Sundays.(英で持続的な義務必要)
私は日曜日は仕事をする必要がない。

I haven't got to get up early tomorrow morning.(英で一時的な義務必要)
私は明日の朝、早起きする必要がない。

[6-4-1-3-1]/have to/have got to/の疑問文、疑問文に対する受け答え、付加疑問文。

疑問文、受け答え、付加疑問文では have to は助動詞扱いせず、本動詞として扱い、do を用いる。例えば、
"Do you have to work on Sundays?" "/Yes, I do/No, I don't/."
"You have to work on Sundays, don't you?"
"You don't have to work on Sundays, do you?"

have got to は現在完了形として扱い、例えば、

"Have you got to get up early tomorrow morning?" "/Yes, I have/No, I haven't/."
"You have got to get up early tomorrow morning, haven't you?"
"You haven't got to get up early tomorrow morning, have you?"

となる。

[6-4-1-3-1例外]ところが、米では、Have you got to ...? に対しても/Yes, I do/No, I don't/.となることがあり、付加疑問文でも/don't you?/do you?/になることがある。

"Have you got to get up early tomorrow morning?" "/Yes, I do/No, I don't/."
"You have got to get up early tomorrow morning, don't you?"
"You haven't got to get up early tomorrow morning, do you?"

[6-4-1-3-2]過去の義務必要を表すのに had got to が用いられることは稀であり、/had to/did have to/did not have to/Did S have to/ が用いられる。また、時制の一致では had to が用いられる。

I /had/had got(稀)/ to chair the meeting yesterday.(過去の義務必要)
私は昨日、その会議の議長を務めなければならなかった。

[6-4-1-3-3]他の狭義の助動詞は他の狭義の助動詞と共起しなかったが、have to は 推測の意味の will, may と共起でき、/will/may/ have to の形で義務必要の推測または未来の義務必要を表す。

We will have to call the police.
私たちは警察を呼ばなければならないだろう。

When you leave your home town, you'll have to find a job in a city.
故郷を去るとき、都会で仕事を探さなければならなくなるだろう。

[6-4-1-3-3-1] will have to は will の推測の意味に対応して、義務必要の意味を和らげることもある。

You can borrow my car, but you'll have to bring it back before ten.
君は車を借りてよいが、10時前に返さないといけないだろう。

[6-4-1-3-3補足]未来の義務必要を表すには以下の方法がある。

must, should, ought to をそのまま用いる。
will have to を用いる。

[6-4-1-3-4] have got to の不定詞、分詞、動名詞はなく、 have to にはある。be having to の進行形も可能である。

。 We may /have/×have got/ to call the police.(原型不定詞)
私たちは警察を呼ばなければならないかもしれない。

I regret /having/×having got/ to refuse your offer.(動名詞)
あなたの申し出を断らなければならないことが残念です。

I'm /having/×having got/ to work very hard at the moment.(現在分詞、現在進行形(一時的な状態))
私は目下、猛勉強しないといけない。

[6-4-1-3補足1]一般的に have が have got に成るのは上の助動詞としての have to と本動詞で状態動詞としての所有の意味の have である。所有の意味以外の動作動詞では成らない。

I /have/have got/ /something/nothing/ against him.(所有の意味)
私には彼への反感が/いくらかある/少しもない/。

/Do you have/×Have you got/ coffee with your breakfast? (所有の意味の状態動詞ではなく drink に等しい動作動詞である)
朝食時にコーヒーを飲みますか。

I /didn't have/×haven't got/ any difficulty getting here. (所有の意味の状態動詞ではなく experience に等しい動作動詞である)
ここへ来るのに骨は折れなかった。

Can I /have/×have got/ the bill, please? (所有の意味の状態動詞ではなく receive に等しい動作動詞である)
勘定書をお願いします。

[6-4-1-3補足2]一般に get の過去完了形として got を使うか gotten を使うか。

前述の 所有の意味の状態動詞の have got と 義務必要の意味の have got to を除いて、アメリカ英語では get の過去分詞として、gotten が用いられることがある。

He's gotten you a camera, hasn't he?
彼がカメラを買ってくれただろう。

[6-4-1-4] have to は状態動詞である。have to の進行形について、状態動詞が進行形で使われる意味用法、つまり、一時的状態、推移、動作の継続反復に対する焦燥表現、誇張的表現では可能。

I'm having to work very hard at the moment.(一時的状態)
私は目下、猛勉強しなければならない。

Believers in that religion is always having to punish themselves for something.(焦燥表現)
その宗教の信者はいつも何かの罪で自分を罰していなければならない。

[6-4-1-5] have to を用いた慣用句。
have only to ~するだけでよい。

You have only to stay here to see what can happen to him.
彼に何が起こるか見るためにはここにいさえすればよいのだ。

[6-4-2] have to have 過去分詞 の意味

過去のこと、または、現在はもちろん、過去、未来を含む基準時に完了していることの確信をもっての推測を表す。must, should, ought to と異なり、実現しなかった義務必要を表さない。

She have to have received the money.
彼女はそのカネを受け取ったはずだ。

[6-4-2-1]過去のことがらの推測を表すには /had to/had got to/ ではなく、have to have 過去分詞が用いられる。だが、時制の一致では /had to/had to have 過去分詞/ はありえる。

The cause of his death has to have been a suicide.
彼の死因は自殺だったに違いない。

She said, "The cause of his death has to be a suicide."→
She said that the cause of his death had to be a suicide.(時制の一致)
彼の死因は自殺に違いないと彼女は言った。

She said, "The cause of his death has to have been a suicide."→
She said that the cause of his death had to have been a suicide.(時制の一致)
彼の死因は自殺だったに違いないと彼女は言った。

[6-4-3] had to

多くは時制の一致で現れる。時制の一致以外で/had to/did have to/didn't have to/Did S have to/の形で過去の義務必要を表すことはあるにはある。

As a boy I had to wait in front of the door for my older sister to come home and unlock it.
子供の頃、私は姉が帰って来て鍵を開けるまでドアの前で待たなければならなかった。

They said, "We have to wait for a long time."→
They said that they had to wait for a long time.(時制の一致)
長い間、待たなければならないと彼らは言った。

[6-4-4] had to have 過去分詞

専ら、時制の一致で現れる。

He stared at the photographs of the victims and said, "I suppose the main cause of their death has to have been radiation."→ … and said (that) he supposed (that) the main cause of their death had to have been radiation.
彼は犠牲者の写真を見て、「彼らの主要な死因は放射線だったはずだ」と言った。

[6-5] ought to, ought to have 過去分詞

ought の過去形は同形の ought であり、時制の一致で用いられるだけである。

意味は

①主語の義務必要
②事象の義務必要
③確信をもっての推測

There ought to be a book written about him.
彼のことを書いた本があってもいいはずだ。(事象の義務必要または話し手の確信をもっての推測)

