だが、かつての共産主義に対する恐怖と嫌悪がまだ残っていないだろうか。そのような情動がその議論を一方に偏向させていないだろうか。また、いつの時代もあるように、ある経済体制で利権を得た政治的経済的権力者がその体制を固守していないだろうか。後述するとおり、国家力が自由権を擁護する法の支配系(L系)と社会権を保障する人の支配系(S系)に分立するとき、偏向した経済体制がもたらす災難は防げる。簡単にいって、経済体制はS系と経済だけに適応される。経済体制が何であろうが、自由権と政治的権利を含む民主制、三権分立制を含む権力分立制と法の支配はL系によって確保される。