上の例文のように、②と③の両義にとれる場合がある。それに対して、

You ought to write a book about him.
君は彼について本を書くべきだ。

は、①でしかない。

[6-5-1] must, ought to, should の比較

義務について ought to, should は mustより弱く、話し手が相手に義務必要は認めるが強要する度合いが少ない。推測についても ought to, should は must より弱く、自分の判断は間違っているかもしれないという話し手の疑いを含む。従って、下の例文で must を使用することは不自然である。ought to は他よりかなり稀で格式的、特に米でそうである。

She /should/ought to/×must/ do that sooner or later, but she don't have to now.
彼女はいずれはそうするべきだが、今はしなくてよい。

He /should/ought to/×must/ be there, but he isn't.
彼はそこにいるはずなのにいない。

それに対して、下の例文は自然。

She must do that now.
彼女は今、そうするべきだ。

He must be there, so you had better go at once.
彼はそこにいるに違いないから、君はすぐに行ったほうがよい。

[6-5-2] must, have to, should と同様に、事象の義務必要と話し手の推測を表すときは受動態にしても意味は変わらない。

They ought to remove him from office for taking bribe.=
He ought to be removed from office for taking bribe.
彼は収賄のかどで解任されるべきだ。

[6-5-3] ought の否定形。すべての意味において動詞句否定である。to を省略してよい。

He /ought not/oughtn't/ (to) behave like that.
彼はあのように振る舞うべきではない。

[6-5-4] ought の疑問文。to を省略してよい。

"Ought I (to) go?" "Yes, I think you ought (to)."
「私は行くべきだろうか。」「うん。そうするべきだと思う。」

[6-5-4-1] ought の付加疑問文。to を省略する。

We ought to leave at once, oughtn't we?
私たちはすぐに退散したほうがいいのではないですか。

[6-5-5]動詞を省略した場合、to を省略してよい。

I don't want to go, though I know I ought (to).
私は行くべきだということが分かっているのだが、行きたくない。

[6-5-6] ought は元来が過去形である。だから、現在形と過去形が同形である。過去形の ought は時制の一致でそのまま使われるだけである。

He said to me, "You ought to be ashamed of yourself."→
He told me I ought to be ashamed of myself.
彼は私に君は自分のことを恥じるべきだと言った。

[6-5-7] ought to have 過去分詞 の意味。意味は should have 過去分詞 と同様である。

①過去に実現するべきだったまたは現在または過去に完了するべきだったが実現または完了していない義務必要
②未来の基準時までに完了しているべき義務必要
③過去のこと、または、現在はもちろん、過去、未来を含む基準時に完了していることの確信をもっての推測
④話し手が確信をもって推量していたが実現しなかったまたは完了していないこと

We have done the things we ought not to have done.(①)
私たちはするべきでなかったことをしてしまった。

Students ought to have completed all the core requirements by September thirtieth.(②)
学生は重要必須科目のすべてを9月30日までに終えていなければならない。

The news ought to have reached her by now.(③)
そのニュースはもう彼女のところに届いているはずだ。

We ought to have finished repairing the tool by the end of next week.(③) 私たちは来週末までにその道具を修理するのを終えているはずだ。

Where can they be? They ought to have come by now.(④)
彼らはいったいどこにいるのだろうか。今頃はもう着いているはずなのに。

[6-6] will と shall

[6-6-1] will, shall, 主語の人称、基本的意味の関係を以下のようにまとめることができる。

その前に「意志動詞」と「無意志動詞」を区別しておく。人間または動物の意志によって実現することも実現しないこともできる状態または動作を表す動詞句が意志動詞であり、work, study, buy, lend, borrow, be silent, be patient などがある。それに対して、人間または動詞の意志でもっては実現することができない状態または動作を表す動詞句が無意志動詞であり、fall, slip, cry, die, fear, be afraid, be glad などがある。助動詞 will, shall を説明するためにはそれらの区別を避けて通れない。ところで、疑問文は、基本的に聞者に何かを尋ねるものだが、たった一人で自問自答するものでもありえる。だが、その説明は省略する。

意志動詞(work, study, etc)無意志動詞(fall, slip, etc)
一人称主語・平叙文will(話者意志)
英shall(話者意志)
will(話者推測)
英shall(話者推測)
一人称主語・疑問文will(聞者推測)
shall(聞者意志)
 
will(聞者推測)
shall(聞者意志)
英shall(聞者推測)
二人称主語・平叙文will(話者推測、話者意志→命令)
shall(話者意志)
will(話者推測)
shall(話者意志)
二人称主語・疑問文will(聞者意志、聞者推測)will(聞者推測)
三人称主語・平叙文will(話者推測、主語意志、主語傾向習性)
shall(話者意志)
will(話者推測、主語傾向習性)
shall(話者意志)
三人称主語・疑問文
will(聞者推測、主語意志、主語傾向習性)
shall(聞者意志)
will(話者推測、主語傾向習性)
shall(聞者意志)

[6-6-1-1]一人称主語・平叙文、意志動詞では will は話者意志を表す。

I will help you.(一人称主語・平叙文、意志動詞、話者意志)
私はあなたを手伝うつもりです。

We won't lend you any more money.(一人称主語・平叙文、意志動詞、話者意志)
もう君にはカネを貸さないぞ。

[6-6-1-1-1]一人称複数主語、つまり、we で意志動詞では Let's - と同様の意味になることがある。

We will meet her at the airport.
空港で彼女を出迎えよう。

[6-6-1-2]一人称主語・平叙文で will が推測を表すためには無意志動詞でなければならない。意志動詞なら意志を表してしまうから。

I believe I will cry after I go to bed.(一人称主語・平叙文、無意志動詞、話者推測)
ベッドに就いてから私はきっと泣くでしょう。

[6-6-1-3] shall を除き、will は、無意志動詞では、どの人称でも、平叙文でも疑問文でも、推量または傾向習性を表し、意志を表せない。

One day /I/we/you/they/ will die.(すべての人称・平叙文・疑問文、無意志動詞、話者推量または傾向習性)
いつか/私/私たち/君たち/彼ら/は死ぬ/だろう/ものだ/。

[6-6-1-4]自問自答を除いて、意志動詞であれ無意志動詞であれ、一人称主語・疑問文で、話者の意志または推測を尋ねることはありえず、will は聞者の推測を尋ねる。

She said to me, "Will I have enough money?"(聞者(この場合は私)の推測を尋ねる)→
She asked me if she would have enough money.
おカネは十分にもらえるのでしょうかと彼女は私に尋ねた。

"Will I be removed?" he thought.(自問自答)→
He thought if he would be removed.
解雇されるのだろうかと彼は思った。

[6-6-1-5]一人称主語で聞き手の意志を尋ねるには英米で shall を用いる。だが、これは格式的。Can I -? のほうが普通。

Shall I carry your bag?(一人称主語・疑問文、聞者意志)→
Can I carry your bag?
鞄をお持ちしましょうか。

[6-6-1-6] shall で疑問文で一人称複数(we)主語ならアメリカ英語でも共同の提案になる。これは普通に用いられる。

Shall we go out for a walk?(一人称複数主語・疑問文、聞者意志→共同の提案)
散歩をしませんか。

[6-6-1-7]二人称主語・平叙文では will は基本的に話者推量を表す。

You will be in time if you hurry.(一人称主語・平叙文、話者推量)
急げば君は間に合うだろう。

[6-6-1-8]二人称主語・平叙文で話者意志を表すにはアメリカ英語でも shall を用いるが、これは暴言である。

You shall die.(二人称主語・平叙文、話者意志)
殺してやる。

[6-6-1-9]二人称主語・疑問文で意志動詞では will は聞者の意志を尋ねる。これはよくある表現である。発展して依頼、勧誘…などを表す。

"Will you have this woman to your wife?"(二人称主語・疑問文、聞者意志、直接的に意志を尋ねている)
"Yes, I will."(一人称主語・平叙文、話者意志)
「あなたはこの女を妻として迎えますか」
「はい迎えます」

Will you pass (me) the salt, please.(二人称主語・疑問文、聞者意志→依頼)
塩をとってもらえませんか。

[6-6-1-10]二人称主語・疑問文、無意志動詞では will は聞者の推量を尋ねる。

Will you be busy today?
今日はお忙しいでしょうか。

[6-6-1-11]二人称主語・疑問文、意志動詞で will が聞者の推量を尋ねることは不可能ではない。だが、意志と混同されないように will be -ing の形を用いることが多い。また、一人称主語・平叙文で、意志動詞で話者の推量を表すにも will be -ing の形を用いることが多い。

"What time will you be leaving?"(二人称主語・疑問文、意志動詞、聞者推量)
あなたは何時に発つ予定ですか。

"I'll be leaving at seven."(一人称主語・平叙文、意志動詞、話者推量)
私は7時に発つ予定です。

[6-6-1-12]三人称主語では、平叙文でも疑問文でも、意志動詞で推量も意志も傾向習性も表せる。また、無意志動詞では意志は表せないが、推量と傾向習性を表せる。

He won't help me.(三人称主語・平叙文、意志動詞、主語意志)
彼は私を助けようとしない。

He will sit there for hours watching the sea.(三人称主語・平叙文、意志動詞、傾向習性)
彼は何時間もそこに座って海を眺めていることがよくある。

He would fall asleep reading his newspaper.(三人称主語・平叙文、無意志動詞、傾向習性)
彼はよく新聞を読みながら寝入ったものだ。

Occasionally this machine will go wrong without any clear cause.(三人称主語・平叙文、傾向習性)
この機械ははっきりとした原因もないのにときどき故障する。

[6-6-1-13] shall はアメリカ英語でも、三人称主語でも、意志動詞でも無意志動詞でも、平叙文で話者意志を表し、疑問文で聞者意志を表す。三人称主語でもさげすみはあるのだが、職業人や物に対しては比較的に普通に用いられる。

Shall the warden call you taxi?
管理人にタクシーを呼んでもらいましょうか。

Shall the taxi wait?
タクシーを待たせましょうか。

[6-6-1-14]以上のすべてについて、will not, won't, shall not, shan't は動詞句否定であり、意志に対しては「~しないことを意志する=するつもりはない」、傾向習性に対しては「~しない傾向がある=しようとしない」、推量に対しては「~しないと推量される=~しないだろう」、という意味になる。つまり、例えば、

I won't lend you any more money.→
I will [not lend you any more money].

は、「私はあなたにこれ以上カネを貸す意志がない」と消極的に意志がないことを表すのではなく、積極的に「カネを貸さない意志がある」と言っているのである。だから、won't は強い拒絶、強い否定的傾向、強い否定的推量を表す。これは人主語だけでなく物主語にも言え、例えば、

This window won't open.
この窓はどうしても開かない。

は強い否定的傾向を表す。

[6-6-2]上記の基本的意味から慣用的発展によって様々な意味が生じる。

[6-6-2-1] will, shall には当然、未来のことの推測の意味もある。そのような未来の推測が、後に文法において「未来形」「未来進行形」「未来完了形」「未来完了進行形」として意識されるようになった。

One day we will die.「未来形」
いつか私たちは死ぬ。

I'll be waiting for you at 3 o'clock.「未来進行形」
3時にお待ちしています。

I'll wait for you .... より控え目な表現になる。さらに、I would be waiting .... のほうが控えめな表現になる。

The lake will have frozen by tomorrow morning.「未来完了形」
湖は明日の朝までに凍っているだろう。

You will have been studying English for five years by next March.「未来完了進行形」
君は今度の3月で5年間英語を勉強していることになる。

I believe I will cry after I go to bed.「未来形」
ベッドに入ってから私は泣くと思う。

Of course, I'll miss you, Sophie.「未来形」
もちろん、君がいなくなると寂しくなるよ、ソフィー。

Will I have enough money?「未来形」(疑問文)
おカネは十分にもらえますか。

Will I see you later?「未来形」(疑問文)
私は後であなたと会えるでしょうか。

Will Friday suit you?「未来形」(疑問文)
金曜日はご都合はいかがですか。

Will you be at home this evening?「未来形」(疑問文)
今晩はご在宅ですか。

それらに対して、以下は単純な推測の will の現在進行形、現在完了形である。

It will be snowing now in Ottawa.(現在に動作が継続していることの推測)
オタワでは今、雪が降っているだろう。

They will have arrived there by now.(現在に動作が完了していることの推測)
彼らは今頃そこに到着しているだろう。

[6-6-2-1-1]話し手の意志を述べる I will .... や聞き手の意志を尋ねる Will you ...? などと紛らわしく、それらと区別したいときは敢えて I will be - ing .... Will you be -ing ...? の形にする。

What time will you be needing the car?
何時に車が必要でしょうか。

これは「未来進行形」とは異なる。何故なら、need は状態動詞であり、既に「必要としている」という意味があり、通常は進行形にならないからである。

[6-6-2-2]そもそも、無意志動詞における傾向習性という意味は意志動詞における意志という意味から発展したものである。否定形では強い否定的傾向、つまり、「どうしても~しない」という意味になる。また、無生物には習性はなくても傾向がある。例えば、

The door won't open.
ドアはどうしても開かない。

ドアには人間と同じような意志や動物のような習性はないが、ドアにも傾向がある。しかも、否定形では強い否定的傾向となる。それに対して、肯定形では通常の傾向を表す。

Occasionally the machine will go wrong without any clear cause.
ときどきその機械ははっきりした原因がないのに故障する。

[6-6-2-2-1]この傾向習性の意味は無生物も含めて三人称主語で生じることが多い。一人称二人称では、意志動詞で意志の意味が、無意志動詞で推測の意味が優位に立つからである。

He will work one day and loaf the next.(傾向習性)
彼は一日働くと翌日は遊んで暮らす傾向にある。

[6-6-2-2-2]この傾向習性の意味からさらに発展して話し手の非難や焦燥を含意することがある。

She will fall in love with the wrong people.(非難→焦燥)
彼女は間違った人と恋に陥りがちだ。

Boys will be boys.(焦燥→諦め)
男の子は所詮、男の子だ。

[6-6-2-3]一人称主語平叙文において、聞き手または第三者の利益になることなら、好意的な意志を表す。それが日常的用法である。ところが、聞き手または第三者の不利益になることなら、とんでもない悪意や敵意を表すことになる。

I'll smash your sissy-face for you.(一人称主語・平叙文、話者意志→悪意・敵意)
その女々しい顔をぶん殴ってやるぞ。

I will help you.(一人称主語・平叙文、話者意志→好意)
私はあなたを手伝いますよ。

[6-6-2-4]一人称単数主語平叙文において、話し手が自分の意志について述べることに違和感はないが、一人称複数主語平叙文において、話し手が私以外の私たちの意志について述べることは、考えてみれば、おかしなことである。そこで、慣用的発展によって、提案の意味が生じる。

We will begin today's lesson at page 73.
73ページから今日の授業を始めましょう。

[6-6-2-5]二人称主語・平叙文で、聞き手の意志を述べることも考えてみるとおかしなことである。だから、二人称主語・平叙文で意志を表すとすれば、話し手から聞き手への命令の意味になる。

You'll do as I say, at once!
君は私の言うとおりにしなさい。今すぐに。

You'll leave by tonight and never return.
君は今夜までに立ち去り二度と帰ってこないように。

[6-6-2-6] Shall はさげすみや暴言になりかねないので、米英ともに用いられることはあまりない。一人称主語・疑問文ではさげすみではなくへりくだりがあり、職業人の三人称主語・平叙文・疑問文ではさげすみは少ないので比較的用いられるが、格式ばっており、用いられることは少なくなっている。

[6-6-2-6-1]そのような傾向の中でも、付加疑問文である Let's V, shall we? は比較的よく用いられる。

[6-6-2-7] shall に対して、聞き手の意志を尋ねる二人称主語・疑問文 Will you ...? は日常的によく用いられ、慣用的発展によって依頼、勧誘…などの意味が生じる。 Help me with this luggage, will you?(二人称主語・(付加)疑問文、聞者意志→依頼)
この手荷物を運ぶのを手伝ってもらえませんか。

Will you have some more tea?(二人称主語・疑問文、聞者意志→勧誘)
もう少し紅茶をいかがですか。

[6-6-2-7-1] Will you ...? が依頼を表す場合の please の位置はほとんどどこでもよいと言える。

Please ..., will you? / Will you ..., please? / ..., please, will you?/Will you please ....?

[6-6-2-7-2]命令文, /will/won't you? で、命令の意味が少し和らぎ、依頼、勧誘…なども表せる。

Just shut up, /will you/won't you/?
黙ってくれ、お願いだ。

Help me with this luggage, will you?
この手荷物を運ぶのを手伝ってもらえませんか。

[6-6-2-7-3] Will you ...? の否定形 /Won't you ...? / 命令文, won't you?/ でも、依頼、勧誘を表し、特に勧誘を表す。

Won't you have another piece of cake?(勧誘)
もう一つケーキを召しあがりませんか。

Have a seat, won't you?(勧誘)
どうぞ座ってください。

[6-6-2-8]以下は会計係が客によく使う支払い義務などを和らげる慣用的表現である。

You'll have to pay in advance. That'll be forty dollars for the night.
代金は前払いです。一晩40ドルになります。

[6-6-3]条件を表すif節と間接疑問文のif節では will は意志を表し、推測を表さない。if節は既に推測の意味を含むからである。

If you will wash the dishes, I will dry them.(条件節)
あなたが皿を洗ってくださるなら、私は乾かします。

Ask him if he will drive us to the station.(間接疑問文)
駅まで私たちを車で送ってもらえるか彼に聞いてください。

[6-6-4]意志の意味でも「未来形」を含む推測の意味でも will, shall は未来を表す副詞句と共起できる。傾向習性の意味では未来を表す副詞句と共起できない。傾向習性の will, は過去形になることができ、現在または過去の広がりをもつ時間を表す副詞句と共起できる。

I'll see you tomorrow.(意志)
明日お目にかかりましょう。

You and I will be in college next year.(推測)
僕と君は来年、大学生になる。

He would fall asleep reading his newspaper those days.(傾向習性)
その頃彼は新聞を読みながら居眠りしたものだ。

[6-6-5]推測を表す will は進行形や完了形に容易になり、未来の継続や完了の推測、現在の継続や完了の推測、過去の推測を表せる。意志、傾向習性の will は進行形や完了形にならない。

It will be snowing now in Ottawa.(現在の継続の推測)
オタワでは今頃、雪が降っているだろう。

They will have arrived there by now.(現在の完了の推測)
彼らは今頃既に到着しているだろう。

You will have heard about this.(過去の推測)
これについてはお聞き及びでしょう。

[6-6-6] will have 過去分詞 の意味

過去のこと、または、現在はもちろん、過去、未来を含む基準時に完了していることの推測。前述の「未来完了形」を含む。

You will have heard of this before, I guess.(完了(経験)したことの話し手の推測)
あなたはこのことを聞いたことがあると私は思います。

[6-7] would

意味

[直接法過去]
①過去の意志
②過去の傾向習性
[仮定法過去]
③非現実を表す仮定法過去の帰結節または条件節で意志または推測(条件節または帰結節が省略されることがある。I wish ...などの慣用表現もある。いずれにしても非現実を表す)
④非現実でない仮定法過去で現在の控えめな意志
⑤非現実でない仮定法過去で現在の控えめな推測
⑥時制の一致で will が持ちえるすべての意味

[6-7-1]過去の意志を表す would

I told him not to, but he would do it.
私がそれをするなと言ったのに、彼はどうしてもしようとした。

[6-7-2]過去の傾向習性

I washed my dress many times, but the stain wouldn't come out.
私はドレスを何度も洗ったが、そのしみはどうしても取れなかった。

She would sit silent and pensive for hours, looking into the fire.
彼女は何時間も黙って座って物思いに沈み火を見つめていたものだ。

[6-7-2-1] used to と異なり、現在にはないことを含意しない。また、傾向習性ではない単純な状態を表せない。

She /used to/×would/ be a thin girl, but now she's on the plump side.(現在にはない過去の状態。痩せているのは傾向習性ではない)
彼女は昔は痩せていたが、現在は太っているほうだ。

That restaurant /used to/×would/ be a cinema.(現在にない過去の状態。映画館であったのは傾向習性ではない)
あのレストランは昔は映画館だった。

He isn't what he /used to/×would/ be three years ago.
彼はもはや三年前の彼ではない。(現在にない人格全般であって、傾向習性ではない)

[6-7-2-2] How could you -? に対して、would は Why would you -? の形で非難・焦燥を含む、不可解さを表す。傾向習性の意味からの発展。

Why would she invite men who bore her guests?
何故、彼女は客をうんざりさせるような男を招待するのだろう。

Why would she go out with such a man.
何故、彼女はあんな男と付き合うのだろう。

[6-7-3]非現実を表す仮定法

If I were you, I'd buy a car.(意志)
私があなたなら、車を買うね。

[6-7-4]非現実でない仮定法、控えめな意志

Would you open the window?(現在に話し手が聞き手に控えめに意志を尋ねる→依頼)
窓を開けて頂けませんか。

Is there any book you would like to read?
(現在に話し手が聞き手に控えめに意志を尋ねる→単純な意志確認)
読みたい本がありますか。

[6-7-5]非現実でない仮定法、控えめな推測

She would be about sixty this year.
彼女は今年で60歳ぐらいだろう。

It would seem to be the case.
どうやらそうらしい。

[6-7-6]時制の一致

I was determined that I would not make the same mistake again.(意志)
二度と同じ間違いは繰り返さないと私は決心した。

He said she'd sit there for hours.(傾向習性)
彼女はそこに何時間も座っていることがよくあると彼は言った。

[6-7-6-1]時制の一致から慣用的に発展して、小説や歴史の説明文で、過去のある時点からみた未来の事柄を表すことがある。

It was getting wormer and wormer. In a few weeks the cherry trees would bloom.
ますます暖かくなってきた。二、三週間で桜の木が花を付けるだろう。

We had reached 9,000 feet. Soon we would reach the top.
我々は9000フィート地点に到達していた。すぐに頂上に達するだろう。

She married him, but in a few months the Great War would break out drafting him in the Army.
彼女は彼と結婚した。だが、二、三か月であの大戦が始まり彼は陸軍に徴兵されることになる。

[6-8] would have 過去分詞

意味

①非現実の仮定法過去完了の帰結節または条件節で 意志または推測。I wish ... などの慣用表現もある。いずれにしても非現実を表す
②非現実でない仮定法過去完了で過去のこと、または、現在はもちろん、過去、未来を含む基準時に完了していることの控えめな推測
③would, will have 過去分詞 の時制の一致(ただし、非現実でない控えめ表現の仮定法では時制の一致はなく、そのまま)

I told you I would have finished my work by Saturday.③
私は土曜日までに仕事を終えるだろうと言いましたね。

The party would have arrived by now.②
一行は既に到着しているだろう。

I would have liked to see that exhibition.①(条件節の省略)
その博覧会を見たかったのだが。

He would never have done it alone.(①条件節の省略)=
If he had been alone, he would never have done it.①
彼は一人ではそれを決してしなかっただろう。

[6-9]この節で古語を含む shall の意味について説明する。

昔の英語には本動詞の shall があり、カネを借りているという意味があった。さらにそれから義務を負うという意味が発展した。それから神や法の代理人(予言者、立法者など)としての話し手が主語に課す義務を表す助動詞の shall が発展し、さらに、神や法の代理人に普通の話し手や聞き手がとって替わり、以下の意味が発展した。

聖典、法において主語の義務(古語)
聖典、法において事象の義務(古語)
二人称、三人称主語、平叙文において話し手の意志
一人称、三人称主語、疑問文において聞き手の意志を尋ねる
一人称主語、意志動詞、平叙文において will より強い話し手の意志(英のみ)
一人称主語、無意志動詞、平叙文において will より強い確信をもった話し手の推測(英のみ)
一人称主語、無意志動詞、疑問文において will より強い確信をもった聞き手の推測を尋ねる(英のみ)
一人称複数主語、疑問文において、話し手による共同の提案

Thou shalt not kill. Thou shalt not commit adultery. Thou shalt not steale.
(You shall not kill. You shall not commit adultery. You shall not steal.) (聖典において主語の義務、モーゼの十戒より)
殺してはならない。姦淫してはならない。盗んではならない。

He shall pay for that!(三人称主語・平叙文において話し手の意志)
あいつを痛い目にあわせてやる。

You shall live like a princess.(二人称主語・平叙文において話し手の意志)
王女のような暮らしをさせてやる。

Good dog, you shall have a bone when we get home.(二人称主語・平叙文において話し手の意志)
よしよし。家に帰ったら骨をやるぞ。

Shall I carry your bag?(一人称主語・疑問文において聞き手の意志を尋ねる)
カバンを持ちましょうか。

Shall the taxi wait?(三人称主語・疑問文において聞き手の意志を尋ねる)
タクシーをまたせましょうか?

One day we shall die.(一人称主語・平叙文、無意志動詞において話し手の will より確信をもっての推測、イギリス英語のみ)
いつか私たちは死ぬ。

I shall never forget that as long as I live.(同上)
生きている限り私はそのことを忘れないだろう。

Shall I be lame, sir?(一人称主語・疑問文、無意志動詞において聞き手の will より確信をもっての推測を尋ねる、イギリス英語のみ)
私は足が不自由になるのでしょうか。先生。

I shall never forgive him.(一人称主語・平叙文、意志動詞において will より強い話し手の意志、イギリス英語のみ)
私は彼を決して許さない。

[6-9-1]聖典、法において事象または事象の義務を表す shall を含む文は主語の義務を表す shall と異なり、受動態にしても意味が変わらない、つまり、態中立的である。

Peers and peerage shall not be recognized.(法において事象の義務、日本国憲法より)
華族その他の貴族の制度は、これを認めない。

[6-9-2]話し手の意志を表す二人称、三人称主語、平叙文の shall は相手をさげすむ表現なので、職業人、物、子供、ペット以外にはめったに用いられない。

Good dog, you shall have a bone when we get home.
いい子だ。家に帰ったら骨をやるぞ。

[6-9-3]聞き手の意志を尋ねる一人称、三人称主語、疑問文の shall は英では現代でも普通に用いられる。米では以下のように書き換えられる。

Shall the taxi wait?(英)→
/Do you want/Would you like/ the taxi to wait?(米)
タクシーを待たせておきましょうか。

[6-9-4]共同の提案を表すShall we -? Let's -, shall we? は英米共に比較的用いられる。

"Shall we go out for a walk?" "Yes, let's."
「散歩に出かけませんか」「そうしましょう」

Let's play cards, shall we?
トランプをしよう。

[6-9-5] will の推測の意味が「未来形」に発展するのと同様に、一人称主語における shall の推測の意味が「未来形」に発展し、イギリス英語で残る。

[6-9-6] shall have 過去分詞 の意味
一人称主語、無意志動詞、平叙文において、未来に完了していることの、will より強い確信をもった話し手の推測(英のみ)
一人称主語、意志動詞、平叙文において、未来に完了していることの、will より強い意志(英のみ)

I shall have left this refugee camp by this time next month.(完了していることの意志)
私は来月の今ごろはこの難民キャンプを出ているだろう.

[6-10] should

意味

should においては、shall の単なる過去形と言えない特有の意味が発展した。

主語の義務必要
事象の義務必要
確信をもった推測
that 節中などでその内容が話し手の主観的または感情的な判断によることを示す(主観、感情によることを示さないなら直接法を用いる)
that節中などで命令、要求、必要、推薦…などを表す(英)= 仮定法現在(米)
「~しないように」という意味のlest節で(英) = 仮定法現在(米)

それらに対して、以下は 特有の意味をもつ should ではなく、shall の仮定法過去または仮定法過去完了または時制の一致による should である。つまり、

①英の shall の仮定法過去の帰結節または条件節で意志または推測を表す
②英米の shall の時制の一致

それらの例文をここで挙げておく。

If I had wings, I /should(英)/would(米)/ fly to you.(仮定法過去、意志)
もし私に翼があれば、君のところに飛んでいくのだが。

She said, "Shall(英米) I open the window?"→
She asked whether she should open the window.(時制の一致、聞き手の意志を尋ねる)
窓を開けましょうかと彼女は言った。

He said, "You shall(英米) have your reward."→
He promised we should have our reward.(時制の一致、話し手の意志)
ほうびをやろうと彼は約束した。

それらに対して、前述の特有の意味をもつ should は時制の一致においても変わらず should のままである。

I knew I should pay my debts.
借金は返すべきだということは私は分かっていた。

[6-10-1]主語・事象の義務必要について、must, should, ought toの違いは以下のとおりである。以下の順で主観的で、話し手にそうしないことへの容認の余地がない。
主観的、反することに容認の余地なし →must→should→ought to→have to→ 客観的、反することに容認の余地ある

だから、使用の適切さは以下の例のようになる。

My son /×must/〇should/〇ought to/◎have to/ go and see her tomorrow, but I don't think he will.
明日、息子は彼女に会いにいくべきだが、会いに行かないと思う。

つまり、must を使いながら、それが成されないことを想定することには矛盾があり、上のような場合、must は使えない。

[6-10-2]推測については、must は客観的証拠に基づき確信度が高く、have to はある程度、客観的、should, ought to は比較的に客観性が低い。使用頻度について、ought to は稀。

客観的、確信度高い→must→have to→ought to→should→主観的、確信度低い

He must be home―his car is in the garage.
彼は帰宅しているに違いない。車がガレージに入っているから。

He should be home―it's nine o'clock now.
彼は帰宅しているはずだ。もう9時だから。

[6-10-3] that節中などでその内容が話し手の主観的または感情的判断によることを強調するときは should を用いる。例えば、同情を強調する場合である。it is 形容詞 that節、S is 形容詞 that節 の構文をとることが多いが、必ずしもそうでない。それらを強調しない場合は直接法を用いる。

It is natural that she should be tired.(同情)
彼女が疲れているのも当然だ。

話し手の主観や感情を強調したくない場合は以下のように直接法になる。

It was natural that she was tired.
彼女が疲れていたのも当然だった。

I am sorry that he should be punished.(同情)
彼が罰せられることは残念だ。

How strange (it is) that we should meet here!(驚き)
私たちがここで会うとはなんと奇妙なことだろう。

Why should I have done that?(後悔)
私は何故あんなことをしたんだろう。

That he should speak in that tone of voice to me!(憤慨、It is impudent の省略)
あんな調子で彼が私に話し掛けるとは(けしからん)。

[6-10-3-1]慣用的表現 who should it be but - の should もこれに属する。

I though nobody would come that day. But someone did, and who should it be but the lady.
私はその日は誰も来ないと思った。だが、来る人がいた。それは誰あろう、あの婦人だった。

[6-10-3-2]過去のことがらについての主観、感情を強調するには should have 過去分詞 を用いる。

I can't understand why you should have said that.
あなたが何故あんなことを言ったのか私は理解できない。

[6-10-3-3] that節中などでその内容が話し手の主観または感情によることを示す should の時制の一致について、/should/should have 過去分詞/のどちらも可能である。つまり、この意味の should は時制の一致の方法が確立していないのである。

I was surprised that he /should feel/should have felt/ lonely those days.
彼がその頃、寂しさを感じていたとは私は驚いた。

[6-10-3-4] should を省略すると主観、感情を強調しない。 should を省略すると、仮定法現在になる後述する should と異なり、直接法になる。

I'm surprised that he should has resigned.⇔ 彼が辞職したとは驚いた。
I'm surprised that he has resigned.
彼が辞職したことに驚いた。

[6-10-4] that節中などで命令、要求、必要、推薦…などを表す should について、これはイギリス英語であり、アメリカ英語では、仮定法現在(動詞の原型)を用いる。主節としては S /command/order/demand/propose/suggest/insist/recommend/advise/ that節の他に、it is /necessary/advisable/ that節などがある。

I demanded that he (英should) be released.
私は彼の釈放を要求した。

It is necessary that you (英should) pack and leave at once.
君は荷造りしてすぐに出かける必要がある。

It is advisable that drivers (英should) wear a seat belt while driving.
運転手は運転中はシートベルトをすることが望ましい。

[6-10-4-1]上記のような動詞が命令、提案、要求などを表さない場合は、should または仮定法を用いず、直接法を用いる。

I suggested that the meeting (should) be postponed.(suggest が提案を表すときは should または仮定法現在を用いる)
私は会合の延期を提案した。

I suggested that the meeting had been postponed.(suggest が提案ではなく、暗示・示唆を表すときは直接法)
私は会合が延期になったことを示唆した。
I insisted that he had invented the mechanism.(insist が要求ではなく主張を表すときは直接法)
私は彼がそのからくりを発明したことを主張した。

[6-10-5]「~しないように」という意味のlest節で(英) = 仮定法現在(米)

The animals must be destroyed lest the disease (英should) spread.
その病気が蔓延しないように、それらの動物は殺さなければならない。

[6-10-5-1] lest節そのものが格式体であり、普通は /so that - cannot - /in case that 直接法/などを用いる。

The animals must be destroyed in case that the disease spreads.

in case that - に関する限りで、英で should が用いられることはあるが、/will/can/may/などの他の助動詞が用いられることは英米でない。so that についてはそれらの助動詞が用いられる。主節の動詞が過去形なら、それらも過去形になる。

[6-10-6] should have 過去分詞 の意味

①実現しなかった義務必要、または、現在または過去に完了していない義務必要
②未来に完了しているべき義務必要
③過去のこと、または、現在はもちろん、過去、未来を含む基準時に完了していることの確信をもっての推量
④確信をもって推量していたが実現しなかったまたは完了していないこと
⑤過去のことがらについて主観、感情を強調する。それらを強調しないなら直接法過去を用いる。
⑥/(1)イギリス英語の一人称主語の shall have 過去分詞/(2)主観、感情を強調する should/ が時制の一致で変化したもの。(2)については should のままのこともある。
⑦仮定法過去完了で一人称主語に対して英のみで用いられる。米では would have 過去分詞 が用いられる

He said, "I /shall(英)/will(米)/ have left hospital by this time next month."→
He said he /should(英)/would(米)/ have left hospital by that time of the next month.(⑥時制の一致)
来月の今ごろまでには退院しているだろうと彼は言った。

I can't understand why you should have said that.⑤
あなたが何故あんなことを言ったのか私は理解できない。

I should have thanked you fervently if your deed had been as good as your words.(⑦イギリス英語で話し手の推測、仮定法過去完了)
あなたの行いが約束どおりのものだったら、私は心から感謝していたでしょう。

The government should have taken drastic measures.(①実現しなかった義務必要)
政府は徹底的な手段を講じるべきだったのに(講じなかった)。

He should have apologized for his deed?(①実現しなかった義務必要)
彼は自分の行為について(謝らなかったが)謝るべきだった。

Should he have apologized for his deed?(①実現しなかった義務必要)
彼は自分の行為について(謝ったが)謝るべきだったのだろうか。

You should have finished this job within 3 days.(②未来に完了しているべき義務必要)
君は3日以内にこの仕事を終えておくべきだ。

He left home twenty minutes ago. He should have arrived at the office by now.(③完了していることの話し手の確信をもっての推量)
彼は20分前に家を出た。もう会社に着いているはずだ。

She should have passed the examination easily.(④話し手が確信をもって推量していたが実現しなかったこと)
彼女は楽に試験に受かるはずだったのに。

[6-11]助動詞 need の意味

主語の必要(否定文で不必要、疑問文で必要への疑問)
事象の必要(否定文で不必要、疑問文で必要への疑問)
話し手の確信をもっての推測(否定文で必ずしも~でない)

[6-11-1]助動詞としての need の用法と頻度

否定文と疑問文でのみ使用されるが、現代ではそれも稀、特に米で稀。否定文、疑問文でも本動詞 need がよく用いられる。

"Need we stay this evening?" "Yes, you must./No, you needn't."
「今夜、私たちは家にいる必要がありますか」「はい、あります/いいえ、ありません」

[6-11-1-1]疑問文に対する答えとしては、Yes, S need.は不可で、Yes, S do need to/need to/must/have to/. No, S /needn't/don't need to/. が可。

[6-11-1-2] need not, needn't は助動詞否定であり、「~する必要はない」という意味になる。

You needn't reserve seats―there'll be plenty of room.
君は席を予約する必要はない。空きはたくさんあるだろうから。

[6-11-1-3] hardly, rarely などを用いた意味的な否定文、間接疑問文の中でも助動詞 need は使える。

I wonder if I need fill in a form.(間接疑問文)
私は書式に書き込まなければならないのだろうか。

This is the only form you need fill in.(only は準否定語である)
書き込む必要がある書式はこれだけです。

None of you need worry.(否定文)
あなたたちは誰も心配する必要はない。

[6-11-1-4]助動詞は主として一時的な必要を、本動詞は主として持続的な必要を表すという違いはある。また、英では助動詞は主観的判断を表し、本動詞は客観的叙述を表すという違いはある。

Need I call her at once?(一時的な必要)
彼女にすぐに電話しなければなりませんか。

Do you need to get a visa if you go to the country?(持続的な必要)
その国に行くにはビザを取る必要がありますか。

He need not be told that because he will doubt it.(主観的判断)
彼は信じないだろうから、彼にそれを言う必要はない。

He doesn't need to be told that because he has already know it.(客観的判断)
彼は既に知っているから、彼にそれを言う必要はない。

[6-11-1-5]否定文と疑問文で /S needn't be -ing/Need S be -ing/ の進行形が可能である。

You needn't be studying now.
今、君は勉強しなくていい。

[6-11-1-6] will+need(本動詞)+to不定詞は文法的には必要の推測または未来の必要を表すが、必要の程度を和らげ穏やかな助言にもなる。

You will need to start to work soon if you want to pass your exams.
試験に合格したいなら、あなたは早く勉強を始める必要があるでしょう。

[6-11-1-7]否定形で「必ずしも~でない」という意味をもつことはあるが、格式体である。この意味は本動詞 need にはない。

Independence need not mean freedom.
自由は必ずしも独立を意味しない。

What is right for us need not be right for others.
私たちにとって正しいことが必ずしも他の人々にとって正しいとは限らない。

[6-11-2] need not have 過去分詞 の意味

主に英で「する必要がなかったのにしてしまった」。それに対して本動詞の did not need to - は単に「する必要がなかった」であり、したかどうかは不明。

We need not have criticized the chairman.=
We did not need to criticize the chairman, but we did.
私たちは議長を批判する必要がなかったのにしてしまった。

[6-11-3]過去形の need。助動詞 need において、現在形と過去形が同形である。時制の一致において使われるだけである。簡単に言えば、時制の一致でそのまま用いられる。時制の一致を除いて、過去や未来の必要を表す場合は、本動詞 need を用いる。

I said to him, "You needn't go at once."→
I told him he needn't go at once.(助動詞、そのままの時制の一致)
私は彼にすぐ行く必要はないと言った.

I said to him, "You don't need to go at once."→
I told him he didn't need to go at once.(本動詞、時制の一致)

[6-12] dare の意味

恐れを知らない大胆さを表す。必ずしもいい意味での勇気を表さない。他人の感情を害する悪い意味での大胆さを表すことがある。格式体で、しかも疑問文と否定文でしか用いられない。普通体・略式体では肯定文はもちろん、疑問文と否定文でも本動詞 dare to不定詞 が用いられる。

How dare you come so late?(疑問文、悪い意味での大胆さ)
よくもこんなに遅く来られたな。

[6-12-1]意味的に否定の文や間接疑問文で助動詞 dare が現れることがある。

I wonder whether he dare try.
彼に試みる勇気があるのだろうか。

That is as much as I dare spend on it.(as much as は onlyと等しく意味的に否定である)
いくらはずんでも私がそれに費やせるのはそれだけだ。

[6-12-2]本動詞において toなしの原型不定詞が使われることがある。つまり、助動詞と本動詞の混同が慣用化している。

Dare he fight again?=
Does he dare (to) fight again?
彼にもう一度戦う勇気があるのか。

He dare not fight again.=
He does not dare (to) fight again.
彼にはもう一度戦う勇気がない。

[6-12-3] dare have 過去分詞、dared の意味

dare に関する限りで、現在完了形(dare have 過去分詞)と過去形(dared)が等しくなる。意味としては単に勇気がないだけでなく実際しなかったという意味になる。

daren't have 過去分詞 = dared not V = did not dare (to) V の形で、~する勇気がなく実際しなかった。

I daren't have gone, although I wanted to.
行きたかったが、行く勇気がなかった。

She dared not protest.(助動詞)=
She did not dare (to) protest.(本動詞)
彼女は抗議する勇気がなかった。

Dared she protest?(助動詞)=
Did she dare (to) protest?(本動詞)
彼女は笑う勇気がありましたか。

How dared you betray me.(助動詞)
よくも私を裏切ったな。

Nobody dared ask him about his intention.(助動詞または本動詞)
誰も彼の意向を尋ねる勇気がなかった。

[6-12-4] dareを用いた慣用表現

how dare ...? Don't (you) dare ... I dare say ... [6-12-4-1] How dare ...?
「よくも~できたな」。主語の感情を害する大胆さに対抗する話し手の同様の大胆さである。

How dare you come so late/?/!/
よくもこんなに遅れたな。

[6-12-4-1-1]文法的には疑問文だが、意味的に感嘆符"!"が用いられることもある。

[6-12-4-1補足]怒りと非難を表す表現は、dare だけでなく、How could -? Why would -? …など多々あるが、dare を使うと相手の厚かましさを強調する。

[6-12-4-2] Don't (you) dare ...

「~したら承知しないぞ」

Don't you dare say anything against it!
それに反対するようなことを言ったら承知しないぞ。

[6-12-4-3] I dare say ...

イギリス英語で「たぶん~だろう」

I /dare say/daresay/ you are right.
たぶん、君の言うとおりだろう。

[6-13] used to

そのものが過去形であり、現在にない過去の傾向習性または状態を表す。

I used to go fishing every Sunday.(現在にない過去の傾向習性)
私は日曜日にはいつも釣りに行ったものだ。

There used to be a hotel at the corner.(無生物の現在にない過去の状態)
あの曲がり角に昔はホテルがあった。

[6-13-1] used to は助動詞だが、否定文、疑問文、付加疑問文では本動詞と同様に did use を用いるのが普通である。

I /didn't use to/used not to(英でしかも古風)/usedn't to(英でしかも古風)/ like opera, but now I do.
私はオペラが好きでなかったが、今は好きだ。

/Did there use to/Used there to(英でしかも古風)/ be a hotel on that corner?
以前、あの角にホテルがありましたか。

You used to smoke a pipe, /didn't you/usedn't you(英でしかも古風)/?
あなたは以前パイプを吸っていましたね。


[6-13-2]以下のような比較表現も可能である。

We are eating out more often than we used to.
私たちは以前より頻繁に外食している。

[6-13-3]中位の副詞(always, sometimes などの頻度を表す副詞)の位置は以下の例文のとおり。本動詞として扱われる。

When I worked on a farm, I /always used to/would always/ get up at 5 a.m.
会社勤めをしていた頃は私はいつも午前5時に起きていたものだ。

[6-13-4] used to は期間を表す for句と共起できない。

〇I used to live in Manchester.
×I used to live in Manchester for three years.
〇I lived in Manchester for three years, but now I don't.

[6-13-5] would と used to の違い。

① would は過去を述べる文脈の中で用いるか、単独の場合は過去の時を表す副詞句とともに用いる。それに対して、used to は必ずしもそうでない。
② would は人と物の傾向習性に用いるが、used to は人と物の傾向習性だけでなく、人と物の単純な状態にも用いられる。

③ used to は現在はそうでないことを含意するが、would は必ずしもそうでない。

He was an idealist. He /used to/would/ daydream.(傾向習性)
彼は理想主義者だった。彼はよく白日夢に耽ったものだ。

She /used to/×would/ be a thin girl, but now she's on the plump side.(痩せているのは傾向習性ではない)
彼女は昔は痩せていたが、現在は太っているほうだ。

That restaurant /used to/×would/ be a cinema.(現在にない過去の状態)
あのレストランは昔は映画館だった。

He isn't what he /used to/×would/ be three years ago.(特定の傾向習性ではなく、全般的な人格である)
彼はもはや三年前の彼ではない。

[6-13-6] used to はそれ自体が過去形なので、時制の一致でもそのまま使われる。

He said to me, "I used to keep a dog."→
He told me that he used to keep a dog.
彼は私に昔は犬を飼っていたと言った。

[7]非難、焦燥などを表す助動詞

[7-1] can, could, might の事象可能性から発展して「~してくれてもよかったのに」というような非難、焦燥を表す。

You /might/could/ say at least you are sorry.
ごめんぐらい言って欲しかった。

Can't you shut up?
黙っていられないの。

You /might/could/ have told me it was wrong.
それは間違いだと言ってくれたらよかったのに。

In future you /might/could/ try to be a little more polite.
今後、君はもう少し礼儀正しくしてもいいんじゃないか。

How could you be so cruel?
あなたはどうしてそんなに残酷にできるの。


[7-2] must, will の義務、傾向習性の意味から発展して、その義務、傾向習性に焦燥を表す。

Must you be so funny all the time?
いつもおどけてないと気が済まないのか。

If you must smoke, use an ash-tray.
どうしてもタバコを吸いたいなら、灰皿を使え。

She will fall in love with the wrong people.
彼女は間違った人と恋に陥りがちだ。

Occasionally the machine will go wrong with unknown causes.
ときどきその機械は故障するが、原因が分からない。

[7-3] dare を用いて厚かましさを強調する。

How dare you tell me such a thing?
私にそんなことを言える厚かましさはどこから来ているんだ。

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